第118話 男についての授業

 

 ご機嫌な朝食を終え、コテージに戻り、歯を磨いて身支度を済ませ、総合施設に向かう。

 合宿のしおりによると、男性についての授業らしい。

 七橋先生には参加しなくていいと言われていたが、一人だけ授業受けないのも暇なので参加することにした。

 総合施設内に入り、施設内に移動して、大きめの部屋に入った。

 丸型のテーブルが並べられており、クラスの子たちが班ごとにそれぞれ座っている。

 俺達も空いているテーブルの椅子に座り、待つこと数分、七橋先生が前の方にやってきた。


「それでは、合宿最初の授業を始めます。この学園ではクラスに最低一人男性がいますが、男性が貴重な存在であることは皆さんご存知ですね? そんな男性との付き合い方をこの授業では説明していきます。まずは―――」


 そこから、七橋先生が資料を配って、説明を行うが、要約すると相手によって柔軟に対応しなさいって感じだな。

 臆病な子、傲慢な子と相手を見極めて、付き合って行きなさいってことか。

 ……この授業必要か?


「先生、質問いいですか?」


 クラスの子が手を上げて、先生に質問をし始めた。


「はい、なんですか?」


「雪君はこの資料だと、どういったタイプの男性になるんですか?」


「えーっと……消極的な感じは……ありませんし、かといって好き放題するような子でもありませんから……特殊な子です!」


 なんだよ特殊な子って……


「私の雪は他の男とは違うから、当然かしら」

「雪君はいい子ですからね!」

「ユッキーみたいな人いないもんねー」


 時雨、桜、愛羅がそれぞれ感想を漏らしている。


「資料にはありませんが、特殊な子とはどういう付き合い方をしたらいいですか?」


「……今回は本人がいるので、直接聞いてみましょう! 大淀君? ちょっと前に来てもらえるかな?」


 ……わざわざ前に呼び出されるってことは、俺に質問を答えさせる感じかな?

 俺は席を立って、七橋先生の隣まで来た。


「本来は男の子がこの授業に参加することはないのですが、クラスの男のである大淀君が参加してくれているので、実際に色々聞いてみましょう! 大淀君もクラスの子との交流と思って、質問に答えてあげて下さい。それでは、大淀君に質問がある人はいるかな?」


 七橋先生がそう宣言すると一斉にクラスで手が上がった。

 授業じゃなくて、俺の質問会になりそうだな……?


「じゃあ、貴方から!」


 七橋先生が一人の生徒を指さした。


「はい! 雪君はクラスの子から聞くと、優しい子がいいって言う子とおっぱいが大きい子がいいって言う子がいるんですが、どっちが好みなんですか? それとも両方なんですか?」


「あー……普通に友達として付き合うなら優しい子がいいって話だな」


「雪君ってまだ妻の数足りてないんですよね? 妻にする子はどういう子がいいんですか?」


「んー、まぁ、友達付き合いから仲良くなった子とって感じかな」


「雪、おっぱいの条件が抜けてるわよ」

「雪君、嘘はメッ! ですよ?」

「ユッキーはZカップがいいんだって!」


「そこまでは言ってないよ!」


「つまり、優しくてZカップの子がいいってことですか?」


「Zを真に受けるんじゃないよ! 好みとして大きい子が好きってだけだ!」


「大きいってどのくらいですか?」


「最低E以上よ」

「お姉ちゃんのG以上だよ」

「上限はないんだって!」


 俺の質問に時雨と桜と愛羅が勝手に答えていく……

 その回答にクラスの子達がそれぞれ、悲しそうにしたり、喜びを分かちあったり、その場で自分の胸を揉み始めたりしている。


「あくまで俺の好みだからな!? 好み!」


「そこは大事なとこだよ! 他にはないの? 身長だとか体型だとか!」


「身長は特に気にしないし、体型は……パッと見て太ってなければいいかな」


「つまり出るとこ出て、引っ込むところは引っ込んでる、セクシーな体型がいいってこと?」


「んー、まぁ、好みとしてはそうだな」


 俺がそう答えるとザワザワとクラスの子が話し始めた。


「雪様と添い遂げるには、セクシー体型になる必要があるんだよね? ウエスト絞ったほうがいいよねー……」

「胸を大きくするには何食べたらいいんだっけ? 牛乳とか大豆だっけ?」

「足はどうなのかしら? セクシー系ってムッチリしてたほうがいいの? 細いより、程よく肉付きがいいほうがいいわよね?」

「待って、体型は聞いたけど、首から上は聞いてないわよ! 目とか髪とか!」


 クラスの皆がそれぞれ班の子達と話し合っていたが、埒が明かないと気付き、一斉に俺の方を見た。


「雪君、足はどうかな? やっぱり肉付きがあった方が良い?」

「雪様、髪の好みは? 長さとか色とか」

「お兄様! 私、胸を大きくしたいので、揉んでもらえますか?」

「我が伴侶よ、以前の私は長く美しい銀色の髪だったが、現在の銀色の髪はどうだ? 長さは以前には及ばぬが、それなりであろう?」

「ご主人様の好みのメイドの容姿をお教え下さい。可能な限りその理想に近づけますので」

「雪、私に直して欲しいところはありまして? 一先ず胸は大きくするようにしておきますわね?」


 ……入学式の再来だな。


「み、皆さん! お静かに! 気持ちはわかりますので……そうです! 皆さん順番に、大淀さんに質問していきましょう! ついでに大淀君が許す範囲で親交を深めちゃって下さい!」


 七橋先生の宣言と共に、俺の前に一斉に列が形成された。

 そして、俺の傍には時雨、桜、愛羅がやってくる。


「雪、回答するのはいいけど……いえ、余計なこと言ったら、朝まで宇宙旅行だからね」

「他の子が雪君に近づいても、お姉ちゃんがブロ……守るから安心してね?」

「なんであーしこっち側に連れてこられたの?」


 そして、質問会が始まり、終わる頃にはお昼の時間になっていた。


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