第4話 おしっこ我慢の末に……

 レイは寝床にあぐらをかいて座っていた。酒をちびちび飲んで激しい尿意を誤魔化している。しかしそれも限界に来ていた。おしっこでぷっくりと膨らんだ下腹部はまるで異物が中に溜まっているのがはっきりわかるような違和感でとても重い。全身が熱く、特に股ぐらが熱を帯びている。忙しなく足をもじもじと動かし、息が上がり額に汗を滲ませる。激しい尿意は頭の中を排泄欲求で支配させる。レイの頭はおしっこをしたい一心であった。手で下腹部を触り気に掛ける。股も時折抑えている。優しく撫でて股間を労る。不思議と変な感覚に陥りそうになっていた。


「ふーー……。おしっこしたい。早く夜になってよぉ……」


 時間はわからないが日が沈み始めている。後数時間で夜になるだろう。そうすれば依頼主の男がここに現れるはずだ。今朝、この場で男に依頼されておしっこを我慢し続けた。その後、ビールを既に二十杯以上飲んでいる。酔いも回っているがそれを掻き消す程、頭をハッキリと回転させる尿意。二十杯のビールが膀胱に溜まり、自らを解き放てと激しく主張する。さっきから尿道口がヒクヒクと痙攣を起こしている。気を緩めたらその瞬間全てを開放してしまいそうな尿意だ。とてもキツイ。痛いのを我慢する方がまだマシかもしれない。あっちは痛いのは殴られた瞬間だけ。殴られた後も体が悲鳴を上げるが下り坂の痛みである。あっちは我慢するだけで良いし、場合によってはめいいっぱい叫んで紛らわす事が出来るのだ。しかし今回は、おしっこ我慢はそうはいかない。膀胱に限界を超えて溜め込まれたおしっこ。一気に噴き出しそうになる水圧を何とか防ぐ水門。いつ決壊してもおかしくないのに、それを夜まで我慢しろと。声を上げる事も腹に力を入れるのもはばかれる。出したいのに出せない。出そうと思えば出せるのに出せない。眠いのに寝れないのが辛いように、自身の欲求を我慢するのは大変な事だ。空腹を耐えるのだってキツイ。殴られるのとどっちがマシなのかと言われると正直わからないが、おしっこを我慢している真っ最中の今という状況であれば確実に今の我慢の方が辛いと言える。何せ、レイは殴られる事には慣れているからだ。しかしここまでおしっこ我慢した経験は皆無。未経験の体験は不安もあるものである。


「夜まで、我慢出来無かったらどうしよう。あの人怒るだろうなぁ。怒って殴るかもなぁ……」


 むしろその方が楽だろうという考えはしないようにした。ここまで来たら自分がどこまで我慢出来るのか試してみたい気もしていた。自分は何時間おしっこを我慢出来るのだろう。おしっこを長時間、しかも大量に我慢出来たからといって自慢になるかは微妙であるが。しかし殴られても泣かないように出来るかと自分に制限を課した事がある。そう考えればおしっこ我慢も立派な縛りと言えるだろう。しかし漏らした後始末が大変だろうが。

 ところで、レイのマイクロビキニパンツは服では無い。体の一部なのである。皮膚が変化した、自由に着脱出来る殻と言おうか。言うまでもなく陰部を守るための殻、皮膚膜である。排泄や陰部を洗う時などにパンツを脱ぐのだ。汚れたり破れたりすると廃棄して、新しいパンツを体から生やすのだ。トカゲの尻尾のように短時間で再生するから良い。これは芯人の持つ特徴の一つである。芯人はみんな、マイクロビキニパンツのように下着のような皮膚膜を持っているのだ。中にはブラのような皮膚膜を持つ個体もいるらしい。レイはマイクロビキニパンツだけだが。

 マイクロビキニパンツは自由に新しく生やす事が出来るので、おしっこを漏らしてパンツを汚してしまっても、パンツを新しくすれば良いのである。だからおもらしの後始末が楽といえば楽であろう。廃棄したパンツは布代わりにもなるし有効活用出来るのだ。それでも、やはりおしっこをおもらしするのは覚悟のいる事だとレイは思った。

