その日 天使となって
りるる の周りには人集りが出来ていた。
「おい、見ろよフェアリーだぜ」
「本当だ珍しいなぁ」
の響めく声も聞こえていた。
フェアリー、詰まり妖精は数々の種族が一堂に会する、この世界でも珍しい存在であった。
天使に次ぐ神の使いとも謳われている、そんな存在であった。
そして、りるる 達の通うメイド学校は所謂、お嬢様学校である。
そこの制服を着た けもの族の少女がそんな神の使いを引き連れている。
そんな光景を注目するな。
と言う事の方が難しい注文になる光景だった。
またしても、人の目を惹きつける事態が起きてしまった。
りるる はその苦悩に顔を覆いながら、心配気にその顔を覗き込む ユウとマイ を余所に立ち尽くしていた。
と、その時 りるる の中に
『何の為に自分はこの地へ来たのか?』
『大切な友達もやっと出来たのに』
『メイド学校へ通う事で成すべき目的を果たす為に私はここへやって来た』
その思いがジワジワと蘇り
そして、その言葉は全身にみなぎり始めた。
すると りるる は毅然とその態度を改め
直ぐさまに、ユウとマイ 双子のフェアリーに向かって
「ユウ・プレシャス マイ・プレシャス、この私、リルリーナ・フランソワがお二人に命じます。」
その命ずる声に対して双子のフェアリー達は
畏(かしこ)まりながら
「はい、リルリーナ様」
「私たちに命を」
と返した
その二人の返事を聞いた
りるる は、凛とした声で
「私の護衛を勤めなさい」
と双子のフェアリーに命じ
二人の「はい、りるる様」
返事に
「では、先を急ぎます。私を先導なさい」
と、言って答えると
「はい」
「りるる様」
と双子のフェアリーは りるる の前方へ着いた。
すると、その全ての成り行きを見守っていた人の集まり潮が引く様に左右それぞれの脇に寄って りるる 達の為の歩く道を作り、三人はそこをゆっくりとした足取りでその場を後にしていった。
②へ続く
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