第10話 パパ活女子のないしょ話
俺は眠たくなれば、あらかじめ持っていた寝袋で仮寝した。俺が少しウトウトしている頃、隣にいる女の子達がおしゃべりしているのが耳に入った。
「それでね、その女の子の家はお金がなかったの。晩御飯も、そのとき使っていたスマホの料金も払えない程の……」
その貧しい女の子は未だ中学生で母親はシングルマザーだった。母親は保育所に勤めていたが、そこで食中毒が起こり、母親は休職を余儀なくされたらしい。給与は週給で貰っていた。
その女の子は身を売ろうと思って、中学校の制服姿で大通りに出た。すぐにサラリーマン姿の、30代の男が近寄って来た。
「だけど警察に見つかって、その人とは一緒になれなかったの」
しかし、その後、車を持った別の男がその女の子を車に連れ込んだ。女の子はラブホに連れて行かれた。車に乗せられたままチェックインをしているので、ラブホ側からも身元チェックがなかった。
その女の子は、お金を貰えるのなら、「大人」をするつもりでいた。つまりヴァギナにペニスを挿入されることを覚悟していた。
だが、その男がやったことは、彼女の考える「大人」を越えていた。
「その女の子、野球拳で裸にされた後、浣腸をさせられたのだって。アナル責めとか……フェラもさせられたの」
「初めてでアナルとかフェラはキツいよね」
「そのパパは女の子をデパートに連れて行って、上品なワンピースを買ってくれたの。それからバッグや靴も。下着まで買って貰ったんだって。パンストはもちろんパンティレスタイプのストッキング」
「男の人ってパンティレスストッキングが好きねぇ……それで?」
「香水とか化粧品も買って貰ったの。お手当だって沢山貰ったって」
その時の俺には『パンティレスストッキング』が想像出来なかった。その言葉だけ覚えて後でググってみると、股から尻にかけて穴が開いたストッキングで、それを履くとパンティだけ脱いで大小便が出来るという。男にとっては、スカートの下がストッキングの上に可愛いパンティが履いてあるので、興奮すること間違いなしだ。
「その子……パパと会うときは、パパに買って貰った服を着てたの。ワンピースやツーピースならお洒落で少し高いレストランに入っても恥ずかしくないし。脱ぐのもすぐに脱げるし……でも、その女の子はパンティを脱いでからストッキングを外そうとして、パパにすごく叱られたの。ストッキングと一緒にパンティを脱げって」
「女の子を自分好みに仕込みたいのね」
「その子がパパ活をしていること、お母さん公認なの。その子が貰うお手当で生活がラクになったもの……で、普段は夕方5時から10時までパパ活をして家に帰って、週に1回だけ『友達とカラオケでオールするから』と言って、この界隈で遊んでいるのよ」
友人の話のように、その女の子は話していたが、本当は彼女自身の話かも知れない。
パパ活をしている女の子達は、出来るだけきれいな言葉使いで話す。パパに「躾の行き届いた娘」だと思わせたいからだ。パパに家出少女だと悟られないよう、女の子達は苦心している。部活は競技かるた部かバレーボール部。競技かるた部なら百人一首を覚えるだけで通用するし、バレーボールは学校の体育の正規の授業でも習う。パパ活をしている女の子達は女の子同士でパパに会うときの洋服を交換し合って、学校の情報も共有して協力し合っている。
「ねえ、私、パパに高いブランドもののバッグを買って貰ったの」
「いいじゃん。うらやましい」
「でも私って完全家出の身分なの。ブランドもののバッグよりも現金欲しいし、バッグの持ち運びにも困るじゃん?」
「そうね……パパと別れたら? 勉強が忙しくなったと言えば分かってくれると思うよ。そしてバッグは売って現金に換えて……新しいパパなんて、すぐ見つかるじゃん?」
女の子達は俺が熟睡しているものと思い込んで、時にはエグい話をする。
深夜にキッズの女の子を呼び出すパパにはロクな者がいない。たいていは18歳以上の女性と付き合えるパパ活専用アプリから、何かトラブルを起こして追放された男だった。そういう男はSNSで知り合った相手の女の子を見下し、そして変態的なプレイを要求する。ソープは深夜24時に営業を終了するし、デリヘル嬢は手や口での「抜き」をしてくれるがヴァギナやアナルへの挿入は風営法で禁止されている。24時以降のQ界隈の風俗は、鼠経リンパのマッサージもしてくれるメンズエステか、足つぼを刺激するリフレしかない。いずれも「抜き」はしない。
食事で精を養いセクシー居酒屋の嬢で性欲を刺激され、マッサージで快感を感じた男は、最後は本番ありの素人娘とヤることで、深い満足を覚える。
パパ活JKにとって、パパ活アプリの年上の女達はライバルだ。パパ活のマッチングアプリには、薄給の女性が多い。保育士や介護士はもちろん、看護師や理学療法士のような職業ですら、給与は少ないらしい。大学や養成校での奨学金という名の借金もある。彼女達は必死だ。女子高生のパパ活は、そういう20代の女性と「よい」パパを巡って競争しなければならなぱぱぁちところでパパ活は、俺達の国だけにあるのではない。海外では「sugar ⅾaⅾdy」と呼ばれている、一種の売買春があるらしい。
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