 おしっこを我慢していると心臓が激しく脈打つ。全身が熱くなり汗をかく。足と体が無意識に動いてしまう。動かさないと気が済まない。そんな状況に、レイは快感に近いモノを感じていた。時折、自慰をする事があるがその時に感じる快感に似た物をレイは今、感じている。尿意が限界になり切羽詰まった状況で、感覚がおかしくなっているのだろうか。レイはへへへと笑みを浮かべる。なるほど、あの男の街でおしっこ我慢からのおもらしがブームな理由がわかったような気がした。これはハマる人にはハマる行為だ。体に負担をかける、人には勧められない行為ではあるが、確かに限界まで我慢するのは気持ちが良い感じがする。下腹部が重くて痛いが股は気持ち良い。きっとおしっこの我慢をしすぎて体がおかしくなっているのだろう。それでも良い。今この瞬間は気持ち良いのだから。


「ふぅ……ふぅ……。キツい。おしっこしたい……ああ……」


 その時、レイの寝床に男の子が二人やってきた。スラム街に住む極貧困層の仲間達である。少年クライムの他にもレイには友達がいるのだ。リーキとガロウである。二人共身長は百二十センチメートル。ボロ布を一枚纏った華奢な体付きの少年達である。種族はノーマル。いわゆる普通の人間であった。年の頃は七歳程度であろうか。


「レイちゃんこんにちはー! 何してたんだー?」


 まん丸の可愛らしい顔が特徴のリーキが声を掛ける。レイは尿意のせいで体が動いてしまうが二人に悟られないように意識して体を静止させ、平静を装う。もちろん手も股から離し、地面に置く。楽にしてあぐらをかいている姿勢をとった。


「何もしてないよ? 今日は暇してたからクライムちゃんの所に顔出したりしてた!」

「そっか! ねぇ、少し離れた所で闘鶏をやるんだってよ! 一緒に観に行かない?」

「え! 闘鶏!? ホント!?」


 闘鶏。雄の鶏二羽を戦わせ、勝敗を見守る娯楽である。貴族から庶民まで人気の娯楽で博打にもよく利用される。スラム街でも闘鶏は人気の娯楽でレイも闘鶏を見るのは大好きだった。プロレスを見るようなものだった。

 闘鶏は是非観に行きたい。尿意さえ無かったら迷わず行っていた所だが……。尿意が激しくてそれどころではない気がする。しかしレイはどうしても闘鶏が見たかった。


「私も観にいく!」


 レイは意を決して立ち上がる。同時に股を激しい水圧が襲った。座っている事で抑えられていた尿道が開いたのである。今やおしっこを塞き止めるのは筋力だけとなる。レイは不意に内股になりそうになるが必死に堪えた。しかし悶えて手を下腹部に置く。上体が僅かにくの字に曲がってしまった。しかしリーキもガロウも気にせず、レイの手を引っ張る。


「そうと決まれば早く行くぞ!」


 リーキに手を引かれて三人は駆け出した。レイは一歩踏み出す度におしっこが漏れそうになるが意識して尿道を塞ぎ何とか耐えた。股を抑えたい欲求をじっと堪えた。レイは自分で走ると言おうとしたが、闘鶏が日によって行う場所がバラバラだし、自分がノロノロしていたら二人に悪いと思った。レイは黙って尿意を我慢しながら、二人のペースの合わせて走った。

 そうして走る事三十分。闘鶏の場に訪れた。ボロ布を身に纏った数人の貧困者達が集まっている。老若男女問わず様々な人間や獣人の姿があった。三人は人混みの下を掻い潜り、一番前の席に辿り着く。二羽の鶏が激しく足の爪をぶつけて戦っている。それを見て観衆の応援が木霊す。二羽の近くには審査員が一人と、二羽のそれぞれの持ち主と思われる人間が二人。どうやら二人共貧困者のようだった。ボロ布を身に纏っている。


