第70話 質疑応答……クラスの人だけだよね?


「もう! ユッキーも、シグシグも、サクサクも、どいひーだよ! なんであーし巻き込まれたの!」


 女子生徒の圧に耐えきれなくなった愛羅が、抜け出してきて開口一番文句を言い始めた。

 若干おこである。


「なんか俺等のやりとりで、愛羅が巻き込まれないのは可哀想かなって」

「そうね、仲間はずれはよくないもの」

「愛羅ちゃん、雪君のためにありがとうございます」


「ユッキーのせいで大変なんだよ! もう鬼面倒くさいから、勝手に話しかけたらいいって許可したから!」


「おいおい、全部許可したのかよ。別にいいけど」

「良いわけないでしょ。ちゃんとしなさいよ愛羅」

「そうですよ。なんのためのマブダチだと思ってるんですか」


「マブダチは生贄じゃないよ!」


「桃園さん! まだ話は終わってないですよ!」

「そうですよ! 大淀君のことをもっと教えてください!」

「桃園さんと大淀君がマブダチってどういうことですか!? 詳しく事情を!」


 抜け出してきたと思えば、女子生徒が追いかけてきたようだ。


「だーかーら! ユッキーに直接聞きなって!」


「……さて、雪、帰りましょうか」

「あ、私も帰ります」

「……愛羅、また来週「逃げるな!」……あ、やっぱダメ?」


 俺も流れに乗って帰ろうとしたが、愛羅が腕に抱きついてきて、動けなくなってしまった……


「ちゃんと話を聞いてあげなよ!」

「俺は別に聞いてもいいんだけど、機嫌悪くなる人がいるんだもん」


「ちょっと愛羅、雪を解放しなさい」

「愛羅ちゃん、私の弟を離してください」


「シグシグもサクサクも何言ってんのさ! ちゃんと相手してあげて!」


 ……まぁ、ここでグダグダしてても仕方ないか。


「なら、妥協案として、1人1回質問するって言うのはどうだ? この人数なら、そんなにかからないだろ」


「……廊下を見ても同じこと言えるかしら?」

「雪君、多分無理だと思うなぁ?」

「頑張ってユッキー」


「えっ?」


 俺は時雨に指摘され、廊下を見た。

 そこには廊下の窓一面に女子生徒が張り付き、俺を見ている……


「……なぁ、時雨よ」

「何かしら?」

「他のクラスには男いないのか? なぜこんなに来る……」

「他のクラスにも男はいるでしょうけど、あなたがあんな発言したからじゃない……」

「さすがにこの人数は無理だ……」

「だから、余計なこと言うなって言ったのに!」

「俺の想像以上だったわ」


 さて……どうしたものか……


 ガラガラガラ


「失礼します」


 誰かが入って……生徒会長だわ。


「ごきげんよう、雪君」


「どうも、紗理奈先輩」


「待ちなさい、雪。なんで生徒会長と既に名前呼びの仲になってるのよ」

「あー、入学式の時、席が隣で仲良くしたいって言われたから」

「……今度鎖買うことにするわ」

「なんでだよ!」


「ふふふ、その子と仲がいいんだね?」


「えぇ、俺の恋人ですから」


「……恋人? 恋人ってあの恋人かな? お互いに好意を持ってる」


「はい、俺は時雨のことが好きですから」

「私は愛してると言っても過言ではないけど?」

「はは、俺も愛してるよ」


「……ふふ、ふふふふふ、すごいね! 雪君は素敵な男性なんだね」


「えぇ、雪は素敵な人ですから」


 時雨が自慢げに紗理奈先輩をみて言っている。


「ふふふ、そうみたいだね」


「それで? 紗理奈先輩どうしたんですか?」


「あぁ、そうそう。やっぱりあの発言であなた目当ての子が大勢ここに押し寄せてるけど、どうするつもりなの?」


「……さすがにこの人数は相手できないので、お引き取り願おうかと」


「うーん、さすがにそうだよねー。入学初日にこれは大変だろうから、私の方から一声かけるよ」


「いいんですか? すみません、お手数おかけします」


「ふふ、いいんだよ。君もこの学校の生徒なんだもん」


「はは、ありがとうございます」


「じゃあ、声かけてくるから、これで失礼するね」


 そう言って紗理奈先輩は廊下に行くと、廊下にいる生徒たちに何かを話し始めた。

