第139話 報酬②


 俺は透花がテーブルに置いた一枚の紙を手に取り読んでみると―――


「男性保護省の貴方と合体したいキャンペーン……?」


 何言ってんだこいつと思わずツッコみたくなったわ。


「はい。子供が出来たので男性保護省に報告をしたら、相手の男性にこの紙を渡すようにと」


「えっと何々……『昨今男性の自主的な合体率が低下しており、女性の方々が身を持て余しております。また子種の提供も徐々に減少しており、ここ十数年で―――』」


 要約すると、女性は合体したいけど男性が中々了承してくれない。

 男性の子種提供も年々減っているそうだ。

 行為が出来ない、子種を受け取れないことから犯罪に走る女性が微増しているらしい。

 前世でもあったが、高齢化っていうのも影響してそうだなここは。

 子種提供が少なくなるとお金がある人でも正規のルートで提供を受け取ることが出来ず、女性が子供を作ることが出来なくなり、働ける人が減って男性の人たちにもいずれ影響が出てくる。

 妊娠には男性が直接行為をした方が確率が上がるし、将来の為に協力をして欲しいと強くお願いが書かれていた。


「んで、『男性保護省から合体希望者のリストから選んで行為を行うと男性の方に10万円支給されます。またその方が妊娠した場合、追加で20万。さらに身籠った子が男の子だった場合、追加で70万支給を行います』……マジかよ!」


 行為することで子種提供の倍額、妊娠したら追加報酬、さらに男の子だったら合計100万か……


「はい、男性保護省の方から今回行為を行った男性にぜひお伝えして頂きたいと。こちらは、少しでも男性の方がその気になるように容姿が整った子が優先されるそうです。何でもアイドルだとか女優もリストに入るらしいですよ? 他にも性格やアピールポイントなども記載するらしく、妻として交渉してもいいと。好みを言えばさらに細かくピックアップしてくれるそうです。 リストは製作中で後日配送したいので相手を教えて欲しいと……」


 俺の感覚で言えばありえないよな……女性と行為することで金がもらえるなんて……しかも相手は俺が選んでいいんだろ? しかも容姿が整った子から! それで稼いで、将来デカい家を買えば皆と一緒に暮らせるし一石二鳥だな……!


「不要!」

「不要ね」


「待て待て待て待て!」


「何お兄ちゃん利用する気?」

「私達じゃ満足出来ないってことかしら?」


「いや、満足できないってことじゃなくて、将来この中から行為して妻を選んでもいいんじゃないか? 行為したあとに相性がよかったら次も会って……そういうので選んでもいいって以前言ってたじゃないか? それにどのみち金は必要になるだろ? 俺が稼げば海と時雨が同時に妊娠しても色々余裕が出来るし。そうすれば、妊娠中ずっと二人の傍にいることが出来る。流石に妻が妊娠したら傍に居て、他の人との行為はしないようにする」


「確かに……確かに言ったけどさぁ!」

「……本当に控えるんでしょうね?」


「どの道最低あと2人探さなくちゃいけないんだ。選択肢のひとつとして残してくれ」


「……では、男性保護省にお伝えしても?」


「えぇ、かまいません」


「承知しました」


 それにしても300万か……

 毎回この額は無理だろうけど、透花に斡旋してもらうのもありっちゃありか……?

 多分この感じだと、男性保護省より貰えるよな……?

 容姿はわからないけど、もしかしたら透花クラスの人と合体出来て、お金も稼げる可能性もあるよな……?

 将来妻たちと幸せな生活を送るには愛も大事だが、金も絶対必要だ。

 俺が稼いでおけば妻たちは楽な仕事を選んで自由な時間が増える。

 子供を旅行に連れて行ったりすることも出来るようになるから、こっちの選択肢も残しておくべきだろう。


「透花、一応斡旋する場合、どんな人がいるか今度送って貰えないか?」


「お兄ちゃん!?」

「雪!?」


「よろしいのですか!?」


「これも選択肢のひとつ! まぁ、どんな人か見てするかどうか決めるけど」


「……承知しました。男性保護省のように詳細をまとめてお送りいたします」


 うん、これで将来結婚した時に金銭に余裕ができるな!

 それで俺は色んな女の子と楽しむことが出来る!


 それに男性保護省の方はアイドルや女優もいたりするらしいし……

 本来は絶対に手を出すことができない人と合体出来て、うまくいけばアイドルや女優と結婚もできるかもしれない!

 

 ふふふ、女神様に鍛えられた技で落としてやるぜ!


 透花との話合いは終わり、喫茶店で透花と別れ俺達は外に出たのだが―――


「お兄ちゃん、ホームセンター行くよ。丈夫なやつ買わないと!」

「そうね、監視カメラも必要ね。いくらするのかしら?」


「いらないから! ほら、ここまで来たんだから美味しい物食べたり、遊んで帰ろうぜ!」


 二人はホームセンターに行きたがったが、俺が二人の手を引いて無理やり別方向に歩いて行く。


 にしても、最初の頃は好きにしたらいいって言ってたのに何故急にダメダメ言うようになったのか……

 あっ、そういえばあのこと言っといた方がいいよな?


「そうそう明日だけど」


「何?」

「どうしたのよ?」


「クラスの子と遊ぶことにしたわ」


「「……はぁぁぁぁぁ!?」」


 海と時雨の声が街中で響き渡った。


★********★

応援、フォロー、星を付けて頂き誠にありがとうございます!

創作意欲に繋がるので応援、星を何卒・・・!

コメントもお待ちしております!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る