第5話 消せない呪いは愛の魔法
ユーゴの見立て通り太陽が真上に昇る頃にはリエンシに到着していた。
農村でありながら発展しているという紹介に違わず、セスファリナで言う玄関街に当たる部分は施設が充実していた。
宿屋や酒場というお馴染みの建物が立ち並ぶ通りは人で賑わっており、その中にはセスファリナでも見なかったような野菜や果物の加工物を売る屋台やベーコンやバターの加工を体験する工房なんて物もあった。元の世界の地元で盛んに行われていた六次産業化がリエンシでも起きているようだ。
そんな農村らしい風景の中に、一際目を惹く物があった。七人ほど乗れそうなサイズの"乗り物のような物"だ。
「……ユーゴ、あの乗り物ってどういう物なの?」
発着点らしい建物に一台だけ停まっているそれは、機械らしさが所々に見えるものの場違い感はそれほど感じなかった。
「あれは"ルフィオトラタ"という魔法で動く乗り物です」
「やっぱり魔法で動くのか。タイヤとかが無いようだけど…… 飛ぶのか?」
「その通り。"ルフィオ"という言葉は"飛ぶ"を意味し、そして"トラタ"は物を運搬する物全般を表す言葉です。名の通り飛んで荷物や人を運ぶ代物なのです」
歩きながら発着点を眺めたユーゴが解説を締める。
この世界でもそれなりに珍しい物なのか、近くを通りかかった旅人達は内海と同じように歩きながらもルフィオトラタに目が釘付けになっていた。
「……珍しい物なのか?」
「はい。ユキ様が解明した"ティエルの
「へえ、あれが例の」
「と言っても、あれそのものが昔存在していた訳ではありません。ティエルの錬成物として実際に伝わっていた物は"空飛ぶ箒"です。ユキ様が解明したその技術を基にエゼルの職人達が力を合わせて造ったのがあのルフィオトラタという訳です」
去り際に背後を向いて改めてルフィオトラタの形を確認する。
いわゆる技術の粋を集めて作られた物だ。それも、自分と同じ転移者であるユキという人物が第一歩となっている。
信じられないような確かな史実の一端を垣間見た内海はただ首を傾げる事しか出来なかった。
「未だ世界に六台程しか存在しない超レア物ですよ。セスファリナには二台ありまして、一台は研究用、もう一台があれです。今は試運転用としてリエンシとセスファリナ間で貨物の運搬のみを行っているんです」
「へえ。ティエルの錬成物って事は魔法よりも錬金術寄りの技術なんだよな」
「ええ。原動力として魔法も必要ですが、逆に言えばそれ以外は錬金技術によって成立しています。それに今では魔法以外の原動力の開発も小規模ではありますが取り組まれているんですよ」
「そんな動きがあるのか。やっぱ蒸気機関みたいな感じになるのかな?」
「あり得ますね。やはり熱を原動力として使う方向で考えられているそうです」
「ほおー」
関心とため息が混じったような声を漏らした途端、内海の頭上をルフィオトラタが通って行った。魔法陣が光り、操縦士と思われる者が何かを詠唱している。
かなりの速度を出しているにも関わらず騒音が全く無く、そして小回りも効いている様子だ。排気ガス等が出ているようにも見えない。
そんな様子で自由自在に飛行している光景を見た内海は現実での蒸気機関車を思い浮かべた。
「凄いな。蒸気機関にするよりもあのままの方が色々と良さそう」
「それはそうでしょうね。でもきっと、今研究されている技術を足掛かりに工学が成長を始める事でしょう。ルフィオトラタは今の時代には過ぎた力ですから、数歩下がった場所からのスタートにはなりそうですけどね」
この世に思い描いていたファンタジーとの微妙な相違に少しだけ戸惑った内海であったが、その数秒後には自らが解明すべき謎をどのように見つけるかという悩み事が思考の大変を支配しつつあった。
「なんというか、俺に出来る事はもう残ってなさそう。この世界」
