第154話 ランニング前にすることじゃないよね!
朝食を食べ終えた俺達は、ジャージを鞄に入れて家を出た。
目的地まで距離があるので、駅に向かった。
駅に着き、電車に乗って揺られること数十分―――
「着いたー! ここから公園までは歩いて数分だけど、休憩所? に行って着替えんだよね?」
「そうですよ。ここから10分位ですね」
「ねぇねぇ、サクサク、男性保護省の休憩所ってあーし行ったことないけど、何があんの?」
「私も行ったことはないです。色々とあるってことは知識として知ってますけど……雪君は行ったことある?」
「海と凪さんと一緒に行ったことあるよ」
「へぇ〜、ユッキー何があるの?」
「んー、色々あったけど、休憩の為にしか使ったことないからなー」
「休憩ってことはソファーとかドリンクがある感じ?」
「そうだな。シャワーも付いてるぞ」
「マジ? 走ったあと汗流せんね! 他には何があんの?」
「まだ利用してないけど、服とかもあるぞ」
「服? あっ、洗濯も出来てその間着るための服ってこと?」
「まぁ、そういう利用方法もあるな」
「ふーん、なんかベッドまであったらホテルみたいな感じだね」
「ベッドもあるぞ」
「ホテルじゃん! もしかして泊まれんの?」
「泊まれるけど、料金はちゃんと掛かるぞ。休憩だけなら数時間無料だが」
「マジ!? 男の人居るとそんな施設無料で使えるとか、ちょー得じゃん! 何の為の施設なんだろ?」
「行ったらわかるぞ、ピュアラ」
「愛羅さんって本当にピュアなんだ?」
「流石ピュアラね」
「ピュアラちゃんが大きくなったらわかりますよ〜」
「なんで急にあーしバカにされてんの!?」
「いいんだぞ、ピュアラ。ピュアラはそのままでいいんだ」
「喧嘩売ってる? 特売価格で売ってるよね? 休憩所行ってちゃんとした使い方学んで、使い尽くして見せるからね! 覚悟してろユッキー!」
「遺言かな?」
「勝手に殺すな!」
―――と言っていたのが十分程前。
「んが、が、が、が……」
行き勇んでいた愛羅は現在顔を真っ赤にして固まっている。
何があったかと言うと―――休憩所について受付するまでは問題なかった。
どちらかと言うと受付する場所は新しく出来たホテルのような感じで清潔感溢れる外観で、愛羅はワクワクしていた。
この辺は元の世界と大違いな気がする。
ボタンで部屋を選んだりすることは今のところ見たことがない。
受付で身分証明書などを提示したあとは部屋の鍵を渡されて、エレベーターで部屋がある階層に移動したあと、部屋の前に移動して鍵を使った。
鍵を開け部屋に入ると広めの部屋が用意されていた。
「うわー! すっごい! あーしの部屋より広いし!」
なんて言いながらキャッキャと騒いでいた愛羅だったが―――
「ほら愛羅、これが着れる服のパンフレットよ」
「どんなのどんなの!」
時雨が渡したパンフレットをペラペラと捲っていく内に愛羅の顔がどんどん赤くなっていき、フリーズした。
そして、先程の発言である。
「さすがピュアラ、遺言が『んが、が、が、が』なんて斬新だな」
「ちょ! 服って言うか! そういうことする為の衣装じゃんか!」
「そうだぞ」
「ホテルに着替える服なんてあるわけないでしょ」
「愛羅さんピュアピュアで可愛いね。初めて見たこんな人」
「愛羅ちゃんはどれ着るのかな〜?」
「着ないし!」
愛羅はパンフレットを部屋にあるテーブルの上にバンッっと置いてベッドの上に仰向けに倒れ込んだ。
「お兄ちゃんどれ来て欲しい?」
「乳暖簾は無さそうよ」
「メイドさんはこの間したから他のがいいよね?」
「えっ、今からなの? ここに来るからそういう展開もあるかもって思ってたけど」
「体力が無くなってからすると、そのまま寝ちゃわない?」
「……寝そうだな」
海の言う通りランニングしたあと行為をしたら、疲れてそのまま寝そうな気がする。
「お昼はここで食べましょ。ほら、美味しそうよ」
「ほう。めっちゃ充実してるな」
「でしょ? 値段は普通だけど、美味しそうよ」
時雨が持ってきたパンフレットには食事のメニューが書かれ、写真も載っていたが、お値段はその辺の食事処と変わらないがけっこう豪華に見える。
ベッドで運動したあとにこういうので腹を満たすのはありだな。
「雪君、どれ来て欲しい?」
「どれどれ……ふむ……どれも見てみたいな」
「流石に全部は大変だから1人一着ずつ位にしてね」
「そうだよな。じゃあ……バニーと、逆バニーと、この際どいボンデージで頼む」
「あと1個は?」
「ん? あと1個って愛羅にも着せるのか?」
「仲間ハズレはかわいそうでしょ?」
「確かに……? まぁ、本人に選ばせようか」
「それもそうだね! お姉ちゃんにはどれ来て欲しいかな?」
「桜姉はこのボンデージで!」
「はーい♪」
俺は桜から衣装のパンフレットを受け取り、愛羅の方へ向かう。
仰向けに倒れた愛羅にはこの言葉を贈るべきだろう。
「おぉ、愛羅よ。死んでしまうとはなさけない……」
「こういう場所だったんだね……ユッキー。ま、まぁ、普通に過ごすだけなら大丈夫かも」
「愛羅は着ないのか? 他の3人は着るみたいだぞ」
「んえ!? 今から着替えてランニングじゃないの!?」
「俺もそう思ってたんだが、ランニングした後に行為すると、そのまま寝そうだし、昼食もここで食べたら美味しそうって言うのと、3人が乗り気だから先に合体することになったわ」
「合体!? ここでするの!?」
「まぁ、場所的にはそういう目的の場所だぞ」
「ランニングしたあとだと、お兄ちゃんのニンジン食べるのきつそうだから」
「そうね、雪の立派なニンジンは新鮮な状態で食べたいもの」
「お姉ちゃんがニンジンに水やりと種蒔きしますね〜」
「えっ、ちょ、マジ?」
「愛羅は一度見てるでしょ? ソファーでのんびりしてて頂戴な」
「愛羅さんは観戦者枠なんだ?」
「私たちは雪君が指定した物着るけど、愛羅ちゃんも着るなら、好きな物着ていいからねー」
「ほへー…………」
愛羅が放心状態になってしまったが……まぁ、一度見てるし大丈夫だろ!
フロントに時雨が衣装を注文している間に軽くシャワーを浴びるとするか!
★********★
すみません、次話は少しだけ時間を下さい。
応援、フォロー、星を付けて頂き誠にありがとうございます!
創作意欲に繋がるので応援、星を何卒・・・!
コメントもお待ちしております!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます