第121話《おまけ》恋人

 私がお風呂から上がるとベットの上で美人がスヤスヤと寝ていた。


 私を探しに来て疲れたのだろう。

 スマホの履歴を見る限り、とても心配していたことが伝わる。


 私はベットで安らかに眠る何をしても起きそうにない彼女の頭を優しく撫でた。

 

 別にやましい気持ちは無い。


 寒いので遠藤さんの隣で寝ることにした。


 遠藤さんは陽菜ひなという名前の通りポカポカと温かくてお花のいい香りがする。


 私のことを外からもなかからも温めてくれる彼女はまるで私の太陽のようだ。


 なくてはならない存在。


 彼女がいなくなってしまったら私はきっと光を失って生きていけないとすら思うようになった。それくらい遠藤さんは私にとって大切な存在だ。



 こんななんでも出来る人が私の彼女?


 未だに信じられない。

 頬を触っても鼻をつまんでも眉間に皺が寄るだけで起きなさそうだ。


 いつもみたいに話して欲しいけど、ゆっくり休んで欲しい。



「遠藤さん――」


 ……


 もちろん返事は無い。


「陽菜――」


 …………


 どのくらいの時間そうしていたか分からないけど、ずっと遠藤さんのサラサラな髪を撫でていた。


 いくら触っても遠藤さんは起きそうにない。


 少し寂しいけれど、彼女は明日も隣に居てくれると約束してくれた。


 それだけのこと――。


 いや、そんな幸せな日が明日も訪れると思うと呼吸が浅くなり眠気が襲ってきた。

 

 私は遠藤さんの頬に優しくキスをして彼女を抱きしめて目をつぶった。

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