第159話 撮影現場へ


 まぁ、決まってしまった物はしょうがない。

 とりあえず、明日は流れに任せてやれるだけやってみよう。


 その日は休憩を挟んでもう1週ランニングしたあと、近場を散策して帰りに寿司を食べて満喫した。


 そして翌日―――

 愛羅から連絡があり、駅近くに集合した。


「おっはー、ユッキー、シグシグ、サクサク、ウミウミ!」


「おはよう愛羅」

「おはよう」

「愛羅ちゃんおはよう!」

「おはよう愛羅さん」


「んで、ここからどこに行ったらいいんだ?」


「隣町だから電車乗ろ!」


 愛羅に言われて、俺達一同は電車に乗り隣町まで移動する。

 そこから愛羅に案内されるまま歩いてついて行くと、一つの建物の前で愛羅が止まった。


「ここだよ! ここがフォトスタジオ!」


「ここか」


 そのスタジオは黒を基調としたシンプルなデザインで、大きなガラスの扉が中央にあり、扉の上部には控えめながらも洒落たフォントで「STUDIO LUNA」という名前が記されている。


「んじゃ、イコイコ!」


 外観を眺めていた俺達を置いて、愛羅はスタスタと扉を開けて中に入っていく。

 俺は慌てて愛羅について行くと―――


「おはようございまーす!」

「来たわね、おはよう。愛羅ちゃん」

「今日はよろしくお願いします!」

「ふふ、お任せて頂戴。それで、彼が噂の男の子?」

「はい、ユッキーです!」

「ユッキーね」


 愛羅が昨日の人とは違う誰かと挨拶をし、俺を紹介してくれた。

 相手の見た目は若そうに見えるけど、アート性があるメイクをしていて、年齢は掴みづらい。

 そのメイクと俺よりも高い身長が合わさって、高貴な女性のように思える。


「初めまして、大淀雪って言います。本日はよろしくお願い致します」


「ンフ、こちらこそよろしくね? ふーん……ほー……」


 挨拶をすると、女性は俺に近づき色んな角度でジロジロと見始めた。

 その目には力が籠もっていて少しだけ緊張する。


「なるほどねー。顔立ちは可愛い系なのね。それでいて、こっちの指示をちゃんと聞いてくれると?」

「正直何も知らない一般人なので、色々指示を頂けると助かります」

「細かく指示してもいいのね?」

「えぇ、それで期待に応えれるなら」


「……ンフ! いいわ! 任せてちょうだい! それとそっちの子たちは?」


「俺の家族……将来妻になる子達で黒髪ポニーテールの子が海で、赤髪の子が時雨で、金髪の子が桜姉です」


「第一夫人の大淀海です」

「坂間時雨よ」

「姉の大淀桜です!」


「ご紹介ありがとう。あたしは福屋ふくやなるよ。ここのオーナーで栞の姉よ」


「ルーナさん栞さんは?」


 ルーナさんって呼んでんのか。店の名前もLUNAだし、鳴を逆に呼んで店の名前とかも考えたのかな?


「栞は衣装の準備を「あら、愛羅ちゃん達もう来たのね!」ちょうど来たみたいね」


「こんにちわ! 衣装選んでたら、もう約束の時間になってたのね! 全部準備出来てるから愛羅ちゃんと大淀君は付いてきてもらっていいかな?」


「わかりました」

「はーい!」


「ンフ、それじゃあ未来の奥さん達はスタジオで待ちましょうね」


「私はお兄ちゃんの着替えの手伝いするんで、お兄ちゃんに付いていきます」


「1人で着替えれるんだが?」


「お兄ちゃんに合わせるコーディネートを見ておきたいから」


「なるほど。なら、よろしく頼む」


「あとお兄ちゃんが余計な雌猫引っ掛けないか監視」


「最後だけ余計だなぁ……」


 俺と海と愛羅は着替に、時雨と桜は鳴さんと一緒にスタジオに向かったようだ。

 とりあえずそのままついて行くと―――


「それじゃ愛羅ちゃんはこの部屋ね。大淀君は隣の部屋に入ってもらえる?」


「はーい! じゃあ後でねユッキー」

「おう」


 そう言って愛羅とも別れ、栞さんに案内されるまま隣の部屋に入った。

 そこには数人のスタッフが待っていて―――


「来たわ! 自由に衣装を選ばせてもらえる男の子!」

「ちゃんと話を聞いてくれる男の子!」

「私たちが決めていいのよね!? ね!?」


 待っていた女性スタッフ達の圧がすごい……


「普段どういう撮影してるんだ……?」

「こういうもんだよお兄ちゃん」


 海はわかっていたようなに返事をして、並べられている服を見始める。


「じゃあ、まずはこっちの服から」

「いやいや、先に髪のセットさせて!」

「そこはメイクからでしょ!?」


 ガヤガヤと数人のスタッフが言い争い始めたが……時間が勿体ないんで早くして欲しい。


「……あの素直に従いますんで、あまり他のスタッフを待たせないほうがいいのでは? 時間は有限ですし」


 俺の発言にガヤガヤ騒いでいたスタッフ達は俺を見て―――


「男の子に正論パンチされた……」

「いつも理不尽を押し付ける男の子が正論パンチ?」

「物理的な暴力じゃなくて、言葉の暴力で殴ってくる系の子なの?」


「当たり前のこと言っただけですよね!? もう全部同時にすればいいのでは? 髪セットしながらメイクして、その間に服のチョイスを選択しておいて、終わったら俺が着ればいいのでは?」


「「「じゃあそれで!」」」


 スタッフ達はそう返事するとそこからは早かった。

 俺を椅子に座らせ、1人が髪をセットしながら、1人がメイク、他は俺に合う衣装を相談しながら、俺に衣装を当てて決めていっている。


 そして、髪のセットとメイクが完了し、衣装を着せ替えが行われた。


★********★

応援、フォロー、星を付けて頂き誠にありがとうございます!

創作意欲に繋がるので応援、星を何卒・・・!

コメントもお待ちしております!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る