第99話 なるほど……かまわぬ!!

 

 俺たちは満足するまで回転寿司を食べて、お店を出た。


「久しぶりに食べたけど、やっぱ寿司っていいなぁ」


「ね! また来ようね!」


「おう、今度はみんなで来たいな」


「あの……ご馳走様でした」


「気にしなくていいですよ。それより、家に行きましょうか。どうなるかはわかりませんが、家の場所知っておいた方が、海に会いやすいでしょうし、家の親と顔を合わせておいたら、来やすくなるでしょ?」


「え、えぇ、そうね。なら、お言葉に甘えさせて貰うわね」


「早く行こう! 行こう!」


 海は俺と凪さんの手を取り、歩き始めた。

 そのまま、大型ショッピングモールを出て、家に向かって歩きはじめる。


「凪さんは最近あのお店に入ったんですか?」


「えぇ、少し前に近くの安いアパートに引っ越してきてね。そこから歩いて出社できて、給料がいい場所を探してたんだけど、あそこの店長さんに拾ってもらえて、今月から働き始めたの」


「そうだったんですね。道理で、先月来た時は居なかった訳だ」


「あのお店にはよく来るの?」


「いえ、多分先月が初めて……だよな? 海」


「そうだよ! お兄ちゃんが運動着買いたいって言うから、お店探したんだから」


「そう……本当に偶然だったのね」


「みたいですね」


 まさに運命……いや、もしかして、女神様が何かしたのかな?

 普通なら、運命で片付けそうだけど、俺の場合、女神様と面識があるからなぁ。

 今度行った時に聞いてみよう。


「それで、海。いつ雪さんとの子供作るの?」


 ……凪さん?


「さすがに、私が高校卒業するまではなーって思ってるよ」


「そうなの? でも、やることやってるんでしょ? 子供欲しくならない?」


「なる! なるけど、お兄ちゃんが奥さん全員と一緒の家で過ごしたいって言うから、せめて大学に入ってからかなって思ってるよ。高校在学中に妊娠したら、大変だろうし」


「ぜ、全員と住むの?」


「うん。だから大きな家が必要になるだろうから、いいところに就職しないと!」


「ふふ、私と違って海はちゃんと考えてるのね」


「え? ママって高校で妊娠してたの?」


「そうよ。タイミングが悪くてね、大学受験出来なかったから、高校卒業してから働くことになったのよ」


 高校で妊娠……? えっ?


「あのー……失礼ですが、凪さんって何歳なんですか?」


「今年で33よ」


「ど、道理でお若いわけですね……」


「33よ? こんな年齢だと、もう見向きもされないわよ」


「そうなんですか? 凪さんほど綺麗なら、まだまだいけると思いますけどね」


「ふふ、雪さんはお世辞が上手ね?」


「お世辞じゃありませんよ」


「お兄ちゃんさぁ……さすがにママを妻にするのはやめてね? 母子で妻とか漫画の中でしか聞いたことないよ?」


「さすがに妻にするとは言わないぞ?」


「あら、私に魅力がないってこと? さっきは綺麗って言ってくれたのに」


「い、いや、それとこれとは話が「もう、お兄ちゃん! ママに誘惑されないでよ!」……俺が悪いのか?」


「ふふふ、雪さんはとても素敵ね。他の女の子がほっとかないんじゃないかしら」


「お兄ちゃん、誰彼構わず、愛想振り撒くから大変なんだよ! このままだと100人以上と結婚しそうなんだから!」


「しないよ!」


「そうよねぇ。100人以上が一緒に住む家とか聞いたことないもの。100人乗っても大丈夫な倉庫ならCMで聞いたことはあるけど……100人ってなるとお城とかになるのかしら?」


「お兄ちゃん、王様になりたい訳じゃないよね? 王様になるのはベッドの上でだけでいいからね?」


「王様なんて柄じゃないよ! というか、100人と結婚することはないから、安心してくれ!」


「そうなると、妻にする人を選ぶのも大変なんじゃない?」


「んー、選ぶっていうのも、なんか偉そうで嫌なんですよね。基本的には流れに任せてって感じにしようかなとは思いますけど」


「そうなの? でも、この感じだと夜は楽しみたいでしょ?」


「……楽しみたいとは思いますが、猿のようになるのも違うかなって」


「色んな子と楽しみたいとは思わないの?」


「それは思いますけどね」


「なるほどね。雪さん的には、楽しむだけなら私もOKなの?」


「全然いけますよ」


「お兄ちゃんさぁ……おっぱい大きければ誰でもいいんじゃないの? やっぱ揺り籠から墓場までじゃん」


「違うよ! 凪さんレベルなら相手してもらいたいって思うだけだよ!」


「海、これは貴方の所為よ?」


「えっ? わ、私?」


「海、自分が楽しむことだけしか考えてないんじゃない?」


「そ、そんなこと……!」


「そう? 本当に雪さんは海で満足してるのかしら?」


「え……?」


「色んな子と楽しみたいってことは、雪さんは海で満足してないのよ」


「え、いや、そういう訳じゃ「雪さんは黙ってて」……はい」


「いい海? 第一夫人になるってことは他の妻を管理すると同時に、一番に夫のことを理解し、満足させてあげる必要があるのよ?」


「それは……わかってるけど……」


「このままだと、雪さん他の子と楽しんで、その子が第一夫人になっちゃうわよ?」


「それは嫌!」


「だったら、お勉強しなくちゃいけないわね? このあとホテルに行く予定だったんでしょ? そこで色々教えてあげるわ」


 ……誰が? ……何を?


「……うん! お願い!」


 そのまま俺の両脇は海と凪さんに挟まれた。


「さぁ、雪さん。娘に色々仕込みますので、ぜひ楽しんでください」

「お兄ちゃん、私頑張るから!」


 ……なるほどなるほど。

 このあとは漫画みたいな展開になるんですね? 

 かまわぬ!!

 

「なら、凪さんの腕前、試させてもらいますよ」


 こちとら女神様と散々やったんだ。

 負ける気はしねぇなぁ!

 そんな決意をすると凪さんは俺の腕を抱きしめながら、俺の耳元によってきて……

 

「若い体ではありませんが、必ずご満足頂けるように、ご奉仕させてもらいますね。 これでも実技は得意なんですよ?」


 そのまま俺は二人に挟まれ、昼からホテルへと向かうのだった。


★********★

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