第113話 宇宙に飛び立つのをピュアラは見ていた

 俺は見えないまま、俺のスペースシャトルを時雨が操縦して見事に飛び立ち、乗組員は時雨の口の中に着陸することになった。

 もちろん、一回飛び立っただけで、スペースシャトルが出発できなくなるということはない。

 既に出発準備は出来ている。


「わぁー! 本当に連続で飛び立てるんだね! じゃあ、お姉ちゃんも「ダメって言ってるでしょ!?」もう時雨ちゃんたら! ちょっと独占欲強すぎない?」 


「いつもは海と一緒だから独占できるチャンスなのよ」


「あのさ……とりあえず、シャワーで流してもいいか? 前が見えないから」


「あぁ、そういえばそうだったわね。ちょっと待って頂戴」


 そう言うと、時雨はシャワーを使って俺についた泡を洗い流してくれた。


「ふぅ……やっと前が見える」


「じゃあ、雪、もう一回無限の彼方へ出発するわよ?」


「それでもいいけど、風呂上がってからにしないか? 皆洗いたいだろうし、どうせなら歯も磨いてイチャイチャしたいしさ」


「それもそうね、最後にキスしてから12時間以上経ってるし、私も雪成分を補給したいわ」


「なら、さっさと体洗ってゆっくりと風呂入ろうぜ」


 俺は立ち上がり後ろを向くと、こちらを向いてニコニコして座っている桜と、顔を真赤にして立ち尽くしている愛羅がいた。

 二人とも、俺のスペースシャトルをガン見しているようだ。


「雪君の間近で見ると大きいね……!」

「……ほ、本当に飛び立っちゃった」


「そうなのか? 他をよく見たことないから知らんが、あとで桜と愛羅も触ってみるか?」


「うん!」

「う、うぇぇぇ!? あーしも!?」


「いや、無理に触る必要はないんだぞ? 気になるならって話だ。ほら、次誰が洗うんだ? 背中洗うよ」


「じゃあ、お姉ちゃんの背中洗ってもらおうかな!」

「なら私は先に髪を洗うわ」


 そう言って横で時雨がもう一つのシャワーの前に座り、髪を洗い始めた。

 俺は置いてあったスポンジを使って、桜の背中を洗っていこうとするが……


「愛羅はいつまでそうしてるんだ?」


 顔を真赤にした愛羅は呆然と立ち尽くして、こちらを見ている。


「え、っと、その、ほ、本当にあとで触るの?」


「触りたいならだぞ?」


「雪、ピュアラはそっとしときなさいよ。雪のスペースシャトルを見て興奮して、妄想してるところなのよ」

「お姉ちゃんは今後に備えて操縦するけど、ピュアラちゃんはしなくていいんですよ?」


「あっ……うぅ……」


 愛羅は顔を真っ赤にして動揺しまくっている。


「とりあえず、ピュアラも体洗おうぜ? お風呂入る為にここいるんだろ?」


「う、うん……あーしもシグシグの背中洗う」


 愛羅は極力俺のスペースシャトルを見ないようにしながら、シグシグの背中を洗い始めた。

 ピュアラという言葉に反応しないあたり、既にいっぱいいっぱいなんだろう。

 風呂場で倒れなきゃいいが……

 チラチラと様子を見ながら桜の背中を洗い終えると、桜も前を洗い終え、シャワーで流して、髪を洗い始めた。

 

「雪、出番よ」


 時雨の方を向くと背中と頭を洗い終えた時雨が、俺を迎えるように両手を広げて待っていた。

 俺は時雨に近づくといつもと同じ様に、時雨の前を洗い始める。


「え、ゆ、ユッキーがシグシグの前洗うの!?」

「あぁ! お姉ちゃんもやってもらえばよかった!」


「いつもこうしてるぞ」


「いつも!? って! シグシグも何してるの!?」


 時雨も同じ様に俺の前を手で洗い始めている。


「さっき少し雑に洗ったから洗い直してるのよ。スペースシャトルも綺麗にする必要あるから」


 俺と時雨はお互いに前を洗い合い、上から下へと進めていき、時雨は俺のスペースシャトルを丁寧に洗い始めると―――

 

「……ゆ、ユッキーのって、やっぱ大きいの?」


「少なくとも資料で見たよりは大きく感じるわね」


「そ、そうなんだ……?」


「そんなにガン見するなら触るかピュアラ?」


 俺は愛羅の方に向き直り、触れるようにするが……


「うぁっ……その……」


 愛羅は顔はまたリンゴのように真赤になった。

 それでも、見はするみたいだが。


「もう、雪、ピュアラに余計なこと言わないで頂戴。ただでさえピュアピュアで妄想してる真っ最中なんだから」


「別に妄想とかしてないし! あとピュアラって言うな!」


「面倒くさいわね。なら雪のスペースシャトル磨いてみなさいよ? 特別に許可してあげるわ」


「なら、お姉ちゃんも参加する!」


「うぇぇぇ!?」


「まぁ、裸で入ることすらできないピュアラには無理でしょうけど、桜も特別よ? 特別」


 時雨はそれだけ言うとまた、俺のスペースシャトルを磨き始めようとしたが―――


「うぅぅぅ……うがぁぁぁぁぁぁ! あーしだって出来るしぃぃぃぃ!」


 愛羅叫んで気合をいれるとそのまま俺に近づき、スペースシャトルを鷲掴みにした。


「ぐあっ!」

「ちょっと愛羅! 雪の大事なスペースシャトルなのよ! 優しく握りなさいな」

「愛羅ちゃん! メッ!」


「……な、生だとこんな感じなんだ。温かい……」


「うんうん、お姉ちゃんは冬場寒かったらこれで温まるね?」


 どこか感動した面持ちの愛羅は力を緩め、桜も俺のスペースシャトルをじっくり触っている。


「ど、どうやったらいいの、シグシグ?」


「もう……いい? まずは―――」


 ここでまさかの時雨のスペースシャトル清掃講習が開かれ、愛羅は一つ大人になった。


★********★

新しく入った会社、お盆休みなかった……

でも、毎日更新するとなんか貰えるらしいから、もう一つと更新が被らないようにして、できるだけ更新頻度あげていきたい今日この頃。


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