学校で学んだ事を基に何かを探すという事も考えてはいたが、その程度の事で見つけられる謎はもう残っていない。そんな予感がする。
「そんな訳ありません。確かに内海様の世界よりも優れている部分はあるかもしれません、でも他の部分で不便を感じたり疑問を持つ瞬間はいつか必ず来ます。そこが狙い目ですよ!」
「そっか…… なんか、ありがとうな」
「いえいえ。それに、この世界ではまだ馬車が主流ですから。今見た光景を基準として世界を見て回ると多分ガッカリしますよ」
「ガッカリって。そんな事は無いと思うぞ。良い世界だよ、きっと」
「ふふ。ありがとうございます」
会話の区切りと共にルフィオトラタによって巻き起こった風が止んだ。
ふと背後を確認すると、物珍しさに集まっていた旅人達は既に解散して再び各々の行き先へと向かい始めていた。
「ところで、さっきの乗り物は世界に六台しか無いって言ってたよな。やっぱり量産は難しいのか?」
「はい。現状において"自国のみの技術"でルフィオトラタを高品質で製造できるのはエゼルだけなんです。セスファリナも一応作る事自体は出来ますが、製造の人員が限られる都合上コストと品質がいまいち釣り合わないんです。先程見たような颯爽と走れる機体は未だ作られていません」
「そうなのか、確かに話を聞く限りではエゼルは物作りが盛んって感じだもんな」
「ええ。でも、最近ではクラットランド島なら作れるんじゃないかと言われているんです。魔法技術も錬金技術も、優秀な人材がどんどん流入しています」
「クラットランド島って、確か高科さんが滞在してる場所だっけ」
転移者達のメモに書いていたのを見ただけであり、詳しい事は把握できていない。この機に聞いてみたいと希望を示すように世界地図を広げると、彼は同じく地図を覗き込みながら話し始めた。
「その通り、高科様が主に拠点としている島国ですね。砂漠や雪原、そして湿地帯や高山まで様々な環境が混在する不思議な島で各国の学者もどんどん集── わぷっ」
「えっ?」
しかし、その解説は女性とぶつかった事で途切れてしまった。
「あ! すみません!」
即座に謝る内海に対して、当の二人は何が起きたのか分かっていない様子で暫く互いの顔を見つめていた。
「あら…… あらあらあら。ぶつかったのね。お怪我は無ぁい?」
ユーゴの顔を見下ろして状況を把握したのか、その女性は手に持っていた地図を畳みながら屈み、ユーゴと目線の高さを合わせた。
柔らかくウェーブを描く桃色の髪の毛、優しい印象を与える垂れぎみの目尻──
などと特徴を観察している自分が気持ち悪くなった内海は咄嗟に視線を逸らした。その時、彼女の腰元に鞭が提げられているのを見つけた。
「……」
怒らせたらマズい。内海は直感的にそう思った。
「す、すみません、大丈夫です。そちらこそお怪我はございませんか?」
ユーゴが焦った様子で頭を下げる。対する女性は首を横に振った。
「私は大丈夫よぉ。こんな道の真ん中で立ち止まっちゃってごめんなさいね」
のほほんとした語気や覇気のない笑顔からは優しそうな印象を受ける。
ユーゴに怪我が無い事に安心したのか、困り眉で笑顔を浮かべたその女性が今度は内海の方を向いた。
「お連れの方も、ご迷惑をおかけしました」
「っ! あ、お……っ!」
丁寧なその振る舞いを見ると内海の考え事は弾け飛ぶように消えた。
相手が怖いか優しいかはさておいて、こちらの非礼に対して誠意ある対応をしなければならない。それが常識だろう。
狼狽えながらも互いに怪我がない事を確認出来た内海は改めて女性へと頭を下げた。
「こちらこそすみません! 余所見をしていました」
顔を上げると、その女性は無言のまま内海の顔を凝視し始めた。
ぽかんとしたような表情で手を頬に当てたまま、十数秒の間動かずにただ内海の顔を見つめていた。
