第1章 部活を救え! 俺らの青い春!


「よっしゃあがり!!」

俺は飯田。今は部活の真っ最中だ。

「また飯田かぁ…!」

このメガネは墨田、よく遊ぶ仲間の中では真面目な方…だったんだけど、俺と一緒にいる時間が増えてから成績が普通位になった。不思議なこともあるもんだ。

「飯田はバカなのに人の癖とかよく見てるもんね〜」

「バカは余計だ!」

俺をバカとか言いやがるこいつは新田。いつもニコニコ笑っていて少し気味が悪い、がこいつがいないと俺と墨田の喧嘩を止めるヤツが居なくなるし空気も良くなる。清涼剤ってやつだ。

「シンプルな学力勝負なら確実に負けねぇのに…」

「その学力もどうやらまた落ちてきたみたいだねぇ?優秀だった昔の墨田くんはどこに旅立ったのかなぁ?」

「お前ほんとに!!!」

「まぁまぁ、落ち着け落ち着け」

俺と墨田に新田。みんな苗字に田が着くっていう単純な理由から仲良くなった3人組だ。

俺たちはボードゲーム同好会という部活をしている。各々が持ち寄った古き良きアナログゲームをして色々な文化に思いを馳せる、というのが表向きの活動内容だが、その実態は遊びの時間。学習なんてクソ喰らえだ。顧問は基本怒らない温厚なおじいちゃん先生。それっぽい理由話したからこの活動が許されてる。あと基本来ない、というか来させない。バレたら絶対怒られるし。

そんなギリギリアウトになるような活動時間が俺たちの青春だった。

そして今、その青春が…終わりを迎えようとしていた。


事の発端は今朝だ。登校するや否や、学年主任に呼び出された。3人まとめてだ。

「なんすか?」ととぼけようとしたが遮られ、本題に入られた。

「ボードゲーム同好会を廃部とする」

廃部。

廃部?

廃部!?!?

「ちょっと待ってくださいよ!!」

「なんで廃部なんですか!?」

「僕達いつもちゃんと活動してますよ!!??」

学年主任を捲し立てる。

そりゃそうよ!!俺らの大切な場所無くなるんだぞ!!嫌に決まってるでしょ!?

めちゃくちゃに焦って口達者になる俺たちとは反対に、冷静に返した。

「落ち着け、まだ決定じゃない。今のままだと廃部になるってだけだ。」

その言葉を聞いて少し安心した。

「じゃあ…まだ廃部じゃないんですね?」

墨田が聞いた。

「廃部ではない、だが廃部にかなり近しい状態だ。」

「かなり近しい?」

何を言ってるのかよく分からなかった。


とりあえず俺たちは教室に戻り、状況を理解した。

現状の問題点は2つ。

1つ、活動内容に必要性を感じない。ただの遊びをしているだけでは無いか、具体的に何を学習しているか、それに意味はあるのか等色々言われた。しかしこれは問題無いだろう。俺たちは既におじいちゃん先生に伝えている。カードゲームをすることによるメリット、この時間を取ることで想像力が掻き立てられ未来を担う俺らに必要な能力を養うことが出来る、と。そこからはおじいちゃんに任せることにはなるが問題は無いだろう。

問題は2つ目、部員の数が少なすぎる。3人だけではどれだけ活動していたとしても活発な活動をしているといくら証言していても説得力が少なすぎると。少なくともあと5人は集めろ、とのことだった。

「さて、お前らどうしようか。」

「なに冷静に解説してんだよおぉぉ!!!!!」

「いったい!!耳いったい!!!!!」

叫ぶな!!2人して急に叫ぶなよ!!!

「なんだよいきなり!!!」

「なんだよじゃない!!」

墨田が俺を責め立てる

「1つ目はべつにいいとして!!2つ目!!お前まじどうすんだよ!?集められるのか!?」

続いて新田が俺を責める

「いいかい!?君はバカだから理解してないだろうけどね!!傍から見れば僕らイキって陽キャぶってる激痛ポジにいるんだよ!?理解しろよ!!」

うん…うん?

「何言ってるのかさっぱり…」

「簡単に言うと!!お前は馬鹿なんだよ!!!!!」

「うるせぇなぁ!!」

「お前のせいだろ!?!?」

「とりあえず喧嘩はやめよう!!な!?」

俺と新田の言い合いを墨田が止めるという異様なケースだがとりあえずみんなで頭を冷やした。

「とりあえず、ひたすらスカウトしかないな…お前らって俺ら以外に仲いいヤツいる?そいつ誘えば良くね?」

シンプルな提案、だがこれが手っ取り早い。

尚、俺は誰も誘わない。

めんどくさいからだ、決して友達がいない訳では無い。

「んー、俺は1人…でも入ってくれるかは分からねぇな…」

「ナイス墨田!1人でも増えるのはいい!新田は?」

「せいぜい3人かな?」

3人ね…ん?

「3人!?」

多くないか!?そんな友達いたの!?

「いやぁ、ギリギリ入ってくれるかなーって考えた時来てくれそうなのが3人かなぁって」

ってことは友達ほんとはもっといるってことかよ…すごってかこわ…

「分かる。俺もかなり厳選した。」

厳選した!?ってことは墨田も…

「んで?飯田は?」

「あと一人呼べばいいんだよ?簡単簡単!」

「えっ」

やっべー。てっきりみんな友達いないからむりじゃーんはははーのオチだと思ってたのに…!!

こいつらいわゆるリア充なのか?そうなのか!?!?

「オ、オレモー?ゲンセンクリカエシテタンダケドー?ダレモヨベナクナッタトイウカー?」

これだ…!これで誤魔化そう!!

「あーそうだね、友達いないもんね」

「飯田には酷だったか…すまんね」

「えっ、あ…うん」

…悲しいなぁ。

そこから相談の果てに、一人一人目に映ったやつから声掛けてスカウトすることにした。

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7つの記憶 アラタネコ @Arata_neko

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