第97話 再会


 さて、こういう時どうしたもんだろうか……?

 とりあえず、挨拶はしといた方がいいよな?


「えっとー「海!」「ママ!」」


 二人はお互い抱き合い、再会の喜びを噛みしめている。

 ……ここは様子を見るとしよう。

 二人が泣きじゃくりながら抱きしめ合っているのを、俺は黙って眺めていた。

 ―――そして、数分程時間が経ってから、海ママは海に話しかけた。


「海、大きくなったね?」


「ぐすっ……うん……うん!」


「向こうの家では、男の子の母親や男の子と仲良くできてる?」


「うん! ……私、第一夫人になったよ!」


「そうなの! よかったわね、海!」


「うん! お兄ちゃんすっごく優しくて……大好きなんだ!」


「え、えぇ? 優しい? 大人しい子なのかしら?」


「どっちかって言うと、大人しくして欲しいんだけど……」


 そう言うと海は俺をジト目で見てきた。


「いつも大人しいつもりなんだがなぁ?」


「時雨姉から聞く限りだと、そうとは思えないんだけど?」


「何か変なことしたか?」


「クラスの子全員と朝ハグするとか、普通ありえないから」


「やってって言われるんだから、してるだけだぞ? 桜なんかとは最近はおはようのキスもしてるぞ?」


「はっ? 何それ、聞いてないんだけど? 何で雌猫桜とキスしてるのさ? 雌猫桜も妻にするつもりなの?」


「もう少し仲良くなってからかなとは思ってるぞ」


「はぁー……お兄ちゃん帰ったら、建築出来なくなるまで、無限爆破するからね」


「それはちょっと……というか、その前にホテル行くんだろ?」


「そうだった! じゃあホテルのお風呂が白いので一杯になるまでね?」


「一生かけても無理だと思うわ」


「絶倫の民は一週間で出来てたよ?」


「……どこから突っ込むべきかわからんが、俺は絶倫の民じゃないぞ」


「う、海? もしかして、この人が?」


 ……また忘れてたわ。


「うん! 私のお兄ちゃん! 私がお兄ちゃんの第一夫人なの!」


「あー、初めまして、海の兄に……なった? でいいのか? まぁ、兄の大淀雪です。海にはいつも大変お世話になってます」


 俺は日頃の感謝の気持ちをちゃんと伝えるために、キチンと言葉にして、頭を下げて海ママに挨拶をした。

 ……あれ? 反応がない。


「――――――」


 海ママを見ると口を開けてポカンとした表情で俺のことを見ていた。


「うん、ママの気持ちはわかるけど、これがお兄ちゃんだから……」


 ……にしても、よくよく見ると顔は海にそっくりだな。

 髪型まで合わせたら、大きくなった海と言われても納得できるぞ。

 海の可愛らしさが無くなって、美人極振りした感じだな。

 さて、本当はこのまま海ママを連れ出して、海と色々話をさせてあげたいんだが……仕事中だもんなぁ……

 男パワーでなんとか出来ないだろうか?


「あら、水天すいてんさん、どうしました?」


 水天? もしかして、海ママの名前? 名字か?


「す、すみません、店長。ちょっと娘と再会できたもので……」


「えぇ!? あっ、もしかして、その子が水天さんが言ってた娘さん?」


「はい、そうです。海と言います」


「まぁまぁ! ということはこっちの男の子が……」


「初めまして、海の兄の大淀雪です」


「! まぁ! 礼儀正しい子ね!」


「はは、どうも」


 普通に挨拶しただけで礼儀正しいって……もはや乾いた笑いしか出ないわ。


「水天さん! 今日はもう上がっちゃいなさい! 場合によっては明日も休んでいいから!」


「え、えぇ? ですが、まだ入ったばっかりですし……」


「いいのよ! 貴方の話は聞いてるし、この機会を逃すと次いつ会えるかわからないでしょ!? いいから海ちゃんと一緒に過ごしてあげなさい! 大淀君も言いわよね!?」


「もちろんですよ。店長さんから申し出て頂けて、大変有り難いです。お気遣い頂き、ありがとうございます」


「まぁー! 本当にいい子ね! またお店にいらっしゃい? 次はサービスしてあげるから!」


「えぇ、海ママも居ますから、必ずまた来ますよ」


 店長さんが海ママに気遣ってくれたお陰で、海ママと話す時間が出来たな。

 海ママは控室に向かいレジ近くで待っていると私服に着替えた海ママがやってきた。

 うん、さすが海ママ、胸も海クラスだな。大変素晴らしい。


「お待たせしました」


「ママ! お昼食べた?」


「うんん、まだよ」


「じゃあお昼食べに行こ! いいよね? お兄ちゃん」


「おう、もちろんだ」


「ちょ、ちょっと海、男の子にそんな……」


「お兄ちゃんは大丈夫だよ!」


「海ママ……えっとー、水天さん? そんな気にしなくて大丈夫ですよ。海は大切な恋人ですから」


「こい……びと……?」


「あとで、話してあげるから! 早く行こう! お兄ちゃんがお金出すから!」


「えぇ、この間宝くじ当たったんで、俺が出しますよ。美味しいもの食べに行きましょう」


「お兄ちゃん、私お寿司が良い!」


「さすがに回転するところな?」


「さすがに、そこまでお願いしないよ!」


「ほんとでござるか〜? この間、梓さんに高級焼肉奢らせようとしてたでござるよ〜?」


「あれは、発情した雌犬がお兄ちゃんにベタベタするからだよ。というか何そのござるは」


「んじゃ、一階の食事エリアに回転寿司あるからそこ行くか。水天さんもそれでいいですか?」


「……え、えぇ、それと水天は名字なので、なぎと呼んで下さい」


「水天は名字でしたか。では行きましょうか、凪さん」


 水天凪すいてんなぎ、それが海ママの名前か。


★********★

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