第125話 神藤 桜③

 

 高校入学前に私は今後を見据えてやらなければいけないことがあると思うのです。


 それは―――弟とのことです!


 あの漫画では終始姉と弟がイチャイチャしていましたが、一線は超えていませんでした。

 一般向けの漫画なので当然ですね。

 ですが! 雪君は現実です。リアル弟なのですよ!!

 ということは……先があるかもしれませんからね。

 私は中学時代の友人の伝手、神藤家の力を使って情報を集め、エッチな本を入手しました!

 もちろん、友人からおすすめの姉弟物です。抜かりはありません!

 予習もバッチリです!


 高校生活も始まり、雪君と会うことができるようになりました。

 雪君のお家にお邪魔して、雪君がお姉ちゃんの胸に反応してくれるのを見て、今後が期待出来そうです!

 

 ただ……王様ゲームをやった次の学校から雪君がとっても積極的になってしまいました。

 私を抱きしめて、チューしてくれるのは嬉しいけど……周りの子にもハグしてあげるのはやり過ぎじゃないかな???

 あの王様ゲームでお姉ちゃんの胸が雪君の理性を壊してしまったのでしょうか?


 大切な弟をどこの馬の骨ともわからない人にあげるのはよくありませんね。

 今後厳しくチェックした方がいいかもしれません。


 そして、学校ではオリエンテーション合宿が始まりました。

 もちろん、雪君と同じ班です。お姉ちゃんですからね!

 合宿場に着いて、コテージで少しのんびりして、第一炊飯場でご飯作って……

 雪君とお風呂です!

 ちょっとだけ恥ずかしいですが……いえ、こんなことで恥ずかしがっていては、お姉ちゃんになれません!

 お姉ちゃんが弟の髪や体を洗うのは常識です!

 むしろ、友人オススメのエッチな本みたいに……大胆でしょうか? 今更ですね。行ける所までいってしまいましょう!

 そう意気込みましたが、時雨ちゃんがなかなか許してくれませんでした……

 まぁ、スペースシャトル磨きを体験できたので良しとしましょう!


 夜も本当は雪君と寝たかったのですが……お姉ちゃんメイドで我慢してもらったので、今度は私が我慢の番です。

 明日雪君と寝れればいいですね。

 では、お休みなさい。


 ギシギシ……ギシギシ……


 …………眠れるわけないでしょう!!


 まさか私の目の前で宇宙旅行に行かれるとは思いませんでした。

 ですが、グッタリした今がチャンスです!

 雪君を奪い、一緒に寝ることが出来ました。


 朝起きた時、雪君におっぱいを吸われたけど、幸せそうな顔をしていたので何の問題もありませんね。

 雪君と過ごして、朝、昼と過ぎていき、夜のレクリエーションの時間です。

 雪君二人っきりになりたかったですが、あの時雨ちゃんを引き剥がすのは無理ですね。

 大人しく愛羅ちゃんと組みましょう。

 雪君達が先に行って少し経ったあと、私と愛羅ちゃんも歩き始めました。


「愛羅ちゃんは怖いの平気ですか?」


「苦手だけど……ついついホラー映画とかは見ちゃうかなー」


「あぁ、怖い物見たさ的なやつですね」


「それ!」


「まぁ、こんな森の中だと幽霊とかより野生の生き物とかの方が危険ですよ」


「熊とか?」


「そうですね。でも熊は昼行性なので、夜に出会うことは少ないですよ」


「そうなんだ? 夜とかも動いてるかと思ってた!」


「動く場合もありますよ。人里に来たりする場合は夜に活動するらしいですから」


「へぇー! あとは何が危ないの?」


「動物だとアライグマとかイノシシとかヘビですかね。それよりも虫が厄介ですけど、蚊は今の時期いないでしょうが、ムカデやヒルなんかはいますからね」


「うぇー……虫はヤだなー……」


「虫除けスプレー持ってきているので使いますか?」


「使う! ありがとうサクサク!」


 そんな会話をしながら、歩いていると道の端の茂みからガサガサと音が聞こえ、私と愛羅ちゃんは足を止めました。


「……演出かな?」


「鹿かもしれませんよ? 夜活動することもあるらしいですから。私たちに気づいたのかもしれません」


 そんなことを言っていると、茂みから鹿が飛び出してきて、私たちの横を駆け抜けて行きました。


「おぉ! 本当に鹿だった! もっとよく見たかったねサクサク! ……サクサク?」


 ……何故鹿は私たちの横を通り過ぎて行ったのでしょうか?

 気づいたなら逆に離れて行くはずです。

 そうでないとすれば―――


 ガサガサガサガサ


 鹿の行動に思考していると、答えが自分からやって来てしまいました。


「……く、熊!?」


「愛羅ちゃん! 下手に動かないで! 熊を見ながら、ゆっくりと来た道を戻りますよ!」


 まさか夜熊に出会うとは……初めて生で見ましたが、それなりに大きいですね。

 こういった場合、自分を大きく見せるために、大きめの石か何かに乗って両腕を広げて、自分を大きく見せながら大声を上げて威嚇すると良いらしいですが……

 来た道にそんな都合のいい物はなかったはずです。


 ゆっくり、ゆっくりと、後退りながら熊との距離を広げて行きます。


★********★

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