エヴァの物語3
僕が高熱を出して肺炎になりかけたとき、父さんはメディカルセンターの小児科に入院させて、この機会にと詳しく検査した。よく熱を出す僕に、何か先天性の問題でもあるのではと心配していた。でも異常は見つからなかった。
そのあと、僕は両親が夜中に話しているのを偶然、聞いた。
父さんが言っていた。
「何も異常はなかったんだよ。それじゃ、何が問題なのかなぁ」
「あとは心の問題、かも。エヴァはきっと自分を見て欲しいのよ」
「もっとかまってくれ、ということ?」
母さんは首をふった。
「ありのままの自分を見て欲しいってこと。エヴァの問題じゃなくて、私達の問題でもある」
「どういうこと?」
「あなたはエヴァを通して、その向こう側の人を遠くに見ているのでしょう? それをきっとあの子は感じている」
父さんも母さんも、エヴァと僕の名前を呼びながら、遠い目をしてることがある。父さんはこの名前を考えたとき、母さんにもラディおじさんにも反対されたけど、覚悟して押し通したのだと、僕はあとでおじさんから聞いた。
僕が熱を出さなくなったのは、たぶん僕の方が変わったからだと思う。
たぶん慣れてあきらめたのだ。そう見られることに。
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