「……っ」
怒らせただろうか。あるいは不快にさせただろうか。昨日も喫茶店のウェイトレスを不快にさせた。
鮮明に思い起こされた当時の感情と現状への不安が内海の胃を刺激し始めた頃、その女性はようやく表情を変えた。
「うふふ、ご丁寧にどうも。私はマガリー、マガリー・ヒナスカリア。貴方達のお名前は何て言うのぉ?」
「え?」
好感度などもう見たくない。そう抗うように強く意識している所に掛けられた言葉はほんの少しの友好を感じさせた。笑顔まで浮かべている。
「えっと、内海大河です」
微かな違和感を感じながらも内海が答えるとマガリーはニコニコと笑顔を浮かべたまま名前を記憶するように深く頷いた。
「ウツミ・タイガさん…… 翼の生えた君は?」
「私はラウンセルと申します」
「ラウンセルさん。なるほど。お怪我が無くて安心したわ」
しばし考えるようにユーゴと内海の顔を見ていたマガリーはやがて気が済んだようにお辞儀をして地図を広げた。
「ごめんなさい、実は私急いでいて…… これで失礼するわね。どこかで合ったら改めてお話しましょうね」
「は、はい。お気をつけて」
「またねー」
ひらひらと手を振りながら去ってゆく背中を見送りながら、内海とユーゴは困惑に包まれながら暫くその場に立ち尽くしていた。
「不思議な雰囲気の方でしたね」
「優しそうではあったけどな」
「そうですね」
ぶつかった事の反省から内海が地図を仕舞い込むとユーゴが再び歩き始めた。
「ええと、何の話をしてましたっけ」
「クラットランド島に人材が流入してるって話」
「ああ、そうでした。 ……続きはまた今度、落ち着ける時にしましょうか」
「そうだな。腰を据えてじっくり聞きたい」
既にマガリーの姿は見えなくなっていた。後を追う訳では無いが、内海達も続くように街を歩き始めた。
──────────
街の中心のあたりに辿り着いた頃、ユーゴの腹が鳴ったので二人は適当な食堂に足を踏み入れた。
内装はいたって普通の飲食店といった雰囲気であり、注文できるメニューもまたパスタやハンバーグ等癖の無い普通のラインナップであった。
「昼食を終えたらどうします? 一通り街を見て回りますか?」
ピザ二枚とフライドポテトとミートソースのパスタを注文したユーゴが窓の外を眺める。
「そうだなあ…… リエンシは川が綺麗って言っていたよな。まずはそこを見てみたい」
「お、良いですねえ。そうしましょう」
内海の要望に頷いたユーゴが先に届いたポテトを次々と口に運び、そわそわした様子で水を一口飲んだ。傍から見ても相当空腹であることが伺える。
「内海様、ポテト食べないんですか? このままだと私が全部頂いちゃいそうですけど」
「ん、じゃあ一つ貰おうかな」
ユーゴに勧められるままポテトを一つ摘まみながらメニュー表へと視線を落とす。
「なんというか、スイーツのみならず飯も馴染み深い物ばかりだな…… ピザとかパスタとか……」
「これらは元々この世界にもあった料理ですね」
「あ、そうなんだ。 ……いやまあ、確かにそうだよな」
チーズの加工ができてパンも作れる。それならばピザに似たような料理が生まれる事も不思議ではない。
異世界だからという理由で何もかもが元の世界と違うと思い込んでいた内海は改めてメニュー表の最初のページを開いた。
「世界そのものが違うので"元の世界の物と全く同じレシピ"という訳にはいきませんが、美味しさを求めた結果生まれる物はどの世界もある程度似ているそうですよ」
「へえ、不思議な話だなあ。 ……なあ、米とか味噌もあるのか?」
静かな閃きを得た内海がメニューを閉じてユーゴを見る。味噌の仕込みや米の原種と品種改良については元の世界での学びと生活の影響で頭に入っていた。
もし、この世界にそれらが無いのであれば広めて人気商品に出来る自信が内海にはあった。