「勝った鶏の主人には千円を賞金としてやろう。さぁ残った残った!」


 リーキとガロウは我を忘れて応援している。レイも尿意を忘れて両手を上げて応援を始めた。


「頑張れー! 頑張れー!」


 鶏二羽の激しい戦い。羽毛が落ち、血を流しながら戦っている。それをみんなが血相を変えて応援して見ている。それは数人しかいなかったが、大変な反響だった。

 そうやって応援しているとレイの肩をポンと叩く者が現れた。レイが振り向くとそこにはクライムがいた。


「クライムちゃん! あなたも見てたの?」

「まぁな。それより小便我慢してるんだろ? 良いのかこんなとこ来てて」

「あ、忘れてた……」

「忘れてたってお前……」


 レイは思わず内股になり、右手で膨らんだ下腹部を擦る。激しい尿意が戻ってきた。しかし闘鶏も見たいのでその場を離れる事が出来無かった。レイは我慢して闘鶏を鑑賞する事にした。どうせ夜まで我慢しなくてはならないのである。ならば楽しい思いをした方が良い。


「闘鶏見逃すのは嫌だからね。クライムちゃんも一緒に見よう!」

「そうだな」


 そうして鶏の激しい戦いが続いた。みんなが声を上げて賑わった。レイもクライムもリーキもガロウも大変な大騒ぎであった。そうして遂に闘鶏に決着が付いた。片方は死んでしまった。その他にも何羽か手持ちの鶏がいたようで枠に投入して戦わせる。そうして何戦かして、その度に片方の鶏が死んでしまった。そうやって、戦いを繰り返すと、いつの間にか何時間も過ぎていて空を見ると日が暮れ始めて烏が鳴いていた。やがて全ての戦いが終わり、勝者に賞金が支払われ、みんな満足して帰っていった。残ったレイ、クライム、リーキ、ガロウの四人は一緒に歩を揃えて帰路に起った。レイ一人が激しい尿意に襲われて痛む下腹部を抑えていた。ノロノロと歩き、三人に遅れないように時折駆け足になりながら、他の三人についていく。激しい尿意で尿道口はヒクヒクと痙攣し今にも漏れそうなおしっこを必死に下腹部に抑え込んでいた。忙しなく下腹部を気にしながら俯いている。元気無さそうに歩くレイをリーキとガロウは気にも止めない。クライムは心配に思いながらもとある話を切り出した。


「お前達、俺はな、このクライムは兵士になろうと思うんだ。国が募集している兵士になろうと思うんだ」

「兵士に? クライムちゃん兵士になるのか?」


 ガロウが口を開く。クライムはコクリと頷いた。


「だからお前達も一緒に来いよ。こんな生活から一緒に抜け出そうぜ。兵士になって将軍になって出世しよう。一国一城の主になるんだ。レイちゃんは一緒に来るって言ってる。な?」


 レイは突然話を振られ驚き顔を上げた。リーキとガロウがレイを見る。レイは慌てて下腹部に置いていた手を離し、頷いた。


「う、うん。クライムちゃんが兵士になるなら私もなるよ。女の子だから戦えるかわからないけど、気をちゃんと鍛錬すれば関係無いってクライムちゃん言ってたし……」

「ふーん。レイちゃんが兵士にねぇ」


 二人がレイをじっと見つめる。レイはどうしたのと問い掛ける。二人は笑い出した。


「こんな可愛い顔が戦場で戦えるのかなって。なぁ?」

「でもレイちゃんは我慢強いからいいとこ行けるかも知れないぞ」

「えへへ。そうかなぁ」


 レイが照れくさそうに頭をかく。その間も尿意が激しく下腹部を襲い、下腹部と股が悲鳴を上げている。一歩踏み出すのすら大変な事であった。しかし二人は気付いていないようだった。


「で、二人はどうすんだよ。俺に着いてくるのか?」


 クライムは四人の中では年長であった。体も一番大きい、兄貴分だ。三人ともクライムの事を兄と慕っているのだ。リーキとガロウはコクリと力強く頷いた。


「クライムちゃんやレイちゃんが兵士になるなら俺もなるよ」

「俺もだ。リーキちゃんだけじゃない。ガロウもついていくぞ! それに女の子のレイちゃんには負けてられないからな!」


 二人の力強い返事にクライムはニヤリと笑った。


「よし! 明日早速鍛錬するぞ! 俺の寝床に集合な! 後明日からみんな俺の寝床に来い。俺達は兄妹だ。寝床も共にするぞ」

「わかった!」

「了解!」

「わかったよ」


 レイ達は各々が頷いた。その時、レイは激しい尿意の波に襲われた。小さな悲鳴を上げて立ち止まり下腹部を抑える。動けなくなってしまった。クライム達が立ち止まり、レイに視線を向ける。


