第92話 勉強って難しいね……

 あの恐怖の出来事から数日普通の学校生活を過ごしていた。

 通常の授業も始まり、なんとかついて行こうとするが……

 授業内容が難しい……

 一度やったこととは言え、何年もやっていないと覚えていないからまったく理解できん。

 授業が終わり五分休みになったタイミングで俺は天井を見上げた。


「うばぁーーー……」


「どうしたのよ、雪」


 隣から時雨がやってきた。


「授業がまったくわからん……」


「ユッキーまともに授業受けるんだね?」

「雪君偉いね!」


 俺が絶望しているところに、愛羅と桜もやってきた。


「この高校の授業ってこんな難しいんだな……」


「まぁ、仮にも偏差値が高い高校だから」


 そうだよな……俺大学行ったけど、大していいところって訳でもないし……高校の頃もそこまで偏差値高くない高校で真ん中位だったからな……


「三人ともちゃんと理解できてるんだな」


「努力した結果よ」

「お姉ちゃんも家ではちゃんとお勉強してるんですよ?」

「あーしは見たら覚えるから!」


 一人ずるいやつがいるなぁ?


「見たら覚えるってなんだよ。頭良すぎだろこのハイスペギャル」


「にしし! まぁ、完璧に覚えるわけじゃないけどね! ちゃんとテスト前とかは勉強してるよ?」


「テスト前だけか……そういや時雨っていつ勉強してんだ?」


「最近は雪のお守りであんまりしてないけど、以前はずっと勉強してたから。成績が落ちたら雪の所為よ?」


「俺の所為かよ……なら、俺のこと放っといて勉強したらいいだろ?」


「嫌よ。雪の傍から離れたくないし、離れたら何しでかすかわからないじゃない」


「どうしたらいいんだよ……」


「私の成績が心配なら私が勉強してる時、傍に居て頂戴な。そしたら勉強で疲れた時に雪に甘えられて、一石二鳥よ」


「なら、俺の部屋で勉強したらいいだろ? 俺はホラー映画見てるから」


「今日は朝までコースを希望ね? あとで友梨佳先生から例の物を貰ってくるわ。海に雪が世界の高層ビルすべて爆発するまで帰れま千回コースを希望してるって伝えておくわね?」


「なんだその頭悪いコースは! よくわからんが恐怖を感じるわ!」


「なら、静かに傍に居て頂戴。胸を好きに揉んでいいから」


「それ邪魔になるだろ……海とベッドでイチャイチャしとくわ」


「へぇー? 第一次爆発大戦をベッドでご所望みたいね? それとも被害を考えて、お風呂がいいかしら?」


「嘘だよ! 嘘! そうなったら海も勉強してるだろうし……そういや、海はどうなんだ? 海もこの学校入れる位には頭良いのか?」


「海は学年首席よ?」


「……あれで? たまに頭おかしい発言してるのにか? この間なんかケーキを口移しで食べさせるのがイリュージョンとか言ってたぞ?」


「頭おかしい発言するようになったのは雪の所為よ。雪が頭打つまではずっと能面の様な顔して過ごしてたのに、変わっちゃったのよ。あの子も最近はずっと雪の傍にいるから勉強してないんじゃないかしら?」


「まじかよ……なら、今日は部屋で静かに過ごすから、存分に勉強してくれ」


「軽くでいいわよ、軽くで。テスト前はそうしてもらいたいけど、普段までそんなことしてたら、雪との触れ合いの時間が減っちゃうじゃない。勉強も大事だけど、雪との時間の方が大切よ」


「そっか。じゃあ勉強する時は言ってくれ。部屋で静かに過ごすから」


「そうして頂戴」


「んで、桜は家ではずっと勉強してるのか? 首席取る位なんだし」


「習い事もあるからずっとじゃないよ。でも、家庭教師に教えてもらったりもしてるから、多いと言えば多いかな?」


「習い事もしてるのか。習い事に家庭教師って……桜はいいとこのお嬢様なのか? 最初会った時もお嬢様っぽい喋り方だったし」


「それなりにかな? 家の事情でお嬢様やってるし、口調も普段は気をつけてるんだけどね。でも、お姉ちゃんなら雪君とは普通に話したいから!」


「そうなのか。色々と大変なんだなぁ」


「うん、だからぎゅってして労って欲しいな?」


 そう言われたので俺は立ち上がり、桜を抱きしめようとするが―――


「先に私からね。このままあと2時間お願いするわ」


 時雨が俺の懐に飛び込んできて、割り込んだ。


「もー、時雨ちゃん! お姉ちゃんの邪魔したら、メッ! ですよ?」


「邪魔してないわよ。10時間後に10秒だけ抱きしめていいわよ」


 それもう夜じゃん。お家に帰ってるよ。


「なるほど、じゃあ今日は時雨ちゃんからお泊りの許可を貰ったから、雪君のお部屋で一緒に寝るね!」


「どう解釈したらそうなるのよ!」


「雪君もお姉ちゃんと一緒に寝たいよね?」


「あぁ、そうだ――あいたたたたたたたた」


 時雨が抱きしめる強さを強めてきた。


「雪は夜だけじゃなくて、昼もプロレスをご所望みたいね!?」


「タップタップ! 愛羅ヘルプミー!」


「あーし、レフリーじゃないんだけど? ほら、シグシグ、ユッキーの背中折れちゃうよ? そしたら外出られなくなるよ?」


「……家から出さないようにするなら、ありなんじゃないかしら?」


「ユッキー、あーしにはシグシグの説得は無理みたいだから、たまにお家に会いにいってあげるね?」


「あきらめるなよそこで! ほら、時雨、帰ったらいっぱいかまってあげるから!」


「……膝枕に耳掻き付きでやってくれる?」


「おう、お安い御用だ!」


「あのドリンク飲んで朝まで夜戦してくれる?」


「お高い御用だな!?」


★********★

すみません、70万PVがもうすぐなので、いつものアンケートをするつもりですが、今度の土日までお待ちください。


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