第19話 その後
布団の上で足をバタバタさせている。
居ても立っても居られなかった。
自分の唇を触ってみる。
いつもと変わらぬ唇だ。
変わらないことに安堵する気持ちと、寂しい気持ちがある。
このやるせない気持ちを枕元の黄色いハンカチにぶつけるかのようにぎゅっと握った。
自分でもなんであんな大胆なことをしてしまったのか謎だった。
全部、滝沢のせいだ。
滝沢のばか…
私は滝沢に感謝している。彼女は命の恩人だ。
ずっと探していたので、高校で滝沢を見つけた時はすごい嬉しかった。
滝沢はすごい優等生で、頭が良かった。
私みたいな人が関わってはいけないし、先生たちからの滝沢の印象が悪くならないようにと、1年生の時は関わらないようにしていた。
クラスが同じになりますように…
そんな願いは届かず、2年生もクラスは別だった。
まさか、あんな出会い方になるとは思っていなかったけど、滝沢と話せるようになってすごい嬉しかった。
しかし、滝沢はすごい閉鎖的な性格だった。
誰にも近寄らないし、近寄らせない。
心を開くこともない。
でも、たまに優しい。
気まぐれな猫にそっくりだと思う。
ずるいかもしれないけど、勉強を理由にすれば滝沢は一緒に居てくれると思ったのだ。
少しずつでいいから仲良くなれたらと思い、勉強を理由に滝沢と会う機会を増やしていた。
しかし、今日、それを解消すると言われ、ショックで頭が真っ白になった。
勉強を理由にこれからも関わりを持てると思っていたから余計苦しくなった。
滝沢が他の人にバレたくないのなら、勉強会のことは誰にも言わないし、学校でも関わらないようにする。何でもするから滝沢と関わりが無くなるのがいやだった。
勉強だけではなくて、また、滝沢にご飯を作りたいと思っている。言葉にはしないけどいつも残さず食べてくれる。
それを見ると、心がポカポカと温かくなり、また作ろうって思える。
滝沢に「キスして」って言われた時すごい困惑したけど、私の覚悟はすぐに決まってしまった。
滝沢がなんでそんなことを言ったのか理由は分からないけど、私は滝沢との関係がなくなることが何よりも嫌だった。
だから、彼女のお願いを受け入れた。
「滝沢の唇やわらかかったなぁ…」
自分の最低な独り言が嫌になり枕に顔をうずめる。
中学生の頃は、ほんとにそういうことをするのは嫌だし気持ち悪いとすら思っていた。
でも、滝沢とはなんでできたんだろう…
いや、それくらい滝沢との関わりが無くなるのが嫌だったんだと思う。
そういうことにしておこう。
明日、お父さんとお母さんに顔向けしずらい…
胸のもやもやは晴れないまま眠りについた。
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最後まで読んでいたたぎありがとうございます!
キスのことで頭いっぱいな遠藤さんかわいいですよね( *´꒳`* )これからの2人の展開が楽しみです。
読者さんに読んでいただけたり、作品フォローしていただけたりすることがいつもモチベになってます!
評価いただけると泣いて喜びます、、、
連載中の作品も他にあるので、時間ある時に覗いてもらえると嬉しいです!
今後もよろしくお願いします!
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