記念SS 遊園地に遊びにきた!②

 海の回復を待ったあと、俺達はゴーカートにきた。

 ゴーカートの方は対して人数は並んでなく、すんなり入場することができた。

 

「じゃあ、私と雪で先に乗るから、海はお留守番してて頂戴」

「あとで一緒に乗るから、待っててくれ」


「はーい、いってらっしゃーい」


 海にそう言い残し、俺達は2人乗りのゴーカートに乗り込んだ。

 従業員の人から簡単に操作説明と注意事項を受け、俺達は出発した。

 

「わかってはいたけど、速度はそんなに出ないな」


「このぐらいでちょうどいいわ。風が気持ちいいし、景色も楽しめるから」


 時雨は俺の腕に抱き着きながら景色を楽しんでいる。

 将来車の免許を取ったら子供が出来る前にみんなで一緒にドライブに出掛けたいな……

 

「車の免許取ったらさ、車買って、みんなでドライブに行きたいな」


「……雪って車の免許取れるの?」


「前世ではちゃんと取ったぞ? 筆記試験も一発合格だったぞ」


「そうじゃなくて、男の人って車の教習所いけるの?」


「え、いけないのか?」


「さぁ……?」


「…………」

 

 俺の夢が一瞬で砕けた気分だ。

 

「ま、まぁ、その時になったら聞いてみましょ? もしかしたらいけるかもしれないし」


「……そ、そうだな! あきらめるにはまだ早いよな!」


「えぇ、今はこれで我慢しましょ。ほら、あれなんか楽しそうじゃない?」


 時雨が指差した方向を見ると、大きな水しぶきが上がっていた。

 水しぶきの元を見ると船があり、その後ろには大きな坂があるので、急斜面を下った勢いであの水しぶきがあがったのだろう。

 

「すごいな。めちゃくちゃ濡れそうだけど」


「そうね、カッパとか売ってるんじゃないかしら?」


「あーありそうだな。あれにも乗るか」


「そうね、次はあれにしましょ」


「おばけ屋敷が嫌だから?」


 俺がそう言うと、時雨は機嫌を悪くしたのか俺の腕を抓り出した。

 

「言ってませんけど!? 一言も!? おばけ屋敷のあとでもいいですけど!?」


「痛い痛い、悪かったって! あとであれにも行こうな!?」


 俺が謝ると抓るのはやめてもらえたが頬を膨らませ、ジト目で俺を見て、私不機嫌ですとアピールしてくる。

 俺は時雨の機嫌を直す為、抱き寄せる。


「時雨はかわいいな」


「……それで許すと思ってるの?」


 ちょっとうれしそうな顔してるから許されるかと思ったがダメらしい。

 

「あとで甘い物おごってやるからさ」


 俺はそう言って時雨の頬にキスをした。


「……もう、まったく……高いの頼むからね」


 時雨は膨らませていた頬を萎ませてくれて、お返しとばかりに俺の頬にキスをする。

 機嫌が直ってよかった。

 そして時雨は横から俺に抱き着きながら再度景色を楽しみ始める。

 

「こうやって見ると色んなアトラクションがあるわね……あれとかすごそうじゃない?」


 そう言って時雨が指差したのは―――

 

「なんだっけあれ、フリーフォールだったか?」


「フリーフォール? どんなアトラクションなの?」


「ああやって高いところまであげられて―――」


 ちょうど上にまで行ったところから落とされるところだった。

 

「へぇー……す、すごそうね」


「あれなら三半規管とか揺さぶられないし、海とか喜んで乗りそうだな」


「そ、そうね。私耐えられるかしら……」


「お、試したいってことかな?」


「怖い物見たさで興味はあるわね……」


「なら、あれも行ってみるか」


「別にお化け屋敷の後でかまわないからね?」


「自ら地雷踏みにくるなよ」


「つーん……ほら、機嫌悪くなったわよ。雪はどうしたらいいのかしら?」


 時雨は露骨に頬を俺に突き出してくる。

 俺は思わず苦笑いするが、ご要望とあらば答えよう。

 時雨の顔をこちらに向かせ、俺は時雨の唇に俺の唇を重ねた。

 

「これで機嫌を直してくれよお姫様」


「許してあげる♪」


 今後はご機嫌な状態になり、俺の腕に抱き着きながら顔をこすりつけ始める。

 かわいいもんだな。


 そうして、なんだかんだ1週し、スタート地点まで戻ってきた。

 

「おかえりー、楽しかった?」


「えぇ、とても楽しめたわ」


 時雨が満面の笑みで答えたのを見て、海も期待したようにワクワク顔になった。

 

「ほんと! 楽しみー! お兄ちゃんいこいこ!」


 海が待ちきれないとばかりに、俺の手を引いてゴーカートに乗り始める。

 再度従業員の人から注意事項だけ受け、俺達は出発した。

 

 のんびりとした速度で走り始めるが……

 

「お兄ちゃんもっと速度出ないの?」


「出ないよ。ゴーカートだからこんなもんだよ」


「えぇー、期待してたのにー……どっかに速度制限はずすようなボタンないかな? それかボタン押したらジェットエンジン出てくるような」


「あるわけねぇだろ! こんな車体でそんな爆速出すようなもん積んでたら怖すぎるわ!」


「体で風を感じられるって期待してたのにー」


「自然の風で我慢してなさい。ほら、景色を楽しもうぜ?」


「景色かー。あんまり興味わかないんだよねー」


「うん、なんか海に風景を楽しむイメージないからイメージ通りだな」


「でしょー? あ、でもあれ何?」


「ん? あぁ、さっき時雨とも話してたけど船に乗って急な斜面をすべり降りて激しい水しぶきがあがるやつだな」


「あー! さっきパンフレット見てる時にみたよ! ウォータースプラッシュってアトラクションだよ!」


「へぇーそんな名前なのか。あとで行こうぜ」


「うんうん! 行こう行こう!」


「あと、フリーフォールにも乗ろうって話をしてたんだが……ほらあれだ」


 俺は指を差すとちょうど今お客が乗った部分が上に上がているところだった。

 

「んー? あれどうなるの? ……あ、落ちるんだ!」

 

「そそ、あれなら風を感じられるぞ。上の方に行ったら」


「すぐ落ちるじゃん」


「落ちる時も風を感じられるんじゃないか?」


「そんな余裕あるのかなー……まぁ、でもあれなら酔わなそうだからいいね!」


「だろ? あれもあとで行こうか」


「おっけー! あ、じゃあ私あれに乗りたい!」


 海が指差したのは……デートで定番の観覧車だった。

 

「いいけど、あれ窓開いてないから風は感じられないぞ?」


「私が何でも風を感じたいだけの女だと思ってない?」


「え、違うのか?」


「ちーがーいーまーす! 恋愛漫画とかで定番だから乗ってみたいの!」


「そっか、ならあれにも乗らなくちゃな」


「絶対だよ!」


 そして、海ともゴーカートでコースを走り、スタート地点まで戻ってきた。

 待っていた時雨と合流し、俺達は次のお化け屋敷へと向かった。


★********★

60万PV記念です!


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