第138話 報酬①
桜が姉になったことも知れ渡り、新たな日常となって今週も学校生活を楽しんだ。
桜が姉兼、恋人兼、第三婦人になったことで、桜に積極的に話しかける子が増えたが、桜もわかっていたのか色々と話をするらしい。
詳しい内容は―――
「雪君は気にしなくて大丈夫だよ。お姉ちゃんに任せておいて!」
と返され、何を話しているのかは知らない。
たまに聞こえてくる内容から一部俺のことも含まれてそうなんだが……
まぁ、何かあったら教えてくれるだろう。
さて、今週も学校生活が終わり休日を過ごすことになるが、今週は予定がある。
以前抱いた透花さんから連絡があったのだ。
直接会って話をしたいと言われ、俺は了承したが黙っている訳にはいかないので、海、時雨、桜に話をしたが、桜は病院と一度実家に顔を出すと言うことで、海と時雨がついてくることになった。
透花さんとの待ち合わせ場所は、以前行った駅近くの喫茶店を指定させてもらった。
3人で約束の時間の十分前に喫茶店に行くと、透花さんは店内のテーブル席で既に俺たちを待っていた。
俺に気がつくと透花さんは席を立ち俺たちを出迎えてくれた。
「雪様、休日に御足労頂き誠にありがとうございます」
「すみません、透花さんお待たせしました」
「雪様、私のことは透花と」
「……そうでしたね」
「今日は女装されてないのですね」
「えぇ、今日は2人がいますから」
「将来の奥様ですか?」
「はい、黒髪のポニーテールの子が妹の海で、赤髪の長い髪の子が幼馴染の時雨です」
「この雌猫がお兄ちゃんが抱いた人?」
「私の雪に手を出した女ね?」
俺と透花のやりとりを見て察した2人は不機嫌な顔で透花を見るが、透花はそれを真正面から受け止める。
「初めまして、雪様の奥様方。私は紅銅透花と申します。先日は奥様方の許可を得ずに雪様に抱いて頂きました。ご迷惑をお掛けしてしまい、大変申し訳ございません」
透花はピシっとした状態から直角に腰を曲げ、深々と頭を下げて海と時雨に謝罪をした。
「いや、抱くと決めたのは俺だから透花は気にしないでくれ。海と時雨も透花に当たるのはやめてくれよ?」
「……泥棒猫次第」
「……そうね」
「雪様、ありがとうございます。せっかくですから座ってお話をしましょう」
「そうですね」
頭を上げた透花さんに促され、俺たちはテーブル席に着いた。
6人掛けの席なので正面に透花が座り、海と時雨が俺を挟むようにして席に着いた。
そのまま店員を呼び、飲み物を注文して軽く雑談を始める。
「ふふ、それにしても雪様は奥様方と仲がよろしいんですね?」
「そうなんですかね? 普通だと思いますが」
「普通はそんなにべったりと密着されると男性の方は嫌がりますよ」
3人に座れるぐらい余裕のある席だが、海と時雨が俺の腕を抱き込んで密着している様子に、透花はクスクス笑いながら見ている。
「まぁ、家でもこんな感じなので」
「雪様の奥様になれたお二人は幸運ですね」
「お兄ちゃん以上の人なんていないからね!」
「雪以外眼中にないわ」
「ふふ、私もお二人と同意見です」
と言った具合に軽く雑談しながら、注文した物を受け取ると透花が真剣な表情で俺を見つめてきた。
「……さて、雪様、本日御足労頂いた理由ですが……」
「どうでしたか?」
「……雪様のお陰で無事に妊娠することが出来ました。これで……これで……会社を子供に継がせることができます……本当に……本当に……ありがとう……ございました……」
「……お力になれてよかったです」
嬉し泣きする透花に俺はハンカチを取り出し差し出すと、透花はハンカチを受け取り、涙を拭き始めた。
「スン……すみません、お見苦しいところを」
「見苦しくなんてありませんよ。えっと……とりあえず、おめでとうございますと言わせてください」
「ありがとうございます。すべて雪様のおかげです……それで雪様、お礼の件ですが」
「お兄ちゃんが抱いた料金は1億ね」
「いいえ、10億よ」
「ちょっと黙ってような? 今は大人の会話だから」
「私も大人だよ」
「雪が大人なら私も大人よ」
「わかったから、あとで好きな物買ってあげるから」
「じゃあお兄ちゃんを拘束する為のベルトを5本ね」
「帰りにホームセンターに寄ってステンレスの鎖を2メートルの鎖を5本買って頂戴な」
「必要ないから! すみません、話の続きを……」
「申し訳御座いません。流石に億単位のお金を準備するのは無理なので……ひとまずこちらとこちらを」
透花は自分の鞄から封筒と1枚の紙を取り出し、テーブルの上に置いた。
俺は一先ず封筒を受け取り、封筒を覗くと1枚の紙が入っていたので取り出して見てみるとそれは小切手だった。
額は―――――
「? ……一、十、百、千、万、十万、百万? さ、300万!?」
「はい。男性に抱いて頂く相場よりも色をつけさせて頂きました」
いやいやいやいや!? 色がついたとしても300って!?
「いやいやいやいや、流石に貰いすぎですよ!?」
「いえ、そのようなことはございません。気持ちとしては奥様方の言う億を払いたい気持ちですが……雪様に抱いて頂く前に男性保護省での出費が……流石に私個人で出すのは難しく……いえ、もう200位ならなんとか……」
「いやいやいやいや!? 追加しようとしないでください! この3分の1でも多いですって!」
「そのようなことはございません。雑誌でモデルされるような男性は150万で抱かせて頂くことがあると聞いたことがあります」
「雑誌モデルで150万なら俺はその10分の1もないですよ……」
「いいえ、雪様の対応を考えれば、もっといけると思います。雪様が望まれるなら斡旋いたしましょうか? 容姿にこだわらなければ、アタッシュケースぎっしりに詰め込んだお金で殴る方はいますよ? 40代、50代なら億出す方も探せば……」
それはもはやアタッシュケースで殴っているのでは? さすがに40、50はなぁ……
「行為だけなら流石にある程度容姿にはこだわりたいですし、今の年齢から3倍離れた人はちょっと……」
「何斡旋しようとしてるのさ!」
「余計なこと言わないで頂戴」
「失礼致しました」
「ダメだからね、お兄ちゃん」
「そんな暇がない位搾ってあげるから安心しなさいな」
「あー……それで、もう一つは?」
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すみません、長くなったので分割します。
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