第153話 朝からピンクの子がやってくる
まさか色んな部から勧誘されるとは思わなかった。
あのあと体育館から逃げ出したが、校門に行くまでも色んな部活から声を掛けられ、大変だった。
校門で待ち合わせしていた海から一言―――
「お兄ちゃんさぁ、いい加減慣れないと今後も大変だよ」
多分これは女子にというか、この世界の男性の境遇と言うか在り方に慣れろってことなんだろうな。
もちろんこのあとは皆でデート的なことをして楽しんだ。
そしてその週も無事に過ごし、翌日土曜日。
朝、朝食の準備をしていると家にチャイムが鳴り響いた。
「あれ、もう来たんだ?」
「早いですね。待ちきれなかったんでしょうか?」
「じゃないか? 時雨、見てきてくれ」
「わかったわ」
時雨に様子を見に行ってもらい、戻って来るとチャイムを鳴らした本人も一緒だった。
「おっはー! 待ちきれずに来ちゃった!」
愛羅が朝から元気よく登場。
「おはよう、愛羅ちゃん!」
「おはよう、愛羅さん」
「おはよう、愛羅。悪いが朝食がまだなんだ。一緒に食うか?」
「おっ、ユッキーの手作り?」
「俺は色々手伝ってるだけだな。サラダ盛り付けたり、パン焼いたり。」
「それは手作りに入らないん?」
「流石に入らないだろ。もう少しちゃんとした料理じゃないと。で、食うか?」
「ごちになります!」
「あら、賑やかね」
「桃園さん、おはよう」
「おはようございます」
「おはようございます、秋さん、干菜さん! っと……初めまして! あーし、桃園愛羅って言います!」
「初めまして、海の母の水天凪です。凪って呼んでください」
「ウミウミのお母さん? えっ? ウミウミってユッキーの妹だよね?」
「あぁ、海は男性保護省の姉妹プログラムで出来た妹で、凪さんは海の実母だよ」
「? あーし、詳しくは知らないんだけど、妹出来る時ってお母さんもセットなの?」
「いや、本来は海だけだぞ。たまたま出会って暮らすのに苦労してそうだったから家に招いたんだ」
「えぇ、雪さんに誘われて居候の身です」
「??? なんかよくわかんないけど、ユッキーだからこういう状況になってるってことでいいかな?」
「それでいいと思う」
「それでいいわよ」
「そうですね」
海、時雨、桜がそれぞれ愛羅の声に適当に反応する。
「まぁ、色々あったけど、今は家で一緒に住んでると思ってもらっていいぞ」
「わからないけど、わかった!」
うん、まぁ、普通はありえないんだろうな。
「んで、こんな朝早くから来たってことは結構走るのか?」
「走るけど、どうせ走るならいつもの景色じゃなくて違う場所が良くない?」
「なるほど、遠い景色の良い場所で走ろうってことだな?」
「そゆこと! 2つ隣の街の公園が改装されて綺麗になったらしくて、広いらしいからそこでどうかなって!」
「2つ隣町まで走るのか?」
「あーしは大丈夫だけど、ユッキー達はきついっしょ? そこまで電車で行こ!」
「そこまでジャージで行くのか?」
「トイレで着替えれば良くない?」
「男子トイレってあるのか?」
「……ユッキーも女子トイレで着替える?」
「鬼かな?」
「マブダチだし!」
「2つ隣だよね? 近くに男性保護省の休憩所とかあるんじゃないかな。流石に女子トイレだと他の雌犬にお兄ちゃんの下着姿覗かれる場合があるから、許容できないかなー」
俺が覗かれる心配かよ。
「あっ、歩いて7〜8分の所にあるみたいだよ」
桜がささっと携帯で調べてくれたようだ。
「んじゃ、ランニングして帰りはシースーだな。奢るって約束したし」
「マジ? ユッキーちゃんと約束守ってくれんだ!」
「約束は守る立ちだぞ」
「近くに有名なお寿司屋さんあるかなー」
「ネタが大きいところが良いわね」
「隣町なら神藤家行きつけの場所があるんだけどねー」
「回ってるところにしてください! 死んでしまいます! 俺の財布が!」
透花からそれなりのお金を貰ったとはいえ、俺の金銭感覚は庶民のまんまだ。
学校帰りにスーパーに寄ることがあるが、野菜の数十円の値上がりにも高くなったなぁと感じる感覚はある。
「ということで、母さん、干菜さん、凪さん。俺達は朝食食べたら外に出て昼は外食してくるんで、昼メシは要らないです」
「お兄ちゃん、どうせ遠い街に行くなら色々回ろうよ」
「夕飯も向こうで、食べましょう」
「そうですね。お姉ちゃんも雪君とデートしたいですし、そうしましょう!」
「……みたいなんで、夕飯も大丈夫です」
「ふふ、わかったわ」
「いいわね。私達も外食してこようかしら」
「そうですね。たまには私達も外食しましょう」
母さん、干菜さん、凪さんも外食することにしたらしい。
まぁ、たまには外食もいいよな。
「なら、晩飯を寿司にして昼は違うものだな」
「そうだねー。行って向こうで考えようか!」
「あぁ、んじゃ、そろそろ朝食にしようぜ」
「だね」
さて、愛羅が言う場所はどんな場所なのか楽しみだな。
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