第96話 マ、ママ!?②



「まぁ、生徒会に入る人って大体が内申点狙いですからね。雪が入るメリットは基本ありませんが……紗理奈は色々と考えてますわよ?」


「へぇー? どんなことを?」


「生徒会全員でメイドになって、御主人様呼びでお出迎えするとか。雪はメイドが欲しいのかしら? そんな感じの話しがあったって言ってましたわよ?」


「お兄ちゃん? お家で私と時雨姉がメイドになってあげるからダメだよ?」


「あとは、生徒会室にベッドを置いて、シャワーを設置して、いつでも休憩できるスペースにする話もあるって言ってましたわ。生徒会の面々でお相手すると」


「お兄ちゃん? 休憩するならせめて保健室で休憩してね? 友梨佳先生に伝えておくから」


「あとは……あぁ、雪は姉と妹どっちが好きなのかも悩んでましたわね。どっちの方が雪の心が揺さぶられるか生徒会の子と話してましたわ」


「お兄ちゃんは妹だよね?」


「みんなでバニーになって、カウンターでおしゃべりしながら、お酒を提供する話なんかもありましたが……さすがに止めましたわよ」


「お兄ちゃん、バニーも私と時雨姉でしてあげるからダメだよ?」


 ……俺を何だと思ってるんですかねぇ?

 だが、バニーはありだな……あとで海に相談してみよう。


「……どれも魅力的な提案だとは思うけど……時雨や海とも話す必要がありまして」


「あぁ、紗理奈から聞きましたが、時雨という方は恋人らしいですわね?」


「えぇ、海も恋人ですよ」


「……二人とも恋人なんですの?」


「えぇ、二人とも妻にするつもりですから」


「うふふふふふふ、そうですか。雪はとても愉快な方ですのね?」


「愉快ですか?」


「えぇ、そんなお伽噺のようなことを地で行くんですもの。私も雪のことを気に入りましたわ。他の殿方と違ってとっても素敵ですわよ」


「はは、ありがとう」


「学校で何かあったら『久遠』の名を出しなさい。それで助けて差しあげますわ」


「? 紫乃はそんな権力を持ってるのか?」


「去年はもっと効果がありましたが……今年からはちょっと難しいですわね。それでも、一部の人以外には効力ありますわよ」


「……そうか、何かあったら、連絡するよ」


「えぇ、なら、連絡先も交換しましょうか?」


「あぁ」


「ちょっとお兄ちゃん! 何連絡先まで交換しようとしてるのさ!」


「えぇ? 別にいいだろ? 連絡先ぐらい? 高校に入ったら交友関係も緩くするんだろ?」


「そうだけど……そうなんだけどさ……」


「ふふふ、海ちゃんは嫉妬深いんですのね?」


「……お兄ちゃんの恋人になってから、何故かお兄ちゃんが他の女と仲良くしているのを見るとイライラして……」


「ふふふ、雪だけでなく、貴方も御伽噺のような状態ですのね? 恋とはそんなものらしいですわよ? 私も経験はありませんが、読んだ小説だとそんな感じでしたわね」


「ほら、海、あとでちゃんとかまってあげるから、我慢だぞ。我慢」


「……あとでいっぱいかまってもらうから」


 そう言うと、海は渋々引き下がってくれたので、俺は紫乃と連絡先を交換した。


「ふふふ、これで自慢出来ますわね!」


「自慢? 誰に?」


「紗理奈にですわよ。最近あの子、貴方にご執心のようですから。多分近い内に連絡先を聞いてきますわよ」


「まぁ、紗理奈先輩になら教えても問題ないですね」


「ふふふ、それではそろそろお暇させて頂きますわ。今日は本当にありがとう、雪」


「気にしないでくれ。たまたま見かけたらから助けただけだ。音子ちゃんもバイバイ?」


「うん! ありがとう、お兄ちゃん! ママ帰ろう?」


「だからママじゃありませんわ!?」


 そう言って、紫乃は音子の手を引いて帰っていった。


「まぁ、なんだかんだ、無事に見つかってよかったよ」


「そうだねぇ。じゃあ買い物続けようか」


「あぁ、服を買いに行こうか」


「私のも見ていい?」


「おう、何か買ってやるよ」


「やったー!」


 俺は海と一緒に以前買い物をした男性向けの服が売っているお店に向かう。

 そして、お店にたどり着き、男性向けの服コーナーへ向かう。

 今日は……店内には男はいないようだ。

 ただ、女性が男性向けの服を物色しているので、奥さんとか母親なのだろう。


「それで? 何買うの?」


「予備のジャージが欲しいかな、寝る時にも使えるし。あとは……適当に着る服とズボンを買うくらいか?」


「サイズは私が時雨姉に聞いてるから、とりあえず見てみようか?」


「そうだな」


 俺は海と相談しながらジャージ、シャツ、ズボンを数点選び、レジへと足を運ぶ。


「お兄ちゃん、次は私の服ね! お兄ちゃん用の服もいいけど、私が普段着る服見るからね?」


「わかってるよ! 海の好きなの選びな」


 そして、レジの場所に行き、店員に商品を差し出した。


「いらっしゃいませ。お会計を―――えっ!?」


「?」


 店員が海の方を見て固まっている。

 海は……海も店員を見て、同じように固まっている。


「マ……ママ?」


「海……海!」


「……えっ? えっ? えっ?」


 この店員さんが……海の……ママ!?


★********★

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