第140話 イライラ

<SIDE 時雨>


 今日は日曜日。

 昨日雪はとんでもないこと言い出した。


「クラスの子と遊ぶことにしたわ」


「「……はぁぁぁぁぁ!?」」


「待ちなさい! いつのまにクラスの子の連絡先を入手したのよ! 私と桜が基本捨ててたはずよ!」


「捨ててたのかよ! 通りで誰からも直接もらえないわけだわ!」

 

「そうよ! これ以上妻候補が増えないように調整したのよ! なのにどうして!」


「俺の机の中に入ってたんだよ。よかったら連絡してって」


 つ、机の中……

 さすがにそこまでは考えてなかったわ……


「というか、高校に入ったら交友関係は緩くするって話だったじゃないか」


「緩くするからって縛らない訳じゃないわよ! 第一どれだけ雪が愛想振りまいてるのかわかってるの!?」


「普通に会話してるだけだろ!」


「ハグも挨拶に入ると?」


「欧米ではそうだろう」


「ここは日本よ!」


「日本だからって欧米風の挨拶しちゃいけないってわけじゃないだろ?」


 本当にもう……ああ言えばこう言うんだから!!


「普通の男はそんなことしないわよ!」


「今更だろそんなの。仲良くなって妻探すんだから、それぐらいいいだろ」


「探すにしても限度を考えて頂戴!」


「仲良くしたからって全員と良い感じなれるとは限らないだろ?」


「なるわよ! 雪はこの世界の女を甘く見過ぎよ!」


「まぁいいじゃないか! さっさと妻を揃えて、妻達と高校生活を謳歌出来るんだから!」


 何を言っても雪はあーだ、こーだ言って、私の言葉を聞いてくれない。


 そのまま雪に連れられ、色々と買い物をして帰ったわ。


 けっきょく、ホームセンターには行けなかったけど……


 そして、一夜明けて朝。


 雪が出掛ける準備をしている。


 もちろん、私と海と桜もついていくわよ。


 クラスメイトが余計なことする可能性があるから。


 ……わかってはいるのよ?


 妻が必要だから仲良くするってことは。


 そりゃ、雪が妻にするんだから嫌な人と結婚なんてしたくないでしょうからね。


 だから、妻以外の女性を抱いてお金を貰う……ましてや、まだ妻の枠が足りてないのだから身体の相性で相手を探すのが一般的だと言うことも理解はしている。


 理解はしているけど……なぜかしら……


 どうして雪が他の子とイチャイチャしてるとこうもイライラするのか……


 これは私だけじゃなく海も同じ。


 この心の中で燻るずっと雪の傍に居たいと思う気持ちは……間違っているのかしら?


 身近に結婚している女性なんていないから聞くことも出来ないし、ネットで調べても男性をその気にさせる方法なら幾らでも出てくるのに、私のこの気持ちをうまく出来ないわ……


 この感情は独占……になるのかしら? 雪を独占したい気持ち。


 でも、海が一緒にいる分には特に何もないのよね。


 むしろ海が、あれこれ策を練ってくれるから助かる部分もあるし。

 

 そういう意味だと独占とは違う……わよね?


 あれかしら? 雪が知らない人と仲良くするのが気に入らないのかしら?


 誰にでも愛想振りまいて、私の雪が他の人に取られてしまいそうな―――


 だとすれば、私がやるべきことは決まったわね。


 昨日のうちに桜に連絡しておいて良かったわ。


 ちゃんと手に入れてきてくれたみたいだから。


 ふふふ……行かせないわよ? 雪。


**********


<SIDE 海>


 イライライライライライライライラ――――


 イライラする!!


 何でお兄ちゃんは他の雌猫と遊ぼうとしてるのかな?


 私達じゃダメなの?


 妻を探すにしてもまだ時間あるよね???


 雌猫姉桜は……本当に実姉にまでなったから、もうしょうがないからいいけど……


 今の時点で3人。


 つまり21歳までのラインはOKなんだよ!


 なのになんでそんな、どんどん関係増やそうとするかな!?


 私や時雨姉が何を言っても、聞いてくれないし!!


 というか、なんでだろ……


 お兄ちゃんが妻を増やさなくちゃいけないのはわかるんだけど……わかるんだけど!!


 ただでさえお兄ちゃんが他の子と仲良くしてるのを見るとイライラするのに、雌猫姉桜が第三夫人になってお兄ちゃんにベタベタしてるのを見ると……

 

 イライラが止まらなくなる!!


 ……まぁ、イライラはするけど、話を聞く限りお兄ちゃんに発情した雌猫が近づかないようにブロックしてくれてるらしいから、下手な雌猫を捕まえるよりはいいけどさぁ。


 雌猫によっては妻になったことを良いことに自分に有利に働く雌猫を妻にしようと画策するって聞くし。


 はぁー……なんでこんなにイライラするんだろ。


 私が第一夫人なんだから、しっかりしなくちゃいけないのに……


 ……そうだよ! 私第一夫人なんだよ!


 なんで私の許可なく、他の雌猫を捕まえようとするかな!?


 勝手に知らない雌猫を捕まえようとするお兄ちゃんが悪いんだよ……?


 お兄ちゃんがそうするなら、私も……


 昨日雌猫姉桜が良い物手に入れてくれたみたいだし、使うしかないよね?


★********★

11/6追記

更新が遅れてしまい、申し訳ございません。

ちょっと私用で書く時間が取れず……

次話はもう少々お待ちください。


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