初めてコメント差し上げます。

草森様の、鋭利な感性と水墨画の筆致を思わせる透明度の高い厳粛な文体、痛みの創作でありながらどこか再生と治癒の気配色濃い世界観がめちゃくちゃ好きでして、少しずつ作品読ませていただいております。
この一遍も、短い文章の中に凄まじい情報量が内包されていて、あえて書き飛ばし描写しなかった情報、言外の表現、行間に込められた情緒などの膨大な情報量が読めば読むほどに湧き出てくるようで、感情をぐっちゃぐちゃにされながら読ませていただきました。

「山に戻る」「海に戻る」という現象をあえて曖昧なままにぼかしていることで、これらが理外の理によってもたらされた壮大な現象であることがますます強調されていて、かつそのような事情をあえて言葉にせずに迂遠な表現で悟らせる表現力、凄まじいです。
草森様の作品のファンになりました。これからも執筆業、応援しております。