「レイちゃんどうしたの? お腹痛いのか?」


 何も知らないリーキが言う。レイはもじもじと動かしたい足を必死に閉じて作り笑いを浮かべた。唇がヒクヒクと震えていた。


「な、何でもないよ。今朝食べたパンが悪かったのかもしれないな。先に帰ってるね。また明日ねみんな」

「おう、じゃあなー」


 レイが手を振ると三人も手を振った。レイは振り返りゆっくりと歩き出した。尿意の波に襲われる中必死に平静を装って。しかし無意識に体がくの字に曲がってしまう。リーキとガロウはパンに当たったなと思っていた。クライム一人がその真相に気付いていた。


「レイちゃん、明日俺の寝床に来いよ。それじゃ、今夜は頑張れ」

「うん!」


 振り向きクライムを見て手を振る。そしてレイはゆっくりとした足どりで己の寝床に向かった。




 気付けば夜になっていた。レイは自分の寝床に帰ってきた。激しい尿意の波が襲ってきている。尿道口が激しく痙攣している。レイは思わず苦笑いしながら股を抑えた。じんじんと痛む股をぎゅっと優しく握る。そして撫でた。マイクロビキニパンツをぎゅっと引き上げて股間を布地で抑え込んだ。


「ハァハァ……もう出ちゃいそう。もう、我慢出来ないよ……」


 ジュ!

 おしっこがちびった。レイはびっくりして両手で股を強く抑える。パンツが湿っていた。とうとう意思に反して漏れ始めた。レイは早くあの男が来ないかと思った。寝床にあぐらをかいて座り、尿意を誤魔化すようにまた酒を飲み始める。時折股を手で撫でながら体を揺らす。そして酒を飲む。そうして時間を潰していた。

 今日の闘鶏は面白かった。激しい戦闘に血湧き肉躍る気分だった。尿意が無ければもっと楽しめたのに。

 激しい尿意。おしっこがほんの僅かずつだがジョジョっと漏れ始めている。パンツのシミが広がる。もう抑えていてもダメなようだ。レイは快感を覚えていた。レイの股の筋肉は限界を迎えていた。許容量をとっくに超えた膀胱からはコップに注いだ水が溢れ出るようにおしっこが漏れ始めている。レイは寝床を汚さないように少し離れた所に移動して男を待った。おしっこが漏れる度にそれ以上の量の酒を飲んで膀胱内を一定に保っているつもりである。これはわざと出しているわけではない。意思に反して漏れてきてしまうのだ。だから勘弁してくれとレイは思っていた。

 そして遂に男はやってきた。今朝の男だ。ボロ布では無い、普通の服を身に纏った普通の顔のどこにでもいるような男。しかし彼は変態だ。女子のおしっこ我慢するシチュエーションとおもらしが大好きな変態であった。


「やぁレイちゃん、我慢してたかい?」

「あ、今朝の人。はい、我慢してました。もう大変ですよ。実は既に漏れ始めてて」


 レイが立ち上がる。その瞬間、ゾゾゾと股が震える感覚がした。我慢出来ない程の尿意が襲ってくる。とうとう我慢出来ず、おしっこがジョジョっと漏れ始める。おしっこがマイクロビキニパンツの布地を貫通し、ポタポタと股の間を垂れた。太腿が濡れておしっこが滴り落ちる。レイは慌てて上体を曲げて両手で股を抑える。おしっこが何とか止まった。


「はぁはぁ……。ごめんなさい。我慢出来なくて漏れ始めてる。でもわざとじゃないから許してください。本当に我慢出来ないんです」

「ふーん……」


 男はレイの姿をじっと見つめていた。


「直立になって立って。両手は脇に置いて」

「え……でもそんな事したら漏れちゃう」

「いいから」

「は、はい」


 レイは言われた通り、起立した姿勢になり、直立し、両手は脇に置いた。するとおしっこが漏れ始める。ジョジョ……ジョジョ……と。


「ああ、あああ……ダメです、漏れちゃいますぅ……!!」


 レイの足を滴り落ちるおしっこ。黒のマイクロビキニパンツはぐっしょりと濡れており、太腿も濡れてしまっている。男はレイの足に手を触れておしっこを拭う。するとそれを舌でなんと舐めてしまった。レイは驚き目を丸くする。


