第7話 聖女様はお姫様
部屋の中には
「レンブラント、あなたには驚かせられるわ。教皇候補のひとりだったあなたを失脚させたのに、再び見習いからやり直して
彼女はうんざりした顔でそこまで言うと、ため息をつく。
「ヒロト殿が
「だ、駄目よ。ヒロト君は私が預かるんです……。邪魔しないでレンブラント。わ、私は本気よ! 私の前に立ちはだかるつもりなら、戦争よ!」
な、何だ。何が起きているんだ。聖女様がレン司教にビシッと人差し指を突きつけている。
「戦争と言われましても、第三王女であるあなたには軍を動かす権限はございません。かつこう言う私も今や一介の神父、いや
「そうよね。戦争なんて少し言い過ぎたわ。わ、分かっていればいいのよ」
「では、ヒロト殿を預かるとアリシア様が
「そ、それは秘密よ。秘密! こ、これは国家レベルの機密事項なの。教会にも、女神様にも秘密なの!」
うーん、よく分からないがアリシア様の必死さだけは伝わる。
「そうですか。ヒロト殿の安全をお約束頂けるのであれば、私も
「当たり前よ、ヒロト君に私が何かするわけ無いでしょ!」
レン司教は、ニヤリと笑うとひらひらと手を振って部屋を出て行ってしまった。おい、あんたの全力の支援とやらはどうなった?
「アンナ、お茶を。とびっきりいいのでお願い。あと王都で評判の店の桃のコンポートがあったわね、それも」
「アリシア様、すぐにお持ちいたしますにゃ」
レン司教と入れ替わりに入ってきたのは頭に
「やっぱり、獣人って珍しいわよね。もしかして初めて見た?」
おおっ、アリシア様のお顔が近い。何かいい匂いがする。これが女の子のいい匂いというやつなのか。
「え、ええ。お、俺は
この世界にはエルフやドワーフといったファンタジーな種族がいることは、キノ爺から教わった。このオルタンシア王国は人族
「アンナはね。悪い
「お、お姫様がですか?」
悪い奴らというのがどんな連中なのかは分からないが、奴隷商人的なものなのだろうか。
「私は
隣で
「す、素晴らしいことだと思います、アリシア様」
「本当に! ヒロト君にそう言ってもらえると嬉しい」
俺の肘に、絡みつくアリシア様のお胸が……。気を失いそうになったところで、アンナさんが戻ってきた。
スンスンと辺りの匂いを
「初めてお会いしたとは思えないほど、お二人は仲がよろしいのですにゃ」
「まあ、アンナにもそう見えるのね! そうよ、そうなのよ」
どういうことだ? もしかして俺ってこのお姫様に気に入られているのか?
アンナさんが、紅茶を
「じゃあ、ヒロト君。あーん」
ま、まさかこれは。俺は夢でも見ているのではないのだろうか。言われるがままに口を開けると柔らかく甘い桃が……。う、美味いです。俺の頭はその甘味への準備はできていたが、身体の方が衝撃で打ち震える。口の中で溶けて無くなってしまったそれの
「な、泣いてるの!?」
本当だ。俺泣いてる。
「よっぽど大変な生活をしてきてたのね……」
がばっとアリシア様に抱きしめられてしまった。同い年くらいのはずだが、年上のお姉さんにそうされるように俺の顔はアリシア様の胸に収まる。ここにも柔らかな桃が二つもある。ああ、ここは天国だったのか……。
「コホンッ! アリシア様そういう行為はアンナくらいボインボインにならないと
「何ですって! 誰が貧乳だと!」
いや、俺はそれくらいが好物です……。アンナさんがスイカサイズのそれを自分で揺らしている。あ、あれは、危険な物だ。
「す、すいませんアリシア様。ど、どうして俺にこんなに良くしてくれるのですか? 俺はスラム出身の
「そ、それもそうね。えっと、
「どうでしたか、アンナは覚えていないですにゃ」
「ちょ、ちょっとアンタ!」
うーん。何か運良くお姫様の目に
「ん? な、何なの。その子は……。か、可愛い……」
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