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僕は旅客機の窓から、外を眺めた。いつも代わり映えのしない空と思っていたが、中国に入ると景色は格別だった。

どこから見ても、街ばかりだ。あまりにビルが高いので、飛行機はビルのすれすれを飛ばざるをえないこともあった。


喉が渇いたので、指を鳴らした。


「なんでしょうか?」


「ライチジュースを」


そうすると、拳ぐらいの大きさのドローンがふわふわと飛んできた。下にはライチジュースがぶら下がっていて、

手に取ると、ドローンからホログラムが浮かんだ。


嬉しそうな猫の顔文字だ。


「ありがとうございましたにゃ」


「どうも」


そういうと、ドローンはどこかへ飛んでいった。


頭の中で念じて、脳波でバイザーを起動。

バイザーには様々なアプリがあり、それらは空中に投影されるかのように、バイザーの中で表示される。

ニュースアプリを指で選び、開いた。

全てを脳波、脳の思考時に流れる電流で行うことも出来るが、このアナログ感が好きで、旧式のやり方をしている。

向こうの席の少年に、変な目で見られた。

彼はこのやり方を知らないんだと思う。



「モンゴル軍と中国軍は国境付近に集結しており」


「中国軍がモンゴルのオルドス市に越境して虐殺行為を行った事件は」


「ヨーロッパとアメリカの海底リニアの建設がついに」


「インドネシアは、オーストラリアと海中資源を巡って、米豪を非難しています」


「モンゴルはハンガリーやウクライナなどに対し、クマン人・クリミア人・ロマ人など少数民族に対しての保護を要求」


「東アジア海底のスマートグリッドが、何者かによって切断」


「サウジアラビアの人工巨大都市LINEとアル・カーブ、アルマカブ、ニュームラッバは」


「インドは、パキスタンとの対立が」


「NATOは、フランス帝国に再加入を求め」


「アメリカは、火星開発計画を」


そうして、僕はニュースを閉じた。


今、世界は戦争寸前だ。





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