「や、止めてください。汚いですよ!」

「いや。良いんだ。レイちゃんは実に良い。幼女のおもらし、最高だ」


 男はニヤリと笑い、レイの股をパンツの上から抑え、もみ始めた。レイはあ、あ、と甘い喘ぎ声を上げる。全身がビクビクっと震えた。


「ああ! うああ!! 止めて! 止めてください! 漏れる! 漏れちゃいます! やあああ……」


 男は股を揉む手を止めるどころか早さと力を増していく。その度に漏れ続けるレイのおしっこ。レイの全身が震えたかと思うとピタリとその体が止まった。レイは息を詰まらせ、振り絞るように声を上げた。それが最後の力だった。

 レイは、力尽きた。


「もう、ダメ…………」


 ブシュ!! ジュォォオオオオオオオオ!!!! ジョボボボボボ!!!!


 レイの膀胱は決壊し、溢れんばかりのおしっこが漏れ始めた。マイクロビキニパンツから溢れ、股の間を落ちるおしっこ。足を伝って零れ落ち、地面の土に落ちて土が吸収しきれず、水溜まりが出来ていく。レイは激しい快感に落ちて、緊張していた全身が一気に脱力するのを感じていた。今朝から今まで、我慢に我慢を重ねたおしっこ。それが意思に反して一気に解放されていく。そのカタルシスは凄まじい。レイ快感に溺れて、まるで絶頂した女のように破顔して果てていた。おしっこ以外の体液も一緒に流れていた。


「ハァ~~~……」


 ジョオオオオオオオ!! ジュイイイイイイイ!!!


 そのおしっこが男の手に完全にかかっている事に気付いたのは数秒後の事。レイは我に帰り慌てて口を開く。


「あ、あ……汚いから離してください!」


 しかし男は股を揉む手を離さなかった。そうして数分間、おしっこが漏れ続けてやがて、止まった。レイは大きく息を乱してその場に座り込んでしまった。快感に塗れてすっかり破顔したまん丸の顔。まるで絶頂した女の顔をしていた。


「……気持ち良いです」

「そうか。良い物を見せてもらったよ、ありがとう」


 男は礼を言うと布で手にかかったおしっこを拭き取る。そしてもう片方の、おしっこの難を逃れた手で懐を探りパンを手に取った。三枚の食パン。しかも焼いた物にバターを塗った豪華なパンだった。それを紙に包み、レイの前に置いた。


「これは報酬だ。こんがり焼けた食パンにバターを塗った高級品だ。それをやろう。また来るよ。あ、それと僕の術は既に解かれてる。おもらしすると魔法が解ける仕組みなんだ。だからパンツは脱げるよ。それじゃあ」


 男は手を振って去っていった。レイは一人残された。魔法が解けた事に安堵し、パンツを脱ぎ捨て、新しいマイクロビキニパンツを生やした。それをまた脱いで濡れた股と足を拭く。そしてそれも捨てて、また新しいマイクロビキニパンツを生やす。これで元通り。パンを手に取り寝床に座ると酒を一口。


「……気持ち良かったなぁ」


 おしっこが漏れた瞬間の快感をレイは頭に刻み込んでしまった。レイは完全に癖になっていた。またおしっこを漏らすまで我慢して、おもらしをしよう。レイはそう心に決めていた。今度はクライムに見られながら。リーキとガロウに見られるのは恥ずかしいから止めておこう。クライムになら見せれる。レイはそんな事を思いながらも食パンをかじるのだった。


「ん、美味い! こんなに美味いの、焼いた食パンって!?」


 それは今まで食べた事の無い美味い食べ物だった。レイは我慢したかいがあったと思った。

 レイが今日の出来事が癖になり、度々おしっこを自ら我慢しておもらしして楽しむようになるのはまた別の話。

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