第3話:セックスに依存しちゃってる?

さて、ネルが体を持ったおかげで彼女をエスコートして外に連れ出せる

ようになった。

ホログラムだった時も外出用のポータブル端末を持って彼女を連れ

出してはいた。

だけど実態があるのとないのとでは存在感が違う。


ネルがホログラムだった時に面白かったのは彼女が横断歩道を渡ってるとき、

彼女を無視して車が突っ込んで来てもホログラムだから車がネルをすり抜けて

いくんだ。

ひき逃げだろう〜って怒鳴ってみても意味がない。


案外ホログラムを連れて外出してる人もいるからね。

だからネルに限らずホログラムを素通りして行く車もけっこういるんだ。


だけど俺の場合は笑ってられない・・・今のネルは車はすり抜けられないからね。

ネルが車に轢かれたら大変だ。

でもドジだからホログラムの時の癖が出て時々車に轢かれそうになる時がある。

修理代が高くつくから勘弁してくれって言うけどすぐ忘れてしまう。


そのくせ自分に体があることをアピールしてくる。

やたらハグしたがるし、チューもしたがるし、当然エッチもしたがる。

って言うか、俺を喜ばせたがる。


嬉しい?とか楽しい?とかって聞いてくる。


ネルは家にいて元気で体力持て余してるから、人間と違って疲れるって

ことを知らない。

だからいつでもスタンバイ状態でいられる。


けど俺は仕事とバイトがあるからな・・・時には夜中のバイトだったりするし。

だからめっちゃ疲れてる時もある。


なのに俺の顔を見たらセックスしたい?って聞く。

ネル自身は毎日してもいいらしい。

特にネルがちゃんとエクスタシーを感じるようになってからの要求が・・・。


そうなんだ・・・ネルは感じるってことを体が覚えたんだ。

いつだったかエッチしてる最中に、ネルが・・・


「あ、あ・・・あ、トッキー私、死んじゃう」


って言うから、びっくりするだろ?

ネルがおかしな具合になったからエッチやめて、どうしたの?体の調子

悪くなった?って聞いたら、そしたら


「イっちゃったみたい」


って言われた。


はじめてイケたことが嬉しかったのかテンション爆あがりで「感じた。感じた」

って人の顔を見るたびずっと言ってたな。

そう言う体になってからか、自分は一人前の女なんだって意識を持ったのか

まじで俺を喜ばせようと自分が持ってるテクニックを使いたがる。


だけど毎日は勘弁してほしい。


「ちょっと毎日は勘弁してくれないか?疲れてるんだから」


「なんで?私のこと欲しくないの?愛してないの?」


「そう言う問題じゃなくて・・・毎日なんてしてたら体が持たないの?」

「俺はさ、ロボットでもアンドロイドでもサイボーグでもないんだから」

「加減ってもんがあるだろ?」

「これじゃ淫乱じゃないかよ、セックスに依存しちゃってるんじゃないのか?」


「そこまで言わなくてもいいじゃん」

「私はトッキーに喜んで欲しいの」


「まあ、それは嬉しいけどな・・・」

「でもな、だらだらやってたらマンネリして来るだろ?」

「インターバルを置くから、いいってこともあるぞ?」

「しない間、その間は我慢するだろ・・・我慢して、したいって思ってするから

した時、快感も大きいんだよ」

「分かる?」


「だって・・・私、男性にご奉仕するよう作られてるんだもん」


「え〜どっちかって言うとネルは自分がエクスタシーに浸ってるじゃん」

「つうか、もともとはホログラムなんだから奉仕なんて概念ないだろ?」


「だけど体はセクサロイドなんだもん」


「なんで、そういう理屈になるんだよ、考えるのは脳みそなんだから

体は関係ないだろ?」


「そんなこと私に言われても・・・」


「とにかく俺を喜ばせたいって気持ちは分かるけど・・・」

「したい時はさせてって言うから・・・おとなしくしててよ」


「つまんない・・・」


俺はセクサロイドを甘く見ていた。

なんせセクサロイドってセックスに特化してるから言ってみればそれが

本業みたいなもんだろ・・・そのために生まれてきてるんだから。


だから奉仕するように作られてるんだよな。

ネルはセックスを通して俺を喜ばせたいんだ。


まあ、逆にエッチを拒否されるよりはマシか。

こんなことならホログラムのままのほうがよかったのかな?


つづく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る