「前の転移者様が広めていましたよ。セスファリナにも何件かお米を食べられるお店があるそうです」
だが、返ってきた言葉は期待外れでありながら思った通りであった。
「あー、うーん。そうか…… ううーん。今度食べに行くか……」
落胆しながらメニュー表を元の位置に戻すと、丁度注文した物が運ばれてきた。
オーソドックスなピザとコーンが沢山乗ったピザ、そしてミートソースのパスタがユーゴの前に置かれる。そして内海の前には山菜とエビのパスタが置かれた。
ウェイトレスが直接テーブルに置いてくれたため、昨日のように指先が触れ合う事は無かった。その事に内心安心した内海が『ありがとうございます』と目を合わせると、不意に数値化の魔法が発動してしまった。
──『アイラ・ウェルダ 21歳 女性 好感度-9』
「──っ」
またもや、どうして。そんな感情が走る。それでも必死に平静を装う内海に対してウェイトレスは会釈を返してにこやかな表情のまま店の奥へと消えて行った。
「……」
「どうしました?」
「え? あ、いや、なんでもない」
昨日のような思いはもうしたくない。と思っていた矢先の出来事だった。
数値化の魔法がある限り、その希望を叶えることは難しい。
「……」
相手が内海大河という人間をどう思うかはその人の自由であるが、その感情が見えてしまうのはこの上なく辛い。
敵意を以て危害を加えられるような事が無い以上、相手は内海大河という存在によって不快感を与えられた被害者なのである。
内海にとって数値化の魔法は"常に加害者でいる事を自覚させられる呪い"になりつつあった。
「あのさ、ユーゴ」
「ふぁい」
コーンピザを頬張ったユーゴが口元を隠しながら返事をする。
「貰った魔法を消す事って出来るか?」
「消
「そうそう。実は数値化の魔法が何回か暴発してさ…… 相手の感情を許可なく見ちゃうのは倫理的にどうだろうと思いまして」
恐る恐る、実際の感情とは異なる事を語るとユーゴは困ったように首を傾げた。
「完全に使えないようにするのはほぼ不可能ですね。『使わないように気を付けて』としか言えません」
「そ、そうなのか」
「魔法陣も詠唱も必要無い以上、"発動させない"という事そのものが難しい事は分かります。でも一度体得した物をまっさらな状態にする事も難しいんです」
「ううん、そうかあ…… じゃあ魔法に慣れるしか無いか……」
「ですね。私の好感度ならいくらでも見ていいですから、是非とも練習台にして下さい」
「はは…… ありがとう」
試しにユーゴの頭上へと視線を向ける。
見たくない。そう念じながらパスタを頬張るユーゴを見つめていると、念じた通り数値化は発動しなかった。
その瞬間、内海は『見たくない』と念じていた時には発動していなかった事に気が付いた。感情次第でもあるのかと予測をつけながら練習を続けていると、ふと彼の背後にある窓の外が若干騒がしい事に気が付いた。
「……ん?」
「んむ、いかがなさいました?」
鍬や鎌、フォークなどを持った農家と武器を携えた旅人が混在する集団が何やら作戦会議をするように顔を突き合わせている。結構な人数だ。
物々しい雰囲気に若干の危機感を抱いた内海がしばらく様子を伺っていると、つられてユーゴも窓の外を確認した。
「あの集団って── あっ」
他の物に意識が移ったせいか数値化が発動してしまった。無防備にこちらに後頭部を向けたユーゴの好感度が赤裸々に明かされる。
──『ユーゴ・ラウンセル 11歳 男性 好感度34』
「……外でなんか起きそうなんだけど、離れた方がいいかな?」
魔法の制御に失敗してしまった。だが今はそれよりも外の様子が気になってしまう。
窓の外の集団を指し示しながら訪ねると、その集団は丁度話を終えたようで去って行ってしまった。
「あれは恐らくモンスターの退治に向かう人達ですね。私たちはここに居ても特に問題ありません」
