# 06「だから少しでもお仲間を増やせればと思い・・・」

村は妖精たちの魔法で着々と再生が進んでいた。ハッカタウンとは違いすぐに復興が住みそうだ。




ぐらたん達は里の村長に招かれ、彼女の家に入った。


村長の家は他のものより大きいがやはり妖精サイズなので、内装は小さい。ぐらたんはソファーに座るがほぼ体育座り。アギャンとウンギャンが座ってちょうどいいサイズだった。


「村を救ってくださり、ありがとうございました。御礼ですが、こちらをお召し上がりください。お口に合うかどうか分かりませんが、我々の名物です。」


差し出されたのは、わらび餅。ワタノ地方のデザートらしい。水のように透き通っている。


「わーー! ありがとう!! 遠慮なくいただきます!!」


「「いただきますギャン!」」


食べ方がよく分からなかったぐらたんは、アギャンとウンギャンの食べる様子を真似て、黄色っぽい粉を塗し、黒い蜜を垂らした透き通るお餅をデザート用の小さな串にさして、口に入れる。


「・・・!!!」


控えめで渋い甘さが口の中に広がる。そしてひんやりとモチッとした食感がとてもマッチしている。爽やかな気分だ。


ぐらたんは左手で頬を押さえる。エメラルドの瞳からキラキラと輝きが見える。


「美味しい~! 主張し過ぎない上品な甘さ! 後からくるひんやりとした食感が最初に来るの甘さと調和してる。このひんやり感はもともとのお餅の温度感だけど、さらに冷たい感じが・・・・・・これはミントだね」


目を輝かせたぐらたんは感想を述べた。


村長はにっこりと微笑む。


「さすが巫女殿。そう・・・隠し味にミントが練り込まれているのです。はっちゃん様がお作りになりました。」


「へ~~!! あのおじいちゃんが!?」


「どこかで食べたことのある味だと思ってたら、あのはっか龍王様が作ったものだったなんて・・・」


アギャンとウンギャンは久々の味を堪能し、堕天前の想い出に浸っていた。


「そうだ。あなた方にお渡ししたいものが・・・」


「え? おかわり? もちろん頂くー!!」


ぐらたんは舌で口を拭い、期待の眼差しで村長を見つめる。困惑しながら村長は箱を取り出す。


「お嬢様!! 欲張りはダメですギャン」


ウンギャンがローブの袖を引っ張るのに反応して言い返す。


「その串を片手によく言うよ」


ウンギャンも期待していたようだ。


村長はわざとらしく咳をして見せ、空気を戻す。箱を開けるとそこには、


「イ、イヌガミギア!?」


色は違えど、間違いなく形状はぐらたんの持っているものと同じものが入っていた。


「ええ。IG-01、イヌガミカン。古い友人から預かったイヌガミギアです」


「村長さん、イヌガミギアはもう持ってるから、それを頂くのは・・・」


村長は首を振る。


「いいえ。あれはアクムーンと言いましたか・・・・・・あの力は邪悪でそこが知れません。あなたの戦いも一人では厳しくなっていくことでしょう。だから少しでもお仲間を増やせればと思い・・・ここにはこのギアしかありませんがお受け取りください」


「うーん、仲間ねえ・・・」


ぐらたんは手に取る。戦力が増えるのは心強いが、


「貰ってもいいけど、扱える人がいないと・・・・・・」


「お嬢様、仲間を探しましょう! 犬神少女が増えれば、ネビロス様の救出も容易になりましょう!」


アギャンは身を乗り出し提案する。ウンギャンも隣で頷く。


「そーだね! 村長さん、もらっていくよ」


「お願いします・・・そうだ、候補には当てがあります! あの子なら、力になってくれるはず」


ぐらたんたちの次の目的が決まった。




まずは村長の言う、犬神少女候補を探しにいくことだ。


同じ犬神少女と並んで戦うことになるのは少し恥ずかしい気がするがアクムーンに対抗できる仲間が増えるのは心強い。その間に船虫とかいう虫にもまた会うはず。人が集まる場所にいけば奴は現れる、おそらく・・・

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