スペシャルゴッド通信のメルマガ 返信

   ✉


 拝啓 エンジェル様


 あなたからご紹介のあった『成功事例から学ぶ、効果的な大災害対策』に興味がありまして、返信させていただきました。

 地震の多発する時節柄、大洪水がいつ起きてもおかしくないと小生も想いを同じくしていたところです。

 

 また恥ずかしながら、小生は水中での活動限界はおそらく一分もなく、落雷に耐える心臓を持ち合わせておらず、死ねば異世界転生できると密かに願望を抱いておりました。


 まさにあなたからのお知らせは天啓のように感じた次第です。もっとも本心を言えば、あなたはまさに天使そのものではないかと密かに思っておりますが、ここはあまり触れない方がいいのでしょうね?


 また当方手持ちが少なく今回のセミナー参加をためらっていたところ、無料での開催ということ。ぜひ参加させていただきたく、申し込みを致しました。


 しかしながら小生、年齢のせいもあり、パソコンの申し込みというものに慣れておらず、うまく申し込みができませんでした。つきましては、今一度詳細な情報を教えていただきたく、まずは下記のアドレスにご連絡いただけますでしょうか?


 https://kakuyomu.jp/works/1177354054882829231


 お手数ですが、最後まで目を通していただいたうえでレビューというもの(4000字以上必須)を投稿していただけることで、自動でエンジェル様宛に返信用のアドレスが送付されるようになっております。


 お忙しいところ恐縮ですがよろしくお願い申し上げます。


 追伸

 フタヒロ君人形ですが、わたしもぜひ購入したいと思っています。その際の案内についても、返信アドレスに記載していただけると助かります。


   ✉



「よし、書けたぜ」


 さっそくポチッと返信する。ついでに全文をコピーし、他からわんさか来た同様の迷惑メールにも返信する。


「これでいいだろう」


「カラウリしゃん、かけましたか?」

「ああ。フヨウちゃん、たっぷり吸い込んでくれ」

「あい」


 いつものようにフヨウちゃんは口をすぼめ、今回はいつもよりたっぷりと大きく息を吸い込んだ。同時にスマホの画面から文字がするすると浮かび上がり、大量の活字がフヨウちゃんの口に吸い込まれてゆく。


「お、おナカ いっぱいれしゅ……」

「で、どうだった、お味は?」

「なんかフシギなアジがしました」


 目をぱちくりさせているフヨウちゃん。


「あー、それはアレだな。リンク先はとあるSF小説になってるんだが『サイエンス・フィクション』じゃなくて『少しフシギ』なほうのSFだからかな」


 と説明したところで、ますます不思議そうに首をかしげるフヨウちゃん。

 それからニッコリとして付け加えた。


「でもなんか楽しいアジれした」


 そうだろうそうだろう。


 これで本家のフタヒロ君が喜んでくれれば万々歳。

 奴らもアレを読めば多少は改心するかもしれないし。

 まぁ怒涛の33万字オーバーだけどなっ


 それよりも。


「フヨウちゃん、手紙セットと色鉛筆、頼んどいたからね。届いたらオレにも手紙書いてくれよな」


「あいっ!」



   ~かしこ~

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る