第161話 害悪
<SIDE 愛羅>
「ちょっと愛羅、雪といちいち漫才しないで頂戴」
「愛羅ちゃん雪君を笑わせるのに物理的に行きましたね」
「愛羅さん本当にお兄ちゃん狙ってない? 泥棒雌猫だったりしない?」
「ごめんごめん! ユッキーが笑わせろって言うからさ!」
っていうか、今さらこの位でブーブー言う? と思わなくはないけど、シグシグとサクサクとウミウミを刺激するのも良くないからこの辺で勘弁しといてあげよう!
「いい笑顔だったよ? その笑顔で撮影すれば大丈夫だから!」
「ふぅ……ふぅ……覚えてろよ愛羅?」
「あーし3歩歩いたら忘れるからなぁ」
「鶏かよ!」
「はいはい、じゃれ合うのはその位にして頂戴! いつもと違う形で時間掛かってるわよ」
「「すみません!」」
ルーナさんに怒られちった。
でも、ルーナさんもあんまり怒ってなさそうだから大丈夫だろうけど!
「ユッキー君は今の笑顔で腕をこう―――「おい、来てやったぞ鳴!」……うそん」
あー……嫌な声が聞こえてきた。
あーしは思わず入口の方を見ると―――あいつとあいつの奥さん達がいた。
「ちょっと
「気が変わった。今から撮影を始めろ」
「急に言われても、今他の子の撮影してるから……ねぇ?」
「男の俺がわざわざ早めに来てやったんだぞ? ありがたく思え! だいたい他の女は後でいいだろ!」
「早めってレベルじゃないわよぉ……あと今撮影してるのは男の子よ」
「何? 俺以外にも今日撮影する男がいるのか?」
「そりゃねぇ」
「ほー?」
めんどくさいことになってきたし……
「愛羅、あいつは?」
「……
「愛羅が苦手とか珍しいな?」
「俺の愛羅もいるじゃないか。今日は撮影か?」
誰がお前のだ!
「あんたの物になったつもりはないんだけど?」
「ふっ、カリスマファッションモデルである俺の妻が光栄過ぎて恥ずかしいんだろ? 気にしなくていい」
どういう思考回路したらそうなんのさ?
相手にするだけバカらしい。
「そーですかー」
「それより、そこのお前、そこの貧相な顔したやつ」
零士はユッキーを見ながら話すけど―――
「なぁ愛羅、俺って貧相な顔してんの? 初めて言われたんだが」
「すっごい健康的な顔してるよ。肌艶も良さそうだし。絶倫の民って言われたらユッキーしか居ないだろうけど」
「そんな漫画の主人公になった覚えないんだがなー」
「ユッキーが覚えなくても周りが認めてるから、あきらめちゃいなよ」
「おい!! 俺を無視をするな!」
そう言いながらこっちにツカツカと近づいてくる。
うっさいなーこいつ……
「はいはい、何の用で?」
「お前、愛羅とどういう関係だ? 俺の妻だぞ」
「妻になった覚えないんですけど?」
「お前は黙っていろ。男同士の会話に口を挟むな」
うっざっ!!
「愛羅とはマブダチだよ」
「マブダチ? はっ! 友とでも言いたいのか?」
「実際そうだよ」
「くだらん。俺の妻にちょっかいかけるな」
「お前の妻じゃないって言ってるけど? そもそも婚約とかでもしてんの?」
「そういう運命だ」
「運命ねぇ? 婚約もしてない、ましてや相手にされてないのに、ここからどう運命が転がるんだか」
「これは決定事項だ」
「ふざけ「愛羅、ちょっと黙っててくれ」ユッキー……」
あーしが反論しようとしたらユッキーに遮られた。
「本人の意思も確認せずに運命だとか言って勝手に決めれるわけないだろ」
「俺はカリスマイケメンモデルだぞ。決定事項に決まっている」
「お前がどう言われてるか知らんが、そんなもん関係ないだろ。愛羅はお前と結婚したくないみたいだし、マブダチとして、お前みたいな奴と結婚するのも賛同しかねるな。愛羅はお前には勿体ない」
「貴様何様のつもりだ?」
「大切な友人のつもりだぞ」
「くだらんことで、俺の愛羅を惑わせるな」
「だからさ、お前のじゃないって。お前に愛羅を渡す位なら、俺が愛羅と結婚するわ」
「ユッキー!?」
「人の物を盗もうと言うのか!?」
「そもそも物じゃねぇんだわ。愛羅を人として接することができず、幸せにしてやることが出来ないなら結婚は諦めろ」
「はん! 女は男を幸せにするものだぞ? 貴様こそ、愛羅に貢がせたいだけだろ。貢がれることしか出来ない貧相な男が」
「貢がれるつもりはねぇよ。だからこうやって撮影に来てんだろ? そんなこともわかんないのか?」
「こんな貧相な顔の男を撮影? 冗談だろ?」
「お前と違って顔は普通だけど、中身が良いからな」
「……イチイチ癪な男だな?」
「鏡持ってきてやろうか? その癪な男が見えるように」
「ふん、こんな男の写真を誰が見たがる」
「あーしは欲しいし、うちの学校の子はみんな欲しがると思うよ?」
「こんな男のどこがいいんだ」
「ユッキーは乗りがいいし、面白いし、カッコいいところもいっぱい知ってかんね!」
「はー……おい、俺の愛羅を盗もうとしているユッキーとやら」
「なんだよ話を聞かない男」
「俺の妻の一人をやるから、愛羅から手を引け」
「ふざけてんのか?」
「元はアイドルなんかやってたらしい女だ。貴様には十分だろ? そいつを貴様にくれてやると言っているんだ。こいつだ」
そう言って、零士は近くにいた妻の一人をユッキーの前に差し出した。
「えっ、わ、私ですか、零士様!?」
「あぁ、お前はいらん」
その子は目鼻立ちが整っていて、可愛くて、アイドルやってたというのも納得出来る。
「どうだユッキーとやら、こいつをくれてやる」
「ふざけんのも大概にしろ!!」
あーしの近くで、大声で叫んだ。
初めて……ユッキーが怒ってるのを見た。
眉間に皺を寄せて、鬼の形相だ。
普段シグシグ達の尻に敷かれながら、笑ってる時と違って、ちょっと怖い。
「愛羅は物じゃないし、その子も物じゃねぇんだ! お前の都合で引っ掻き回すんじゃねぇよ!」
「ふぅ……やれやれ、身の程知らずが……もう良い、気分を害した。今日の撮影はせん。帰るぞ」
そう言って、あいつは踵を返し、スタジオから妻たちを引き連れて帰っていった。
「愛羅」
「な、何?」
「なんか合ったら言えよ?」
……へへ、やっぱ頼りになんね!
「うん!」
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