第102話 相談は呑みの場で決まる

 

 母さんたちが酒で盛り上がる中、俺と時雨は料理に専念。

 と言っても、ピザとか他にもおつまみがあるから、簡単な野菜系メインのつまみだ。

 料理は出来るが、つまみ用の料理なんて普段作らないので、時雨と携帯でレシピを調べながら相談して作っている。

 はは、こういうのも夫婦みたいで良いもんだな!

 時雨は際どいスカートの胸元が空いたメイド服を着ているから、そんな感じはしないけど。

 数品料理を作って、俺と時雨はリビングのテーブルに向かうと、母さんは泣いていた。


「うぅぅぅぅぅ……凪さんはずっと……ずっと……つらい思いしていたのね」

「凪さん! ここでこうやって会えたのは運命よ! 今日は楽しみましょう!」


 母さんは泣きながら、干菜さんは笑顔で凪さんを迎え入れてくれている。


「ふふ、ありがとうございます。また海と再会できただけでも嬉しいのに……こうやって、温かく迎え入れてくれるとは思いませんでした」


「普通男の子の家に実母を招き入れるなんて聞かないものねぇ」


 干菜さんは苦笑いしながらそう返答した。


「えぇ、雪さんには本当に感謝しています」

「ふふ、雪君は素敵よね。他の子と違って、ちゃんとお話できるし、優しいし……少し前に抱きしめて貰えたけど、幸せを感じちゃったもの。あれを毎日してもらってる時雨が羨ましいわ」

「そうですよね。私も今日雪さんに抱いてもらいましたけど……まさか、あそこまですごいとは……」


「「「……ん?」」」


 母さんと干菜さんと時雨は凪さんを見ながら固まった。


「だ、抱く? 抱きしめてもらったってことよね?」

「おほほほ、まさか、そんな、言い間違えただけでしょ」


「…………ゆ、雪? 親子丼美味しかった?」


 母さんと干菜さんは聞き間違えだろうとお酒を飲みながら流そうとしたが、時雨は頬を引くつかせながら、俺に訊ねてきた。


「あー、美味しかったぞ」


「「ブフゥゥゥゥゥゥ」」


 母さんと干菜さんは酒を吹いた。


「ゴホッゴホッゴホッ」

「ゴホッゴホッ、ゆ、ゴホッ、雪君?」


 母さんはむせて、干菜さんはむせながら俺を呼んできた。


「だ、大丈夫? タオル取ってくるよ」

「ゴホッゴホッ、そ、それよりも、本当なの? 海ちゃんと凪さんで?」

「えぇ、まぁ……流れで」

「い、嫌だとかは思わなかったの?」

「そういうのは特になかったかな。さすがにびっくりはしたけど、凪さん美人だし、いいかなって」


 干菜さんは俺の返答に目を丸くしたかと思うと直ぐ様、時雨の方を向いた。


「……時雨! お願い!」

「は、はぁぁぁ!? 嫌よ! 無理よ無理!」

「時雨だけが頼りなのよ! 私もそれ着るから!」

「年考えなさいな!」

「母親に向かって年の話をするな! 愛想だけじゃなくて、口も悪いわね!」

「あら、私には雪っていう素敵な恋人がいるのよ? 愛想が無くても問題ないわ」

「ずるいずるいずるい! たまには親孝行しなさいよ!」

「親孝行の域越えてるでしょう!?」


 干菜さんが時雨にしがみつき、時雨がそれを引き剥がそうと争いが始まった。

 俺は干菜さんも構わないんだが……まぁ、一旦置いておくとしよう。料理食べたいし。

 俺は持ってきた料理をテーブルに置いて、空いているお誕生日席に座り、料理を食べ始める。

 うん、ピザって最高だな! あとで、タバスコを……タバスコあったか? 見かけたことないから無さそうだし、このまま食べ――ようとしたところで、母さんが……

 

「ゆ、雪、これだけは言っておくわね。さすがに五十とか六十の人と結婚とかそういう行為をするのはやめて頂戴ね? 私のお母さんと同じ年代とか流石に、どう反応したらいいかわからないわよ?」


「しないよ! 母さんまで何言ってんの!? 凪さんは美人だからOKなだけだよ」


「あとおっぱいもでしょ」


 海は俺と時雨が作った料理をつっつきながらツッコミを入れてきた。


「否定はしないがな」


「ふふふ、雪さん、いつでも甘えていいからね?」


 凪さんは微笑みながら、俺を誘惑してくる。


「はは、わか「お兄ちゃん! 甘えるなら私!」ハイハイ」


「もう海ったら、甘えるくらい、いいじゃない」


「このままママが家に住むと、お兄ちゃんがママに甘えっぱなしになりそうなんだもん」


「家に住む?」


 母さんに相談するタイミングを見計らってたら、海が言っちゃったよ。


「あー……母さん、相談なんだけど、凪さんを家に住まわせてあげること出来ないかな?」


「雪がいいなら、私もいいわよ」


「いいの!?」


「えぇ、流石に諸々の費用なんかは一緒に出してもらうけど……雪のことだから、海と凪さんを助けたいんでしょ?」


「あぁ」


「ふふ、優しい子ね。こんな優しい子の母親で私は幸せよ。帰ったら息子がご飯作ったり、お風呂沸かしたりで、色々楽出来てるもの。その変わり、海ちゃんや時雨ちゃんと会話する機会が減って寂しいし、凪さんに穴埋めしてもらうわ! よろしくね、凪さん!」


「……! はい! よろしくお願いします!」


「そうと決まれば宴よ! かんぱーい!」

「ふふ、かんぱーい!」


 母さんと凪さんはグラスを合わせてまた乾杯している。

 とりあえず、相談は無事に終わって肩の荷が下りたよ。


★********★

48話書いてる時から、どこかで海ママを救いたいと考えてました。

別にまだあとの方でもいいんですけど、その場の勢いで書いてるんで、書かずにはいられなかった!


お待たせしました! 70万PVのアンケート結果を公開したのでよかったら『記念とかイベントSSとか気まぐれ話』の欄にあるのでご確認ください!


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