「モンスターの退治…… 農村だと農家の方まで駆り出されるのか」
集団が去って行った後にはもう誰も居ない。
ここに居ても問題無いというユーゴの言葉を信用した内海は自分のパスタをゆっくりと巻き始めた。
「人手が足りないのかもしれません。この辺の地域では今ぐらいの時期に"モススライム"というモンスターが大量に現れるんです。ごく少数であれば有機体窒素の無機化など土壌に良い働きをしてくれるんですけど……」
「え、滅茶苦茶イイ奴じゃん」
「増えすぎると逆に土壌の養分を吸い尽くして作物が大変な事になってしまうんです」
「うわ…… それは駄目だ」
パスタを口に運びつつ引き続き外の様子を確認する。ユーゴも同様に外を気にしながらピザの最後の一切れを頬張った。
「……村の中歩き回ってたら邪魔になるかな?」
「村の中で戦う訳ではないので特に問題無いと思いますよ」
「そっか、邪魔にはならないか。よかった」
「逆にお手伝いしに行きません?」
「え?」
ユーゴが手拭きで手に付いた油を丁寧に拭いながら内海の方へと視線を向ける。
詳細が分からず困惑する内海に対してユーゴは店内に貼ってあるポスターを指差した。
「今でも募集してるみたいですよ。『モススライム退治、人員募集中。日当12000シア、詳細は役場まで』ですって」
「そんな日雇いバイトみたいな感覚で募集してるのか」
「いかがなさいます? 戦闘の経験としては極めてショボい物になりそうですけど、お給料は結構良い方ですよ」
「なんだその薦め方。でもそうか…… 日当12000は良い方なのか」
金額に気持ちが揺らいだ内海が試しにスライム退治に取り組む自分を想像する。
リベイジアで気絶させるだけでは恐らく駄目だ。畑への被害を食い止めるには"駆除"をしなければならない。つまり先程の集団のように武器を持ち、それでひたすらに叩き、次々と迫るスライム達を亡き者にするのだ。
「……ウ」
「あれ、顔色が悪く…… もしかして荒っぽい事は苦手ですか?」
「そうかも……」
内海は誰かの死を望んだ事が無かった。
倫理的にも法律的にも、"何があっても殺さない"というのが普通ではある。誰だってそのように生きている。
しかし内海はそのような秩序とは関係無く、単にそのような行為が嫌いだった。蟻一匹でも踏んでしまった日の夜には酷く落ち込んでしまうのだ。
それらは正義感などと言う崇高な心ではなく、単に虫が相手であっても"自分のせいで危害が及んでしまった"という状況には耐えられない。そういう性格だった。
そんな内海に、武器を持ってモンスターと戦う事など出来る筈が無かった。
「ふむ、では今回は普通に観光だけしましょうか」
「せっかく勧めてくれたのにごめんな…… この世界で生きるならそういった事にも慣れた方が良いのかな?」
完全な害獣であれば幾分か割り切れたかもしれない。しかし益獣としての側面を持っている生き物を駆除する気にはどうしてもなれなかった。
「殺しに慣れる必要なんて無いと思いますよ。実際、戦いを経験せずに一生を終える者は数多存在しますから」
「そ、そっか……」
少し安心した内海が再びパスタを頬張る。
既に完食していたユーゴはコップに水を注ぎ足しながら微笑んだ。
「ふふ。内海様にリベイジアが渡された理由、分かった気がします」
「性格とかを見て渡す魔法決めてんのかな、あの人」
「ある程度生い立ちとか元の世界の理などを加味しているそうですよ」
「えー…… リベイジアはともかく、それならなんで俺に"愛魔法"なんて物を……」
数値化の魔法にも渡された意味があるのだろうか、と悶々と考えながら内海はパスタの最後の一口を頬張った。
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