第四話〜そんなに見られたら僕は…

 3人と初めて出会った時…気付いてしまった。

 ギルドの円卓で聖騎士のアザスさんが挨拶する。

 

『我々は面目上、指導役として来ているが、あくまでパーティーとして扱ってくれ』


 皆に背中を見せて守り戦う聖騎士と勇者

 あらゆる武器を使いこなすアサシンと剣聖

 魔導の全てを極めし大魔道士と賢者


 僕にはいなかった…指導者が…


 それぞれが前に行き挨拶をする幼馴染達。


 その時ふと、アサシンのタインさんと挨拶をする剣聖ヒナタの話し声で気付いた…仮面…気配…そして声…





 僕には強く記憶に残っている出来事がある。

 まだ冒険のし始めで右も左も分からない僕らは、後から考えればとても危険な場所で一夜を過ごしていた。


 そこは山賊のアジトのある山の麓で、夜になると焚き火をしていたが、今考えても寒気がする。

 犯罪者の眼の前で無防備な姿をさらす…

 山賊から丸見えの位置で焚き火をしている僕らは案の定狙われた。


 ちょうど皆がキャンプで寝静まり、僕1人で火の番をしている時だった。

 僕が木陰で用を足そうとしている時、突然後ろから口を塞がれナイフが首に当てられた。


『女ぁ?…死ぬか…奴隷か選べぇ…』

『おい、テントに上玉が2人と男がいた…どっちだか分かんねぇからとりあえず殺せば?』

『んじゃヘビでも使ってみるかぁ死体とやればいいやな(笑)』


 会話を聞いた直後…シャツの上から何かチクッとした感覚があり、その直後、僕は盛大に漏らした…小さなヘビが噛みついていた。

 自分の人生がここで終わりだと思った時…声がした。


―男か女か分からんツルペタロリ、だが…それが良い―


 次の瞬間、山賊の首から上が飛んで転がった。

 そしてまた、その声の主の手で口を塞がれた。


 手を添える様に僕の口を塞ぐ、とても優しい声…

 

『静かにね、冒険者か?安心しろ…そして声を出すな…君らはちょうど良い攪乱になった、ありがとう』


 別の声…暗闇からも声がする…


『副頭領、アジトから出てきました…10と言った所です』


『じゃあ俺がそれやる、お前らは全員アジト行って、頑張って潰して』


『移動したくないだけでは?』


『いや、俺はこの娘を助けなければならない、良いから行け』


『女の子と知り合いたいだけでは?』


『うるせぇな!行けよ!なんなんだよ!?』


 カチカチと歯を震わす僕を優しく撫でた。

 

『ちょっと騒がしくなるけど…静かにね?それより毒?』


 突然…胸当てを外されシャツを脱がされた。


『胸…乳首をやられたか…いや、これ犯罪じゃないし、人命救助だし…』


 次の瞬間、マスクを外した声の主が私の乳首の噛み傷を吸う同時に、山賊が木陰から飛び出して来た!


『んーー!んん!んんん!!』


 私は口が塞がれて危険をこの人に伝える事が出来ない、斧を振りかぶり一撃で私達を2人同時に殺す一振りが落ちる前に…山賊の首が飛んだ!?


 そして同時に乳首の毒を吸われ身体中に電気が走った様な感覚に襲われた。毒…この日から毒消しは忘れず持っている。


 2人、3人と出てくる山賊、その度に飛ぶ首と乳首の衝撃…10人めの山賊の首が飛んだ辺りで乳首から脳に衝撃が伝い頭が真っ白になり痙攣しながら意識を失った。


 

 

 

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