第106話 バスでの移動
俺達はクラスで移動して、校門近くに停車されているバスまでやってきた。
皆、各々が好きな場所に座って行くので、並んで座れる場所というと、一番後ろだと思っていたが……
「あー、先に座られたっぽいな」
「そうね、ならここに座るわよ」
時雨は空いている席に俺を座らせようと引っ張るが……
「雪君ここに座ろうね?」
反対側を桜が掴んでそれを許さない。
「ちょっと桜、私が雪と座るのよ」
「いつも一緒なんだから、たまにはお姉ちゃんに譲ってくれても良いんじゃないかな?」
「……なら、通路の真ん中に俺が座るから、それでいいだろ?」
「しょうがないわね、それで手を打ってあげるわ」
「雪君、疲れたらお姉ちゃんの方に倒れてきていいからね?」
とりあえず、他の人がバスに乗り込むのを待ち、全員が乗り込んだ段階で、俺は通路の真ん中の収納された椅子を出して、そこに座った。
「それで? 目的地までどのくらい時間掛かるんだ?」
「2時間半って聞いてるよ」
俺の問いかけに桜が答えてくれた。
2時間半か……本当だったら窓際の席に座って外を眺めながらボーっと寝てしまいたいんだが……この席だといろんな意味で無理そうだ。
既に何人か俺に話しかけているので捌いていこうと思う。
1人目―――
「雪君その席辛くない? こっちに来て一緒にお話しない?」
「まだ大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。そっちには……うん、ダメみたいです」
俺の横で時雨が腕でバッテンを作っている。
2人目―――
「雪様、お菓子などはいかがですか? このチョコレートは美味しいですよ? はい、あーん?」
「あーん……うん! 美味いな! どれお返しに俺も「雪君? こっちのチョコレート食べようね? はい、あーん」……モグモグ……うん、うまいな!」
「ちょっと神藤さん! 雪様と私の会話を邪魔しないで!」
「私はお姉ちゃんですから、雪君を管理する義務があるので」
「姉じゃないんだよなぁ……」
3人目―――
「お兄様! 今日は夜お兄様と一緒に寝てもいいですか?」
「おう、いいz「「ダメ!」」……ダメらしいです」
「せめて、夜にお会いしに行ってもよろしいですか?」
「おう、いいz「「却下!」」……厳しくない?」
「一匹侵入を許したら、瞬く間に増えるでしょ」
「雪君? 油断は禁物だよ?」
虫みたいな扱いだな……
4人目―――
「我が魂の伴侶よ! 今宵の血の宴の準備は出来ているか? 我も供物を持ってきているがゆえ、楽しみにしておくのだぞ?」
「おぉ! 我が魂の
「! 素晴らしい! さすがは我が伴侶! 今日はこちらの部屋で血の宴を開催しないか? 少々供物が多くてな」
「うむ、ならば仕方ない、我がそちらに「雪、こっちで宴してあげるからダメよ」「雪君、こっちにもお菓子や飲み物もあるから、いけませんよ?」……スマヌ、
5人目―――
「御主人様、今日は夜冷えるとのことですので、添い寝などいかがですか? 御主人様がお喜びになりそうな下着も持ってきておりますので、お伺いしてもよろしいでしょうか?」
「ぜひ、よろしくたの「「ダメ!」」」
「ちゃんと雪用の下着持ってきてるから安心しなさいな」
「お姉ちゃんも雪君好みの下着買ったからちゃんと見てね?」
「……せめて、メイドさんを部屋に「「却下!」」」
「あっ! ユッキー! この間約束したからメイドさん衣装持ってきたよ!」
「良くやったわ愛羅!」
「さすがですね! 愛羅ちゃん!」
「私のアイデンティティがぁぁぁぁ!?」
6人目―――
「雪、夜は数時間外で星空を見ますわよ? ちゃんと厚着出来るように準備してきたかしら? なかったら、
「持ってきてないから一緒の毛布に「私が下着姿で包んであげるから無しよ」……ならいいか!」
「あら?
「ほう? なら「雪」……なんだ?」
「昨日夜、図ったのよ」
「? 何を?」
「ブラのサイズが小さく感じたから」
「!?」
「以前の海のブラがちょうど今のサイズに合ったわ。この意味わかるかしら?」
「……ま、まさか!?」
「Eカップになったわ。雪は私を抱きしめながらEカップを好きにしたくないかしら? それにもっと大きくしたくない?」
「……勝者! 時雨!」
「ちょっと坂間さん! 雪との逢引を邪魔しないで下さいまし!」
「むしろそっちが邪魔してるんでしょ? 私の雪に唾をつけないで頂戴な」
「雪君、雪君、お姉ちゃんのGカップも好きなようにする?」
「……勝者! 桜!!」
「「ちょっと雪!?」」
……と言った具合に相手していたら、なんだかんだ時間が過ぎた。
少ししゃべり疲れたので、仮眠でもしたいところだが、バス目的地に着いたのか止まった。
周りを見渡すが、見えるのは木しかないんだが……?
えっ? もしかして、ここで降りるのか?
★********★
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