第38話 《おまけ》待ち時間
半ば強引に滝沢をお泊まりに誘ってしまった。
でも、滝沢と一緒にご飯を食べたい。
今日はそう思った日だった。
今までご飯なんてひとりで食べる方が楽だった。
友達とご飯を食べてても話を聞かないととか、合わせないととか色々気を使っている。それが苦痛という訳ではないが、好きな訳でもない。
しかし、滝沢を家に呼んでご飯を食べた日は気を使うこともないし、別に何もしていないけど心がぽかぽか温まる感覚になる。
今日は滝沢のお姉ちゃんと色々話して感情がぐちゃぐちゃになったので、一人でいることが少し辛いと思った。
滝沢は来てくれるだろうか。
正直来る確率は五割くらいだろう。
気分が乗れば来てくれると思う。
来てくれる可能性を信じて、滝沢が喜ぶようなメニューを作ろうと意気込んだ。
まず絶対に外せないメニューは肉じゃがだ。
実は昨日たまたま作っていたので温めるだけでいい。
あと、滝沢はお肉のメニューが好きそうなので生姜焼きなんかも作ろうかと思った。生姜が嫌いであれば残念だが、なんとなく食べてくれる気がする。
滝沢と何回かご飯を一緒に食べた時のことを思い返す。
そうすると意外と色々な思い出があるんだとしみじみ感じて、それでも友達でもなんでもない今のこの関係にもどかしさを感じてしまう。
滝沢は野菜が嫌いそうなのでわざと肉と合わせたメニューを用意して、お惣菜、煮物も用意しておこう。
黙々と準備を進めていると、インターホンが鳴った。
今日は宅急便は来ない日だ。
口元が緩む。
急ぎ足で玄関へ向かった。
黒髪の良く似合う少女がご飯を食べに来たきただけだと言っているけど、どんな理由でも私に会いに来てくれたことが嬉しい。
にやけているのがバレないように心を落ち着かせて口を開く。
「どうぞ」
今日はどんな滝沢を知ることができるのだろう。
胸の高鳴りはずっと収まらなかった。
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