ノヴァの物語1

 メディカルスクール在学中のエヴァは、この前、何かの賞をもらったらしい。(ごめん、難しくて研究内容もその賞の名前も覚えてない)

 今日、そのお祝いをするので、もうすぐ帰ってくるはず。


「ただいま、母さん」

 エヴァは母さんをハグして、

「はい、これ」

 小さな花束を渡す。母さん好みの可愛いらしい色あいで、母さんはニッコリした。

「ありがとう、エヴァ」

 こういう心遣いはあたしにはできない。コイツは絶対モテるだろうと思う。

「エヴァ、お帰り。おめでとう」

「ありがとう、父さん。ラディおじさんも、ノヴァも元気そうだね」

 あたしはおじちゃまとひとまとめで一緒かと心の中でツッコミながら、一応笑顔で、

「お帰り、エヴァ」そう言っておいた。

「お帰り。また背が伸びてないか?」そう言うおじちゃまに、

「さすがにもう伸びないと思うけど」エヴァは笑う。


 おじちゃまの言う通り、エヴァの背が伸びはじめたのは遅くて、母さんより少し濃いスミレ色の瞳で、今ではあたしを見下ろすようになった。

 痩せっぽちで、泣いてばかりで、しょっちゅう熱を出していたくせに。生意気な奴。あたしの双子の弟。


 でも、あたしはコイツに救われた。


 

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