きっとこういう物語




悦「おいおい、どうしたよそんな傷でさあ?ボロボロになっちゃって可哀想だなあ?」

霧「...っ!」




海は別にいる、凛はダウン、正義は行方知れず

今やれるのは僕しかいない...でも、血が流れすぎてる!相手はいくらでも傷を治せる...

一体どうする...?



悦「そんな警戒することはないだろ?寂しいなあ、俺はお前と仲良くやれそうだったのに」

霧「何の話だ?」

悦「なに?聞きたいの?まあ聞いてくれるならいいけどさあ」



こいつはお喋りか?だが話してくれるなら都合がいい

海がこっちに合流するまで時間を稼いで、せめて凛を逃がさないと...!



悦「だって君さあ、弱いじゃん?しかも仲間に頼らないと生きていけないくらいに」

霧「......」

悦「あ、やっば図星だったー!ハハっ!ごめんねー?図星突いちゃって!だって君、ずーっと僕に殴られっぱなしだもんねー?」



......確かに僕は弱い

だからこそ、僕より強い凛を生かさないといけないんだ

こんな挑発には乗るな!ただ耐えるんだ!




悦「いやーそれにしても君、ホント笑えるね

だってその守ろうとしてる子、死にそうだよ?」

霧「.........は?」




凛を見る

血が流れている

人一人分くらいの大量な血が



霧「...おい...おいっ!凛!どうした!しっかりしろ!死ぬな!」

悦「ハハハハハ!!いいねいいねえ!その反応!それが見たかった!!」




どうしてだ?なんでこんなに流れてるんだ?確かに腕や足を骨折していたようには見えた、しかし血がこんなに流れるほどの傷は負ってなかったはず!



霧「...お前がやったのか」

悦「ああそうさ!俺がやったよ!だったらどうするってんだ!?」

霧「お前を!殺す!」

悦「そうだな!やろうぜ!霧平ァ!」




柱を殴ってこっちに伸ばしてくる

何度も見た技だ、避け方くらい分かってる

僕には攻撃技が少ない

でも...今なら行けそうな気がするんだ



悦「避けてばっかじゃ勝てねぇよ!ゲームやったことねぇのか!??」

霧「んなこと知ってんだよ!だからこうするんだ!!」




悦楽に向かって空中に一本線をなぞる

いつものやり方だ、もう手慣れてる

だけどいつもより気持ちを込めて、憎しみを込めて




霧「開け!!!!世界!!!!!」




その瞬間、空間がずれる

悦楽の体の上下ごと後ろの背景が開かれる




悦「いいじゃん!やっぱ撤回するよ!

めっちゃ強いね君!!」




悦楽が右手で下半身を殴ると体が繋がりこちらに走ってくる



霧「なんでそれで繋がるんだよ!」

悦「知らねえよ!!繋がっからいいだろ!!」

霧「よくねえ!死ね!!」




空中に1本線を何度も描き、空間を何度も切り裂く

だが悦楽は魔力路に当たる攻撃を的確に避け、それ以外を殴りで治す



悦「やっぱこういうのは捨て身が1番強えよなあ!?そう思うよな霧平!!!」

霧「今実感してるからそうなんだろいな!!」




何度も物を伸ばされ、体がボロボロになっていく

足を崩され、腹を穿たれ、頭にぶつけられ

指を動かすだけでも体に激痛が走るが、むしろそれが生きていると実感させて戦う心を保たせる




霧「僕は!みんなの!役に!立ちたいんだ!!!」





そう言って出した攻撃は、悦楽の魔力路を真っ二つにした

崩れ落ちる悦楽

倒したことに気付いた霧平は、それにゆっくりと近寄る




悦「...ああなんだ、負けたんだね」

霧「ああ」

悦「そっかあ、いやあ楽しかった!君も君の仲間も虐められたし、楽しい戦いもできた!俺の一生は最高だったよ!」

霧「それはよかった」



血が流れ、液体が零れていく

だんだんと悦楽の生気も無くなっているように見えた




悦「君、ほんと強かったよ

こんな能力なんてものない時に会えたら、友達になりたかったなあ」

霧「...そっか」

悦「ああそうさ、俺は楽しいことに、目ざとい、からね

君と、はとっても、楽しい日常、を送れたと...思う...」




そう言って、悦楽は死亡した

霧平は、一瞬だけでも友達になれそうだった悦楽を見た

自分を強くしてくれた友人だと、そう思っておこう

そう心に決め、すぐに凛を助けに戻った







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自キャラ語り @mao44796

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