りるるのひみつ①
りるるはシナモンやみなな達と、また会う約束をして、カフェ[アップルミント]を後にした。
大通りの人混みの中、りるる は荷物のいっぱい入ったカートを引きながら真っ直ぐに東に向かって歩いていた、やがてその道は街を東西南北に分ける十字路に突き当たった。
りるるは一旦そこで足を止めると
上着のポケットから四つ折りに折られた地図を取り出し、
「う~ん、ここを真っ直ぐに行くと風車のある水汲み塔。と言う事は今、私が居るのは、中心街のストロベリーシティね」
と街を見舞わした
りるるの立つ左側つまり街の北側には巨大な教会がそびえ立っていた。
そして、その教会から通りを挟んでの右側の南側には大小様々な沢山のよろず屋が建ち並んでいた。
もちろん街のランドマークである巨大な風車塔の姿も望む事が出来、風車は今も風にそよぎながらゆっくりと羽を回していた。
このフランソワーズシティは古の時代に火山の噴火で流れ出た溶岩によって作り上げられた丘陵地帯にあり、そこで暮らす人々の為のライフラインのひとつである水を得る為の川や池などの水源が無かった。
だか、幸いだったのはこの丘を挟む南北にはその水源になり得る川が流れていた事だった。
しかし、その水の流れる南北両方の川は都市からは低い土地にあり、
この地を開拓した先駆者達はその川の水を如何にしてこの丘陵地帯まで引き上げて来たら良い物かと頭を悩ませていた。
そこで考え付いたのは、この丘の南北の脇腹に穴を開け、そこに水を引き込む為の水路を作り都市の地下深くへとその水を引き込んでから、それをやはり地下深層部に作った巨大な水瓶とも言うべき池に集めて、そしてそこに溜まった水を風車の力で地上まで引き上げて都市を走る水路へと流し込むと言うシステムを作り上げていた。
その水路は今も都市の浅い地上を走る水路を流れ、このフランソワーズシティの人々の生活を支えていた。
そしてりるるは地図とその町並みを見比べると
「よし!」
と、安堵の声を出し
「教会を横切る通りを北へ真っ直ぐに。そうすれば叔母さんの家ね」
誰にでも無く独りごちると
再び四つ折りに小さく戻した地図を手の平の上に乗せると次には
「この手紙を書いた者へと私を導きたまえ……」
口の中で小さく呟き
次の瞬間にはその地図は白い蝶々へと姿を変え りりる の手の上でひらひらと羽ばき始めた。
それはまさしく魔法だった
りりる は法術を称え
紙の地図を白い蝶々の姿に変えたのだ
そして、その主である りりる がその蝶に
「迷子に成らない様にお願いね」
と優しく言葉を掛けると
その蝶々は「うん」とそれに返事を返す仕草を取ると、次には りりる を案内しながらりりるからは少し離れた前方へと飛んで りりる を導き始めた
りりるは自ら魔法で作り出した、蝶々の先導に従いながら、教会の前を走る通りを左へ折れとゆっくりとこれから、お世話になる叔母さんの家へと歩いて行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます