第22話 心配

 滝沢の部屋に案内された。


 滝沢は熱があるとかそういう感じではなさそうだったので良かったと思う。


 しかし、かなり顔色は悪い。



 勉強しようと言ってくれたけど、本当は寝て欲しい。

 しかし、寝て欲しいと言ったら帰れとか言われそうで、もう少しだけこの時間が続いて欲しいから、滝沢の言葉に甘えた。



 勉強はいつも通り教えてくれた。ただ1ついつもと違うことがある。


 滝沢の視線が私の唇に集まっている。


 あんなことをしてしまった私に責任があるが、そんなに見られるとさすがに恥ずかしい。


 滝沢も初めてだったのかな……



 私は両親のような素敵な家庭を築きたいと思っていたが、それには相手が必要で、そういう行為も必要になる。


 ただ、初めてに対してはあまりこだわりがなかった。


 そんなのは誰でもいいと思っていた。


 でも今は違う。


 初めてのキスは滝沢で良かったと思っている自分がいる。

 我ながら気持ち悪いことを考えていると自覚し、勉強に集中することにした。



 今日もかなり勉強がはかどる。

 いつもならこれで帰るのだが、滝沢とした約束を守らなければいけない。別に何をお願いされても構わないが、少し緊張する。


 そうすると、滝沢に隣に呼ばれた。


 またキスをされる訳では無いと分かっているけれど、滝沢が近いとあの日のことを思い出してしまう…


 隣に座ると滝沢の頭がぽんっと乗っかってきた。

 

 んー……?


 状況を理解できないので整理しようとしてる間に隣から寝息が聞こえてきた。


 かなり疲れていたのかもしれないから、少しだけこのままにしておこう。


 私の肩に乗っかった滝沢は、ここに居ると示してくれるように温かくて重みがある。


 滝沢の髪の毛からは石鹸の爽やかな香りがする。


 私はそっと滝沢の手を握った。


 なんでそんなことをしたかは分からないけど、握りたかったから握った。


 その手は温かく1度手にとってしまったら離したく無くなるような温かさだった。


 何もしていないけれど幸せな時間があるとしたらこういう時間なんだと思う。


 さすがに30分寝ても起きる気配が無さそうなので滝沢は抱っこしてベットの上に運ぶ。


 滝沢と身長は10cmくらいしか変わらないが、それにしたって軽すぎると思った。


「軽すぎて死んじゃいそう…」


 滝沢に布団をかけて、もう一度、彼女の匂いが嗅ぎたくて滝沢に近づく。


 やっぱり起きる気配は無い。


 滝沢の前髪に軽く唇を触れてその場を離れた。




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 最後まで読んでいたたぎありがとうございます!

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 今後もよろしくお願いします!

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