第2話
「真宙、結局大丈夫なの?」
「ああ、さっきはごめん。少し寝ぼけてたよ。さあ、高校生活最初なんだから早く行こうか。」
「うん!」
あれからしばらくして、俺は莉愛と共に学校に行くことになった。莉愛は陽気に歩きながら度々俺を見てくる。莉愛は公式設定では、主人公。つまり今の俺に長年恋をしているという設定だ。それこそ、真宙がいないと生きられない程に。その設定を知っている俺は少し複雑な気分になるが普通に接していれば大丈夫だろう。
「初めての高校だけど、私は真宙と一緒のクラスがいいなぁ…」
莉愛はそう言うと少し落ち込んだ様子になった。だが、俺は
「大丈夫だよ。絶対に一緒になれるから」
と言った。何故言い切れるかって?ゲームでは高校初日がスタートだから、俺はクラスを知っているからだ。そしてもちろんゲームの世界なので、俺とヒロイン達全員が同じクラスになるのだ。
「…そうだね。一緒になったらいっぱい喋ろうね!」
莉愛はそう言って笑った。ゲームの結末を知ってる俺でも素直に可愛いと思ってしまう程だった。
◇◆◇
それから俺らは高校へ行き、入学式を済ませて、クラスへと向かった。案の定、俺とヒロイン全員は同じクラスになり、莉愛が俺に近づいてきた。
「本当に真宙の言ったように同じクラスになったねー!今年一年もよろしくね!」
「ああ、よろしくな莉愛。」
俺が莉愛と一緒に歩いていると、ある一人の女子がこちらに近づいてきて俺の隣の席に座った。
「こんにちは。」
隣の席の子がそう俺と莉愛に向かって挨拶してきた。女の子は黒い髪を背中まで伸ばした少し幼なげな顔をした清楚という言葉が相応しい美少女だった。
「こんにちは。確か…天王寺さん、でしたよね。」
「よくご存知ですね。」
天王寺は俺を驚いた様子でじっと見つめた。
「隣の席なので、名前だけでも覚えておこうかと思って…」
そうは言ったものの、もちろん嘘だ。この子は
「そうですか。では私もあなたの名前を知りたいので教えてもらっても良いですか?」
「俺は光瀬真宙。そしてこっちは露重莉愛。」
「よろしくねー!」
「はい、よろしくお願いします。光瀬さんに露重さん。」
俺と莉愛は天王寺に軽く挨拶をして、その後はクラスで軽く自己紹介をして帰ることになった。
「じゃあ真宙、早く帰ろ!」
「ああ、行こうか。」
俺は莉愛と共に帰ることにした。入学初日ということもあって、学校は午前中で終わり、すぐに帰ることになった。
「お腹減ったなぁ。」
「そうだな。早く帰って昼飯食うか。」
「真宙は自分で作んなくていいから楽でしょうねー。」
「優しい義妹がいるからな。」
俺と莉愛は昼飯トークに花を咲かせながら帰った。莉愛は食いしんぼうという設定があるのでよく食べるのだろう。
「じゃあね真宙!」
「ああ、また明日!」
俺は自宅の前に着くと、莉愛と別れて鞄から鍵を取り出した。そして鍵を差し込み、ドアを開けて家の中に入った。
靴を脱いでいると、リビングのドアが急に開いて一人の女の子が出てきた。
「…遅いんだけど。」
「すまん。ちょっと遅くなった。ごめんな、
「ほら、もうご飯出来てるから一緒に食べよ。」
「ああ、ありがとな。」
俺がそう言うと、綺麗なピンク色の髪の毛を靡かせながら、ヒロインの一人であり主人公の義妹、光瀬千華は小さく微笑んだ。
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ヒロインは四人います。
あと一人は出てませんが作者はもう今の時点で千華が一番好きです。
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