第80話 フィクションでしか聞いたことないよ
俺たちは神社に向かって歩いているが……忘れてはいけないことがある。
「なぁ、この辺に持ち帰りできる甘いもの売ってるお店ないか?」
「この辺だと、そこを曲がった先にケーキ屋ならあるわよ」
「お兄ちゃん、甘いもの食べたいの?」
「まぁ、そんなとこだ」
前回神様へのお土産を忘れてしまったので、少しだけ豪華にしていくつか持っていった方がいいだろう。
俺はケーキ屋に寄りいくつかケーキを選び購入しようとしたが……
「お兄ちゃんこれ食べたい」
「私はこれね」
「待て待て、それは帰りに買うから後だ」
「帰りも寄るの?」
「なんで今買うのよ」
「これはお供え物だ」
「お供え物……? 誰にお供えするのさ」
「今から神社に行くだろう? 神様に決まってるじゃないか」
「……お兄ちゃんの前世では神様にお供え物する時にケーキ買ってたの?」
「んー……別にケーキじゃなくてもいいんだけどな」
「ふーん? まぁいいか」
海と時雨を誤魔化しながらケーキを購入し、再び神社を目指して、歩き始めた。
そして、目的の神社の鳥居までたどり着いた。
「ここに来たかったんだ?」
「あぁ」
「ここって夏祭りとかやってるらしいわね。花火も見えるらしいわよ」
「そうなのか」
「えぇ、今年の夏のイベントが一つ決まったわね?」
「はは、そうだな」
そして俺たちは境内へ足を踏み入れ、本殿を目指していく。
「きれいね。桜」
「あぁ」
「こんな場所あったんだ! きれー」
以前訪れたとき見たがやはり桜だったようだ。
高校の桜もすごかったが、こちらも負けてないな。
神社と桜の組み合わせってどこか幻想的な雰囲気があるから俺的にはこっちの方が好きかも。
周りの風景を楽しみながら俺たちは歩き、神殿御本殿へたどり着いた。
そして俺たちは横並びになり、目を閉じ、二礼二拍手一礼。
約束を守りに来ましたよ、女神様。
「あっはは☆ いらっしゃーい☆ 久しぶりだねー☆」
神様の声が聞こえたので俺は目を開くと、そこはお馴染の白い空間だった。
「ご無沙汰してます、女神様。約束の試練を受けに来ました。あとこれ、前回渡せなかったお礼と合わせてちょっと良いものにしてみましたんで、お納め下さい」
俺は買ってきたケーキをそのまま女神様に渡すと、女神様が受け取った直後消えていった。
「ありがとう☆ ケーキ屋見てた時から美味しそうだったからうれしいよ☆」
「ご満足頂けたようで何よりです」
「ふふふ☆ それじゃ、試練だけど……ちょっとだけお話しようか?」
そう言うと女神様は右手を右にかざすと、そこに天蓋付きの大きなベッドが現れた。
……なぜベッド? 天蓋とかこの空間にいるのか……?
「天蓋付きベッドって夢がない?」
「……まぁ、寝てみたいとは思いますね」
「ふふふ☆ あとで、存分に寝てもいいよ? ほら、今はお話しようか」
俺はベッドのところまで行き、腰を下ろすと、女神様が拳一つ分距離を開けて横に座ってきた。
「最近はどうかな? 女の子と仲良くしてしてるかな?」
「えぇ、もちろんですよ」
「そっかそっか☆ 海ちゃんや時雨ちゃん以外に手を出したい子はいるかな?」
「……普通に仲良くしたい子はたくさんいますよ」
「んー、そうだよねー。やっぱりそこだよねー」
「? なんですか?」
「なんで雪君は女の子に手を出さないのかな? 海ちゃんや時雨ちゃん以外で」
「はい?」
「女の子が求めてるのに、手を出さないのはなんでなのかな? 例えば、桜ちゃんとか」
「なんでって……そう簡単に出していいものじゃないでしょ」
「なんで? 求めてきた子……桜ちゃんが雪君の好みじゃないから?」
「違いますよ。なんというかその……簡単に女の子に傷物にしちゃいけない的な感じ……ですかね? 責任も取らなくちゃいけないですし」
「何に対して責任を取るの?」
「何に……その……女の子に手を出して……まして初めてだったら結婚しなくちゃいけないみたいな……」
「それは本当にしなくちゃいけないことなのかな?」
「しなくてもいいかもしれませんが……やっぱり責任を感じますし」
「責任?」
「手を出すってことはそれなりに相手のことを思ってるわけですから」
「雪君は真面目だねー☆ 真面目過ぎてめんどー……」
「えぇ!?」
「気難しく考えすぎー☆ もっと気楽にパコパコしちゃいなよ☆」
「そんな簡単に割り切れるもんじゃないですよ」
「そうだよねー☆ だ か ら ー ☆ それが試練だよ☆」
「はい?」
「君にはねぇ、みんなとパコパコするようになってもらいたいの☆」
「……はい?」
「君が海ちゃんと時雨ちゃんに愛を教えた時から考えてたんだけどね、雪君は手を出す相手のことを大事にするでしょー?」
「そりゃそうですよ」
「君の前世ではそうなのかもしれないけど、この世界では本当に貴重なんだよ☆」
「はぁ?」
「私はこの世界の女神だからみんなに幸せになって欲しいんだよね☆ そして、君は相手する人、皆を幸せに……愛を教えることが出来るんだよ☆ それをばら撒いてもらいたいなってね☆」
……意味がわからん。
「要はー、みんなとパコパコして愛を教えて欲しいの☆」
「…………」
「あぁ、別に全員とやれって言ってるわけじゃないよ? 君の近くにいる人、一人でも多くに教えてくれればいいだけだから。もちろん、相手も君が選んでいい。と言っても、君から見たらこの世界の女の子はLVが高く見えてるから、大丈夫じゃないかなって思ってはいるんだけどね?」
「……そ、それが試練ですか?」
「うんん、今のは私のお願い。まぁ、無関係じゃないけどね☆ 目的としては君の貞操観念をぶっ壊すことだから☆」
…………
「じゃあ、試練の内容を伝えようか☆」
女神様は溜めて、試練の内容を伝えてきた。
「……私が満足するまで、ずっーっと私とパコパコしてもらいます☆」
「は……はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「私が満足するまで、この空間から雪君は出れません☆」
……俺知ってる! これ、エッチしないと出られない部屋だ!
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