第13話 予想外の勇者召喚
眩しかった光が収まり、徐々に目が慣れてくる。
あれは!?
思わず声が出そうになるのを堪えた。
鮫島だ。
下田と葛野もいる。三人は状況が分からないのか、放心しているようだ。学生服を着たアイツらは俺の記憶にある卒業式のときのままの姿だった。
「ん? 何だここは。不審者のおっさんはどこいった?」
「鮫島君、何か変だぜ」
「あっ、もしかしてこれってアレっすよ。アレ」
「おおっ!」
葛野の言葉で察したのか、立ち上がりまわりを睨みつける鮫島。この日本の若者には分かり易すぎるシチュエーション。下田は『ステータスオープン』と何度も呟いているようだ。多分それでは何も出てこないぞ下田、既に俺が試している。
「ふーん。ということは、アンタが女神さまだな」
糞ムカつく奴だが、こんな状況でも動じないとは。鮫島の堂々とした態度に勇気づけられたのか、下田と葛野も立ち上がる。
「いかにも。
「ああ、そうだ。言葉も話も通じるな、こりゃ運がいいぜ! 本当に異世界に来ちまったようだ」
鮫島の様子を見て、女神様は満足そうに微笑む。
「して、そなたらはどの時代の人間であるかの? 可能性としては、ショウワ、ヘイセイ、レイワ辺りと見るが、どうじゃ?」
「レイワ? なんだそりゃ、平成に決まってるだろうが!」
「ほう、
レイワって何だ? それよりも俺がこっちに転生して随分時間が経っているはずだが、アイツらの見た目が全く変わっていないのはどういうことだ。女神様が『どの時代』といった。ということはこの召喚魔法は時間も越えるのか。
「おっ。この子可愛いっすよ、鮫島さん。お姫様っすかね。それにあっちにはエルフもいるっす」
「いいじゃねえか、
いやらしい視線を向けられて、うんざりした顔をするアリシア様とシファさん。
「鮫島君、ステータスだ! 職業とか数値が見れるぜ」
「マジか!」
「おお、まさに異世界ファンタジーっす」
宙を見上げて何かに手を伸ばしている下田の言葉に反応する二人。
おいおい、どういうことだよ。俺には見れなくて何でアイツらには見えるんだ?
「以前に召喚した者から、聞いておったからの。特別にそなたらの力を可視化できるようにしたのじゃ。女神であっても骨の折れることであった。感謝するがよい」
「おう、ありがとよ。女神さん」
鮫島の
「よいよい」
それを制する女神レティシア。
「じゃが、サメジマ。今のお前たちではこの騎士たちの足もとにも及ばぬ。調子に乗っておると斬り殺されかねんぞ。
「ああ、そんなことは分かってるぜ。だったら、魔王を倒したらそのお姫さんを好きにしていいか?」
「もちろんじゃ。アリシアはこの国の第三王女であり聖女でもある。魔王さえ居なくなれば聖女もその役割を終える。その後であるなら、好きにすれば良いぞ」
「うっひょー、話が分かる女神さまは大好きだぜ」
「それでは皆様。この後王との
あんなことを言われたのに、澄ました顔で鮫島たちの移動を促すアリシア様。
「ヒロト、顔が怖いぞ。これも世界の平和のためだ、我慢するんだ。いずれあの勇者たちと共に我々も魔王討伐に行かねばならない。仲良くしろとは言わないが、最低限の協力はしてくれ」
「ああ、そうですか。それもそうですね……」
アリシア様に買われている時点で、俺にはそもそも選択権などない。剣や魔法を教わるということは、アリシア様の従者として危険な場所にも
アリシア様のことが気になるが、シファさんに促されて俺は部屋を出ようとする。
「坊主」
女神様に呼び止められてしまった。全身の毛が逆立った。
「は、はい」
恐る恐る振り返る。女神様の視線は俺を捉えている。
「お前、何か変だな」
変って、どういうことだ? 目の前にいるのは美し過ぎる女神様。だが、なぜか俺には強大な怪物を前にしているような感覚しか無かった。
「気のせいか……、どう見てもただの小物であるな」
そう言うと興味を無くしたように俺から視線を外す。
「エルフよ、あの異世界人たちをどう見る? 正直に申すがよい」
「はあ。どうして私に聞くかな……。レティシア様の大好きな
「そうであるか」
女神様の美しい顔に悪そうな笑顔が浮かんだ。やっぱりこの人怖い。
女神様にもういいと言われ、シファさんと俺は足早に部屋を出る。
「私はあの方が苦手だ……」
「奇遇ですね。俺もです」
帰り道でシファさんの
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