第155話 一汗流したあとに愛羅にも

「ふぅ……いい汗流したな」


 休憩所の正しい使い方をしたあとは、シャワーを浴びてソファーに王様気分で両サイドに海と時雨を侍らせて昼食を待っている。


「まだ走ってないんだけど……?」


 対面に座る愛羅がジト目で俺のことを見てくる。

 俺も最初はそのままランニングするつもりだったが、多数決で決まったのだからそんな恨めしそうな目で見ないで欲しい。


「汗かきたかったなら部屋を走り回ってればよかったじゃない」

「そんな子供みたいなことしないし!」


「でも愛羅さんもチラチラ見てたから興味はあるんでしょ?」

「んぐっ……そりゃ……皆あんな声あげてたら……気になるし……」


「衣装もバッチリ着て……似合ってますよ?」

「着させたのサクサクだよね!?」


 そう、なんだかんだ愛羅も衣装を着ている。

 愛羅は白いチャイナ服を着ていて胸部の部分がパツパツでスリットから見える脚が美しく、非常に良い!


「すげぇ似合ってるぞ」


「……あんがと」


 ちなみに俺の要望で海、時雨、桜もそれぞれ衣装に着替えている。


「雪君、お姉ちゃんは?」

「さっきも言ったがすごくいいぞ」


 桜はエナメル製の服で黒いブーツにハイレグの衣装だ。

 胸の谷間が強調されており、非常にグッド。


「この衣装SMとかの人が着そうだよね? そういうのに興味があるの?」

「いや、格好が好きなだけでそっちに興味はないぞ」

「そっかー、いつもの鎖に加えて縄とかも必要かなって思ってた」

「いりません!」


「お兄ちゃん私はー?」

「海ウサギも可愛いぞ!」


 海は通常のバニー衣装着ている。

 カジノとか高級な店にいるような姿、ちゃんと網タイツも履いていたがプレイの時に破ってしまったので生足だけど。

 黒髪ポニーテールにウサ耳が合わさり、とっても可愛いのだが、中学生にあるまじき胸のせいでとってもエロい。


 そして時雨は―――


「……何か言うことは?」

「とってもエッチです」

「誰のせいよ。この痴女みたいな格好させたのは」


 俺の要望で時雨が着ているのは逆バニー衣装。

 俺が逆の方が好きと言って海とじゃんけんして勝った結果、時雨が着ることになった。

 勝ったのはいいが、実際着てみると恥ずかしくなったらしい。

 基本は海と似たような感じだが逆バニーらしく、胸の先はハートマークのシールで隠されておりそれ以外はモロに出ていて、外では歩けない衣装だ。


「誰よ、こんな衣装考えた人……」

「俺は偉大な人だと思うぞ」

「こんな格好外で歩けないし、家でもちょっと恥ずかしいわよ」

「うん、まぁ、俺は着てくれて嬉しいぞ?」

「せめて今度は普通のにして頂戴な」

「それは約束しかねる」

「はぁ……」


 なんだかんだ言いながら着てくれる時雨が俺は好きだぞ。


「シグシグよく着れたね、それ。もうモロじゃん」

「雪が希望したから仕方なくよ。雪が望まなきゃ着ないわよ」


「おかげで俺は王様のような気分を味わえて満足だぞ」


 そう言いながら、俺は両サイドのウサギを抱き寄せる。


「お兄ちゃんこういうのも好きなんだねー」

「最初の頃はこんなこと出来なかったでしょうに」


「誰かさんたちが俺を食べまくるからだろ。でも、以前からこういうことは夢としてはあったな」


「最初の頃? ユッキーとシグシグが出会った時のこと?」


「「「……あー」」」


 俺と時雨と海は視線を合わせ、反対側にいる桜にも視線を送る。


「愛羅ちゃんになら話してもいいんじゃないかな?」


「? 何か内緒ごと?」


「まぁな。一応黙っといてもらえるか?」


「? うん」


「えーっとだな……どこから話したもんか……俺、この世界の人じゃないんだわ」


「……はい?」


 そこから以前と同じ様に、俺がこの世界に来てからの話をした。

 話している内に愛羅はどんどん困惑の表情を浮かべていく。


「えーっと、つまり今のユッキーは昔のユッキーじゃないってことだよね? んで前の世界から来たから他の男の子とちょっと違うと?」


「そうだな、そういうことだ」


「なんでユッキーが選ばれたんだろうね?」


「都合が良かったらしいからな」


「都合?」


「あぁ、前の雪は死にたがっていて、俺は女の子と色々関係持ちたいって希望があり、体の相性が良かったからだと」


「? それって異世界転生物にありがちな神様とかが関わってんの?」


「そうだな」


「神様? お兄ちゃん神様と会ったの?」

「それは聞いてないわよ?」

「神様ってどんな感じなの!?」


 やべ、神様のこと喋っちゃった。

 いや、別に止められてはないけど、喋るのは良くない気がする。

 俺との合体の件もあるが、直で神様に会えるって言ってもいいことはないだろう。

 あの神様も出来ることと出来ないことあるだろうし、万能ではないだろうから。

 海とか今は幸せでも過去の件で恨み言を言うかもしれないし。


「あー、まー、会ったけど、幸せに暮らせって言われてるだけだぞ」


 貞操観念ぶっ壊されての話だが……


「へぇー! 神様って本当に居るんだ!?」


「あぁ」


 神様の存在に愛羅がキラキラした目で俺を見ている。

 そして、桜も色々気になるようで―――


「それで、どんな感じだったのかな? 人型の神様? それとも動物?」


「人だよ」


「男性? それとも女性?」


「女性だな」


「やっぱり、女性なんですねー。どんな格好なんですか?」


「……あー」


「お兄ちゃん?」

「雪?」

「雪君?」


「ち……」


「「「ち?」」」


「ち、乳暖簾だった……」


「「「「……えぇー」」」」


「神様があんな格好してるの?」

「神は痴女なの?」


「乳暖簾ってどんな格好なの?」

「あーしも知らないなぁ……えっ、今調べたけど、これガチ?」

「うわー、すごい恰好してますね」


「というか、お兄ちゃんが着て欲しい服って確か乳暖簾だったよね」

「そうね、以前テストでそう答えてたわよね? 女神様の乳暖簾が忘れられなかったとか?」


「待て待て、落ち着くんだ」


「お兄ちゃん、もう一回ニンジン作ろうか?」

「雪の畑の栄養ももうすぐ届くだろうし、栄養補給したらもう一回ニンジン作る必要がありそうね?」

「雪君は何も心配しなくていいよ。全部ニンジンに聞くね?」


「ちょ、ちょ、ちょ! お昼食べたらランニングじゃないの!?」

「俺は逃げない。逃げないから帰ってからにしよう。なっ?」


「帰ってからお兄ちゃんのニンジン畑明日までお世話するから」

「土壌の栄養も必要よね? 帰りは薬局によりましょ」

「ニンジンニンジン言ってるけど、二人ともその格好家でもするの?」


「私は別に問題ないよ」

「……流石に家では普通のバニーね」

「じゃあ、帰りにお薬も買えるディスカウントストアね!」


「頑張れ、ユッキー……」

「救いはないんですか……?」

「それこそ神様にお願いしたら?」


 部屋に神棚でも作るべきか、真剣に悩む俺だった。


★********★

4人からギフトを頂きました!

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無理のない程度に頑張ります!


更新お待たせしました。

久しぶりに③のサイトにも更新してます。


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