第30話 《おまけ》練習
舞にキスマークの話をされてからキスマークについて一日中考えていた。
そういうことがしたい時期なのかなと自分の考えに嫌気がさす。
舞が言っていた気持ちが少しは分かるかなと確かめたいだけだ。
そして、遠藤さんにキスマークを付けて嫌な顔をするのが見たいと思った。それは私といない時もその跡を見てまた嫌な顔をするのだろう。
私と居ない時も私のことを考えて表情が変わる遠藤さんはいいかもしれないと思っただけだ。
ネットでやり方を調べた。
腕で練習する方法が一番簡単らしく、腕にたくさんの赤い跡がついて後悔した。
夏なのにこれでは半袖になれなくなる。
まず、姉に見られたら大騒ぎだ。
真夏なのに急いで長袖を着ることにした。
なんで、こんな日まで遠藤さんのことを考えなければいけないのか……。
全ては舞が変な話を持ち出すからだ。
遠藤さんとの関係は今も曖昧だ。
いっその事、早い段階で友達になれば良かったのだ。それなのに遠藤さんが勉強に対価を払うと言うから関係がおかしくなってしまった。
全部、遠藤さんのせいだ。遠藤さんが悪い。
友達……。
遠藤さんが友達になる想像がつかない。
じゃあ、遠藤さんは私にとって何なのか?
犬……?
こんな結論の出ないことを考えるのはやめようと思った。
そんなことより、夏祭りのことも憂鬱で仕方ないのだ。人混みは苦手だし、疲れてしまう。
食べ物だってかわいいものだって大して興味はない私は何を楽しめばいいのだろうか。
楽しむのではなく、付き合いで行くということにしておこう。
布団に潜っても寝れなくて、次の日は睡眠不足になった。
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