 すると次第に廊下にいた生徒たちが去っていった。


「……ということで、クラスの子だけとりあえず、質疑応答しよう」


「「「いえええええええい!!!」」」


 そして俺は、時雨と桜と愛羅と一緒に一人一人に質疑応答を行った。

 質疑応答の内容としては……


 1人目―――

「雪君の好きな女性のタイプは?」

「優しい人がタイプだな」


「おっぱいが大きい人でしょ」

「胸が大きい人ですよね?」

「ユッキーはZカップ希望らしいよ」


「余計なこと言うんじゃないよ! あとZは希望してない!」


 2人目―――

「雪君、私のことお姉さんって呼んでみない?」

「おねえ「ダメです!」……ダメらしいです」


「雪君のお姉ちゃんは私です!」


 3人目、4人目―――

「雪君は今何人奥さん決まってるの?」

「雪君は第何夫人まで娶るつもりなのかな?」


「今は二人だ。人数は……5人以上10人以下かな……?」


「……まだ常識の範囲ね」

「雪君増やし過ぎたら、メッ! ですよ?」

「ユッキーって意外とまともだったんだ?」


「ずっとまともなつもりだよ!」


 5人目―――

「雪君はエッチな女の子は好き?」

「まぁ、好きだな」


「すぐソロキャン始めるものね?」

「お姉ちゃん頑張ってエッチになるね?」

「ユッキーってほんと他の男と違うよね……」


 6人目―――

「雪君のことお兄様って呼んでもいいかな?」

「……どうなんだろう? 海はお兄ちゃんだから、お兄様なら……ん? なんだ時雨、携帯持って。ん? 俺宛?」


 俺は、時雨から携帯を受け取って耳に当てた。


「もしもし?」

「お兄ちゃんの妹は私だけだからね!」

「……わかってるよ」


 7人目―――

「雪君はこのあと親睦会に参加するよね? ホテルまでお持ち帰りOKだよね?」

「親睦会があるのか? なら「不参加よ」……」


「今日雪には大事な用事があるからダメよ」

「大事な用事ってなんだよ?」

「帰ったらわかるわ」

「…………」


 8人目―――

「今後はご主人様とお呼びしてもよろしいですか?」

「俺のメイドになりたいと?」

「はい、朝のおはようから、夜伽までお任せください」

「なるほど。きょ「不採用よ」……ダメらしいです」


「今度私と海でメイドさんごっこしてあげるから我慢しなさい」

「雪君私が朝から晩までお世話するから、メッ! ですよ?」

「あーしもメイドさんごっこやってみたいからやったげる!」

「ならいいか!」


「私の男性に仕える夢が!!」



 といった具合に、なんとかクラス全員の質疑応答を行い、解散する流れになった。


「いやー、なんとかなったな」


「危うく帰れなくなるところだったわよ……」

「雪君、メッ! ですよ?」

「ユッキーのせいでひどい目にあったよ……」


 まさか、あそこまで影響があるとは思わなかったぜ……


「雪、保健室に行きましょう」

「保健室? あぁ、友梨佳先生に会いにか」

「そうね」


 そう言って、時雨が歩き出したので俺と桜と愛羅もついて行く。

 道中もけっこう女子生徒から見られているが、気にならなくなってきたな。

 そして、保健室へ行き、友梨佳先生と再会した。

 

「やぁ! お久しぶりだね!」


「お久しぶりです」

「ご無沙汰してます」

「先生おひさー!」


 俺、時雨、愛羅の順で友梨佳先生に挨拶をする。

 で、時雨は何しにここに来たんだ?


「先生、ちょっといいですか?」

「ん? 何だい時雨さん?」


 時雨は友梨佳先生に近づき、何かを話始めた。

 そして、友梨佳先生は頷くと部屋の棚に行き、小さな黒い袋に何かを詰め込んでいる。

 そして、その袋を時雨に渡すと時雨はそれを鞄にしまった。


「お待たせ、帰りましょう」


「何を貰ったんだ?」


「あとで分かるわ」


 …………?


★********★

今日はもう一つの作品も更新してます! よかったら見てね!


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