第11話 続・パパ活女子のないしょ話

 Q界隈の女の子の多くは、リングと呼ばれる方法で避妊をしている。パパの中にはゴムを付けることを面倒がる者がいるし、リングを入れると生理が軽くなるらしい。セクシー居酒屋でバイトをする女の子は、生理中は休暇を取らされる者も居るので、生理が軽い方がいいに決まっている。リングと聞いて俺は、輪っか状のものを想像したが、実際にはT字型で、3~4万円もあれば婦人科で挿入して貰える。月経過多の治療のためなら保険OKだ。Q界隈の隣には婦人科のクリニックもあり、さまざまな嬢が相談や診察のため婦人科クリニックに行く。

 女の子達のエグいおしゃべりを耳にしながら、酒に弱いらしい俺は寝たふりをする。

「ねえ、私の髪の毛、おしっこの臭いがしない?」

「どうしたの? 放尿プレイ?」

「そうなの。パパが帰ってから私は個室サウナに行って髪の毛を念入りに洗ったわ。でも臭いが残ってる気がして……」

「あんたが家出少女と知っての仕業ね。私も家出少女だとバレたとき、パパはスマホで知り合いを呼んで5人くらいで輪姦されたわ」

「家出少女だと分かるとお手当も減るね……それでも家で自分の親父とヤることを思うと、パパや行きずりの男とヤるほうが、大いにマシよ。お手当貰えるし、それに自分の親父よりも優しくして貰えるし……」

「自分の親父にヤられると、家に居場所がなくなるねえ。大人の女の人がDVの被害に遭うと、シェルターに逃げることも出来るし、行政だって守ってくれるし。……もし自分の親父からヤられても、児童相談所へだって行けないよね。親父のことを告げ口すると親父は逮捕される……そうなるとお母さん1人で子育てしなくちゃいけないし、母親によっては嫉妬して自分の娘を虐待するってこともあるわ」

 女の子達は小声でそう話す。

女の子達の話によると、パパ活、ことにJKとしたがる男性は、30代40代の既婚男性が多いらしい。収入はあり、妻は専業主婦か扶養内でのパート勤務だ。妻達は子育てで忙しく、風呂に入っても小さな子どもと一緒なので、自分の髪も丁寧に洗えない。子どもを幼稚園や習い事に通わせているので、自分のためにフィットネスクラブやエステに行くことは、時間的にも経済的にも難しい。そうして少しずつ老けていく自分の妻に飽き足らなくなった男が、若い女と付き合いたがる。

「私のパパは、立ち合い出産をしてからは奥さんとレスなの。出産のシーンがエグ過ぎて奥さんにだけEDになったの。それでも欲があるから私を必要としているわ。……パパは苦しい思いをして出産した奥さんを尊敬しているって。だからもう1人子どもが欲しいって人工授精したの。パパ、赤ちゃんが生まれると私の所には来ないわ、きっと」

「そういうのを秋の扇というのよ。もう飽きて要らなくなった女の人のことをそう言うんだって。……私達って、『立ちんぼ』と変わらないわ。立つ代わりにSNSを使うだけ。立ちんぼのことを江戸時代は『夜鷹』というらしいよ。」

 そう話す女の子はわりと教養があるようだ。なぜ家を出て、こんな所で夜を過ごすのか、不思議だ。


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