僕と幽霊と君と彼女
神無月 蛍
第1話
「―で、ここの
1部ではあの世とこの世が繋がる時間帯とか、
余談にはなるが、朝方の薄暗い時間帯のことはカタワレ時といって―」
「ふわぁぁ、ねみぃ」
大きなあくびをする。
興味もない話なんて聞く気にもならない。
先生って人種はどうしてこうも永遠に話してられるんだろうな…。
何も書いていないノートを
…よし、寝るか。
腕を
このまま夢の世界へレッツラゴー…。
グサッ!と
「っ!?」
授業中に叫ぶわけにもいかないので必死に
「ってぇな!?いきなり何すんだよ!」
ヒソヒソと
「
「お前は俺の親かよ…」
はぁ、と溜め息。
とはいえまた刺されるのはごめんなので話を聞いているフリをする。
ちらり、と隣の席の犯人さんを見る。
俺のことを
俺からすりゃ小言がうるさいやつというイメージだが。まぁ、悪いやつじゃないのは確かだ。…それに、なんつうか危なかっしくて目が離せないし。
こちらの視線に気づいたらしく「?」という顔で見返してくる。
ここでそっぽを向くと俺がこっそりと
謎すぎるプライドのせいでお互いにじっと見つめ合うことになる。
…はたから見たら変人だな。
とはいえここまで来て目を
少しして恥ずかしくなったのか顔をほんのり赤らめて前に向き直る
そのおかげで俺も前に向き直る。
…本当、何やってんだ?これ。
そんなこんなで面白くもない授業が終わり、下校の時刻になった。
「
行儀よく両手で前に
クラスのやつらの視線が痛いが、断る理由が特に思いつかないため、仕方なく一緒に帰ることにした。
「ったく、高校生にもなって一緒に下校とかガキかよ…」
「そんなこと言いながらこうやって付き合ってくれるんだよね。…そういうところすっごく優しいよね」
「うっせぇ、暇だっただけだ」
照れ隠しでそう言うのだが「はいはい。ありがとうございます」と適当にあしらわれた。
「そう言えば、今ってちょうど黄昏時じゃない?ほら、さっきの授業で言ってた」
河川敷を歩いている時、ふとそんなことを言い出す
「何だよ急に。さてはお化けとか信じてるのか?」
「わ、わたしはお化けなんて…」
分かりやすくあわあわと慌てる
こいつ昔から幽霊とか妖怪だとかそういったホラーなの苦手だからなぁ。
「大丈夫だって、そんなもんいるわけねぇしな」
ケケケ、と
「いるもん」
「うぉあぁぁぁぁっ!!?」
ドタンッ!とその場でひっくり返る。
いきなり不満そうに
「ちょ、
いきなりぶっ倒れた俺を心配してくれているが何が起こっているのか分からないといった顔だ。
「お、女が…浮いて…」
「女?浮いてる?」
と首を
まさか…見えてないのか!?
「ムダムダ。私は普通の人には見えないんだから。君は特別みたいだけど」
クスクスとバカにするように笑う女。
「俺はいたって普通の人間だっ!」
「それはそうと、君に取り
「それはそうとで片付けんなよ!?後、取り憑くってなんだよ…」
あぁ…頭痛くなってきた。何なんだよ、今の状況。
「いや~幽霊って意外に不便でさ、私誰かに取り
ヘラヘラとした態度が
「…なんで俺なんだよ。他にもいるんじゃないのか?」
「ん〜、直感?君と一緒だと楽しそうだな〜って思ったからかな?」
「さいですか…」
はぁ、と溜め息。
「あ、迷惑なら断ってくれてもいいよ」
「…なぁ、お前さ、今までずっと1人だったのか?」
「ん?まぁ、死んでからはずっとここに1人でいたけど…それがどうしたの?」
ケロっとした顔でそう言う幽霊女。
ずっと1人…か。
少し考えた後、俺は「じゃぁ…そうだな。邪魔しないならいいぞ」と取り
「何だかんだで優しいんだね、君は」
そう
「…ただの同情だ」
そう言ってそっぽを向く。
「もし私が悪い霊だったらどうするの?」
「どーもしねぇよ。俺の運がなかった。それだけだ」
「いいね!私、君のことめちゃくちゃ気に入ったよ!」
あははははっ!と
「っ…!」
「ところでさ、私って普通の人には見えないんだよね」
幽霊女の言いたいことを
そこにはあわあわと俺を見る
「あ、
「
「壊れてな〜いっ!」
「待ってて
よしっ!と両手で
その場で固まる俺。
そんな俺の隣を自転車がチリンチリン、とベルを鳴らして通り過ぎる。
終わった、俺の人生終わったやつだ…これ。
もういっそ殺してくれ…。
「ぷっ、あはははははっ!ひ〜っ!ひ〜っ!死ぬ!笑い死んじゃうっ!」
空中でお腹を抱えて両足をバタバタさせながら全力で笑う幽霊女。
お前もう死んでるだろ…。などとツッコむ気力があるわけもなく。ふらふらと帰路につく。
…なぁ、やっぱこいつ悪霊じゃね?
と心の中で思うのだった
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