第111話 黄金のスープ作り……?
クラスのみんな集まったので、七橋先生が号令を掛けた。
「それでは、今から各班で晩御飯を作って頂きます。お題はカレーです。材料はこちらから、各班必要な分だけ取って調理を初めて下さい。わからないところは先生が指導します」
クラスの子達が材料が置かれている場所に集まりだした。
食材は時雨と愛羅が取りに行っているので、俺と桜は道具を洗うところから始めたが、使う道具を洗っていると時雨と愛羅が困った顔をして手ぶらで戻ってきた。
「あれ、食材はどうしたんだ?」
「私達の分はあそこに置いてないらしいわ」
「あーしらの分は別にあるって」
「? そうなのか、どこに取りに行ったらいいんだ?」
「管理人が持ってくるって話だけど……」
時雨が困った顔をしながら辺りを見渡すと、本館の方から管理人さんと知らない女性3人が荷台を引いてやってきた。
荷台を近くに止めると知らない女性の一人が俺たちの方に近づき、俺たち四人を見渡しながら―――
「こちらが大淀様の班で間違いございませんか?」
「はい、私が大淀です」
「おぉ! 男性の方が返答して下さるとは! 私は
……いや、誰だよ!?
「誰?」
「あーしも知らない」
時雨と愛羅も知らないようだ。
「理事長のことですよ」
わからない俺達に、桜が教えてくれたが……理事長かよ……!
「左様でございます。お館様より、大淀様に手料理を振る舞ってやって欲しいと頼まれて、こちらにお伺いさせて頂きました。唐突ではございますが、私めに料理の腕を振るわせては頂けませんでしょうか?」
「……もしかして、引っ張ってきた荷台に乗ってるのが食材ですか?」
「えぇ、そうです。機材もあり、管理人の方に手伝って頂きました」
俺はチラリと荷台を見ると、そこには豪華な食材が乗っていた。
パッと見るだけでも、サシが入った高そうな牛肉の塊に、新鮮な野菜……まではギリギリ分かる。だが、存在感のアピールが凄い物に俺はツッコミを入れざるおえなかった。
「……それってマグロですか?」
そう、荷台にはマグロが乗っている……ここ近くに海とかないよね?
バスで海の景色とか一回も見なかったし……
周りのクラスメイトも荷台の方を見て、ざわざわ騒いでいる。
「そうです! 今日漁港で揚がった物を購入しました。もちろん鮮度が落ちないように処理をしておりますので、ご安心ください」
「それを調理して皆に振る舞うと……?」
「大淀様の為にです」
スゥゥゥゥゥゥゥ――――
「作戦たあああああああああいむ!!」
俺は時雨と桜と愛羅を呼び寄せ、少しその場から離れた。
「雪、どうするのあれ?」
「あれは理事長なりのアピールなのでしょうか……? 雪君は食べたいですか?」
「ユッキー! あーし、大トロ食べたい! ちょーおいしいんだよあれ!? もう口の中でとろけて、やばたにえんだよ!」
「頭が痛くなってきたんだが……」
理事長のアピールがすごい……さて、これはどうしたものか……
食べたいか食べたくないかで言えば食べたいが……
せっかくこういう場なのだから、ちゃんと料理をして、みんなと食べたいんだよなぁ……
「どうするのが正解だと思う?」
「ロッジまで準備してもらってるのに、今更じゃないかしら?」
「受け取ってもいいと思うけど……雪君の料理を食べられないのはお姉ちゃん寂しいな?」
「ユッキー! 受け取るべきだよ! あのお肉も絶対いいやつだって!」
なるほど……受け取らないって選択肢はなさそうだな……
俺はシェフのところに戻り―――
「お言葉に甘えさせて頂きたいのですが、私も料理をしたいので、クラスの皆にも貴方の作る料理を分けてよろしいでしょうか?」
「! お優しいのですね。他の男性とは違い、御屋形様が貴方に目をかけるのがわかりました。ご要望通り、皆さんが食べれるように調理致しましょう!」
コック長のその言葉でクラスの子たちもイェーイ! と声が聞こえてきた。
コック長たちは機材の準備を始めたので、俺達も料理の準備に戻った。
「さて、俺達も料理するか。俺と桜で野菜切ってるから、時雨は俺達のフォローをしつつ、愛羅のお米担当を見てあげてくれないか?」
「わかったわ」
「お姉ちゃん頑張るよー!」
「りょ!」
そこからは黙々と調理を行い、グツグツとカレーを煮込んでいるが………
暇な間は皆、マグロの解体ショーに釘付けだった。
生で見ると迫力がすごいな……
そして、それぞれの班が調理を終えると、近くにあったテーブルに移動して―――
「「「いただきます!」」」
クラスの皆がそれぞれ食事の挨拶をすると、皆ワイワイ騒ぎながら食べていたが―――
「準備が整いました。皆様、どうぞ取りに来てください」
コック長が合図を出すと、クラスの皆が我先にと並び始めた。
俺も取りに行こうとしたが、俺のところにはコック長が持ってきてくれた。
「どうぞ、雪様。お召し上がりください」
テーブルにはコック長自慢の寿司やマグロ料理、牛肉のステーキなども持ってこらて、一気に豪華になった。
カレーとは合わなそうだけど……!
いや、マグロとステーキの時点で違う気がするんだがな?
俺の好みがわからないから色々準備したのだろう。
俺はお礼を言って分厚いネタの寿司を口に運んだ。
「! う、うっま! 口の中でとろけたぞ」
「ご満足頂けたようで何よりです」
コック長はニッコリと俺に微笑み、調理に戻っていった。
クラスの皆もそれぞれ喜びの声を上げ、大満足の晩御飯となった。
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