第84話 正直に話そう……


「あの……ありがとうございました」


「いえ、俺も気持ちよかったから大丈夫ですよ」


 ―――ぶっちゃけ事後だ。

 俺は名も知らぬ女性とベッドで休んでいる。

 さて、多分クエストも終わりだよな? やることやったし……女神様に文句言ってから帰るか?

 とりあえず、シャワーだな。

 俺はベッドから降り、シャワーを浴びに向かった。


「あ、あの、お体洗いますよ」


「体きついでしょうから、無理しなくていいですよ」


「でも……」


「そろそろ帰ろうと思いますし……そう言えば、まだ名前聞いてないですね」


「あぁ、すみません、私は紅銅こうどう透花とうかと言います」


「俺は大淀雪です」


「大淀様……」


「年上なんで様なんて付けなくていいですよ。紅銅さん」


「いえ、そういう訳にはいきません。それと、私のことは透花と呼び捨てでお呼び下さい」


 紅銅……いや、透花は真剣な眼差しで俺にそう伝えてくる。


「……わかりました。ならせめて、俺のことは下の名前で呼んで下さい」


「わかりました、雪様。ご連絡先をお伺いしても? 結果の報告も必要ですし、ダメだったらまた……」


「えぇ、いいですよ」


 俺は服から携帯を取り出し、透花に連絡先を伝えた。


「このお礼は必ずします」

「妊娠してたらでいいですよ。一発で妊娠するとは限りませんから」


 そう言って俺はシャワーを浴びて、着替えを済ませた。


「それじゃあ透花、また」

「はい、またお会いしましょう雪様」


 透花に別れを告げ、俺はホテルを出て、文句を言いに女神様の元へ向かった。

 今回はお土産も持たず、境内へと足を踏み入れ、神殿御本殿までまっすぐ歩いていく。

 やがて御本殿に辿り着き、目を閉じ、二礼二拍手一礼。


 ちょっと女神様、いくらなんでもひどいんじゃないですか?


「あっはは☆ 別に断ってもよかったんだよ?」


 目を開けるといつもの空間に悪びれもせず、女神様は堂々と立っていた。


「選んでいいとか言っといて、あんな状態で断れるわけないじゃないですか!」


「うん、優しい雪君なら断らないと思ってた」


「……嵌めましたね?」


「あの子にハメてきたのは雪君だよ?」


「そのはめるじゃないよ!」


「あっはは☆ ……あの子もねぇ、ちょっと不憫だったからねぇ。私が干渉するのは良くないし、どうにかしたかったんだよ☆」


「……透花みたいな人って世の中にけっこういるんですか?」


「いるよ? 最悪養子でなんとかするところが多いね」


「……そうですか」


「うん、だから雪の近くに住んでたあの子はラッキーだよ」


「というか、干渉するのは良くないって、俺にはめちゃくちゃ干渉してないですか?」


「雪君は特別だよ☆ そもそもこの世界の人じゃないし、アフターケアOKだから☆」


 どこかの営業みたいなこと言い出したぞ……


「はぁ……ともかく、ああいうのは勘弁して下さい。あんな断りづらいクエストは」


「ごめんね? 君の人の良さに付け込んじゃって。でも、気持ちよかったでしょ?」


「……それを言われるとあれですけど」


「うんうん☆ 素直でいいね☆ 報酬はまだ先になるけど……おまけしちゃおうかな☆」


「おまけ?」


 そう言うと、女神様は手をかかげ、ベッドを出現させた。


「前回は君主体でやってもらったからね、今回は私がやってあげる☆ この胸で責任取って欲しかったんでしょ?」


 ……取ってもらうとしよう!


**********


「ふふふ☆ ドバドバ出しちゃったね☆ 私も気持ちよかったよ☆」


 女神様に責任は取ってもらった……まぁ、一先ずこれで良いとしよう。

 考え方によっては人助けした訳だし。


「あぁ、俺も気持ちよかったよ」


「ふふふ☆ 雪君って仲良くなると他人行儀みたいな敬語が取れるんだね?」


「……あぁ、すみません」


「うんん☆ 好きに喋っていいよ☆ 雪君は特別だから☆ あぁ、おまけしといたから今夜は期待してて☆」


「? 今のがおまけじゃないのか?」


「んー、今のは責任取って欲しそうだから取っただけ☆」


「なるほど?」


「うん☆ じゃあ気を付けて帰るんだよ?」


「えぇ、ではまた」


 そして光に包まれ目を開けると御本殿の前だった。

 ……帰るか。

 俺何しに来たんだっけ?

 女神様に文句言いに来たつもりが、普通に流れで女神様とやっちゃったよ……

 まぁ、今更だな。


 そのまま俺は神社から家に帰ったのだが……

 玄関は……開いてるってことは帰ってきてるか。


「ただいまー」


 俺がそう叫ぶとドタドタと2階から降りてくる音が聞こえる。


「ちょっと雪、大人しくしてって言ったわよね?」

「お兄ちゃん家から出ないでって言ったのにどこ行ってたのさ!」


「二人とも帰って来るの早かったな」


「挨拶だけして帰ってきたのよ、雪が心配だったから」

「お兄ちゃんが何かするかもしれないから、適当に喋って帰ってきたよ。それでどこに行ってたの?」


 さて……どう答えるべきか……

 まぁ、普通に喋ってもいいだろ。


「あー……そのなんだ……駅の方に散歩に行ったんだが……流れで女性を抱くことになった」


「「……はあっ?」」


 そこから俺は両手を掴まれ、自室に連れて行かれるとテーブルを囲んで座り、透花のことを説明した。


「……たまにニュースで話を聞くけど身近にもいるのね、そういう人」

「お兄ちゃんその人を妻にするつもり?」


「いや、そういう気はないな。断れなくて抱いた感じだから」


「……そう、入学式の日に初めてを貰っておいて、正解だったわね」

「だね、知らない人に奪われるとこだったよ。というか、よく抱けたね? あんなに消極的だったのに」


「……まぁ、初めては大事な人としたかったから、あとはな……」


 俺が抵抗なく透花を抱けたのは確実に女神様のせいだけど……


「というか、怒らないんだな? 他の人を抱いて」


「結婚してる男の人がお金貰って、知らない人に抱かれるなんてよくある話よ。そうでもしないと、やってくれる人がいないんでしょうから」

「むしろ、男の人もそっちの方がお金貰えるだろうからね。お兄ちゃんが抱いた雌犬も社長だったんでしょ?」


「あぁ、らしいぞ。何の会社か知らないけど」


「なら、お礼は期待できそうね」

「そうだねー。ところでお兄ちゃんさ、今から搾るね?」


「……ん?」


「怒ってはないけど……なんかイライラするし、勝手に家から出た罰」

「そうね、今後私たちがいなくなる前には限界まで爆発しておく必要があるわね?」


「……やっぱり怒ってる?」


「怒ってないよ? イライラしてるだけ」

「私も怒ってないわよ。よくある話だもの。えぇ、よくある話よ。でもなぜかしらねこの気持ち……今後雪の管理をより一層厳しくする必要があると思ってしまうのよ」


「……それを怒ってるって言うんじゃないか?」


「「うるさいっ!」」


 そのまま俺は、海と時雨に言われるがまま弄ばれた……


★********★

とうとう他の友人にこの作品がバレました……

そして、桜をお嬢様言葉に戻せと怒られました(´・ω・`)


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