第6話

まさかの莉愛回



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ナユと知り合ってから一週間が過ぎた。


今のところ、毎日放課後にナユと遊んでいる。それで思いとどまってくれたら楽なのだが、そう上手くもいかないだろう。正当な手段で言うならナユの心に残った傷を治すためにルートを最後まで進めるしかないのだが、そしたら他のヒロインが死んでしまう。どうにかして手早く救いださないと。


今日、俺と莉愛は共に俺の部屋でナユのことを話していた。


「俺はどうしたほうが良いのかねーー。」


「ナユちゃん、自分から話そうとする仕草は全くないよね、そんな頼りないかな…」


「まあまだ知り合って一週間だしな。」


俺と莉愛はナユから話してくれることを期待していたのだが、ナユはまだバレていないと思っているのか、自分からリストカットや元カレのことなど全く言う気配がない。


ナユは中学から三年間付き合った元カレが高校入学と同時に他の女と一緒に出かけているのを見てしまい、それを追求したら浮気をされていたことが発覚。そしてその男はナユと別れてその女と恋人になった。そこからナユは精神を病んだ。というストーリーだ。


ちなみに莉愛にはこの事を話している。何で知ってるの?と聞かれたが、風の噂と言ったら特に追求は無かった。


「やっぱりナユちゃんには誰か寄り添ってくれる人が必要なんだよ。」


「ああ、やっぱり待ってるだけじゃダメだな。ちゃんとこっちからナユを助けないと。」


「ねえ真宙。何でそこまでナユちゃんに執着するの?」


莉愛が疑うような視線を俺に向けてくる。しかし、俺は動じることなく堂々と言った。


「友達だからだよ。」


本来ならナユはいつも通りの元気で天真爛漫な女の子である。しかし、元カレという名の最低な男がいたからこそ変わってしまった。だからこそ救ってやりたいというのが本音だ。


「そう、まあ私は真宙が友達できて嬉しそうにしてて良かったよ。でも……」


莉愛は急に俺の近くに移動して耳元で話してきた。


「私のこともちゃんと忘れないでよ?」


思わず身震いしそうになったが、どうにか抑えて平常心を装う。…一番気をつけなければいけないのは、案外莉愛なのかもしれない。


「ああ、もちろんだよ。莉愛もナユのことが終わったらまた遊ぼうな。」


「うん、でも…その時は、二人きりが良いな。」


「そ、そうか。」


莉愛はその後に少し笑いながら、「ごめん、意地悪しすぎちゃったね。」と言って俺から離れて俺の部屋の棚にある本を適当にとって読み始めた。……本の位置とか全部覚えているのだろうか。


莉愛はゲームの中では最初からヤンデレ系キャラだから、莉愛以外のルートを進んだら死亡確定キャラなのだが、誰とも付き合わないで全員のルートを進めたら彼女はどうなるのだろうか。そこがまた一つの懸念点である。


「ねえ、真宙。」


「ん?どうした?」


莉愛はまた俺の隣に来て話しかけてきた。


「今まで気づかなかったから言ってなかったけど、私ってミステリー小説も好きみたい。」


「お、おう。それがどうした?」


俺が言葉の意味を理解できずに聞くと、彼女は微笑んで答えた。


「もう、いつも言ってるでしょ?真宙には、私の全てを知って欲しいんだ。私の好きなものも嫌いなものも、全部。」


莉愛はその言葉を言ってもずっと微笑んで俺のことを見ている。


……俺は全員のルートが終わるまで無事でいられるのだろうか。





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作者「主人公いつか刺されそう。」

真宙「物騒なこと言うな。」



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死んでしまうはずのヒロイン達を救ったらヤンデレ化して迫ってきました ʕ•̫͡•ポリエステル54杼ʕ•̫͡• @subetegagoraku

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