帰り路

話しに盛り上がっていた

3人は

「またね」

と解散をして

シナモンを除く りるる と みなな の二人は

それぞれの家路へと急いだ。


もうすっかりと日の落ちた

街の通りにはガス灯の灯りが点り

夕暮れの中の街を穏やかに照らし出していた。


りるる はその通りを行き交う人々の中を縫うようにゆっくりと下宿先である叔母の家目指して歩いていた。


と、その時だった。


「りるる様!」


「お待ち下さいりるる様!」


と、その りるるを二人の何者かが声を上げ呼び止めた。


「??」


と、りるる はいぶかり足を止めて声のする方へと振り向いた。


「りるる様~~!」

「りるる様待ってぇ~~~!」


そう叫びながら りるる の傍へと飛び込んで来たのは、身長20㎝程の二人の妖精、双子のフェアリー達だった。


それを見た りるる は意外な顔でそのフェアリー達を見て


「え?、あなた達も来ていたの?」


と驚きの声を上げながらも


『あ、また、お父さんね』


と悟り取り


『やれやれ』


とため息を一つ零した


と、その二人のフェアリー達、ユウとマイはかなり慌てていたのか息せき切りながら、りるる の目の前へと昆虫の様な羽をバタバタと羽ばたかせながら近付き


「りるる様、どうして私たちを無視するんですか?」

「カフェからずっと追いかけていたんですよ」


と、その りるる に向かい交互に明らかに息の上がったゼイゼイとした声を浴びせ掛けて来たのである。


りるる はそんなフェアリー達に苦笑を浮かべながら


「いや、あのちょっと、その前に顔の前に居られると……前が見えないから……それにね……」


と、言ってからフェアリー達に廻りを眼で示した


フェアリー達は りるる が何を言って居るのかがまだ解らずにキョトンとした様子でその周囲を見て回すと


「ゲッ!」

「あちゃ~~!」


と驚きを露わにした


そう、二人のフェアリーは通りに居る人達の羨望を受けていた。


そして当然ながらそこには人だかりが出来ていた。














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