第62話 ドーナッツ屋じゃなくて処刑場だった
「……どういうことかな、お兄ちゃん?」
海がとても不機嫌そうに、俺を睨んでくる……
「いや、これは俺が悪いわけじゃなくね……?」
「雪と私は赤い糸で結ばれてるから、仕方ないわね」
「雪君からお姉ちゃんに会いに来てくれるなんて、嬉しいなぁ!」
「あっはは……なんか……ごめんね?」
そう、まさかの時雨と桜と愛羅のパーティに合流した。
空いてる席がなかったので、相席させてもらったのだ。
「えぇっとー、皆さん雪君のお知り合いなんですかね?」
知らない人ばかりが揃っている梓さんが状況を把握しようと問いかけている。
「そっ! 先日マブダチになった桃園愛羅でーす!」
「
「雪の恋人の坂間時雨よ。よろしくね? 発情した雌犬さん」
「私は三戸梓です! この間私から雪君を寝取った女の子ですね! 私の雪君を取らないで下さい!」
「むしろそっちが、寝取ろうとしてるでしょ」
「お兄ちゃん! お姉ちゃんってどういうこと!? ちゃんと説明して!」
「あらあら、もしかして貴方が妹の海ちゃん? 姉の桜よ! お姉ちゃんって呼んでね?」
「嫌です!」
「……ごめんね、ユッキー」
「……まさか、ここで合流するとは思わなかったよ」
女三人よれば姦しいというが、五人も入ればそのうるささも1.5倍だな。
いや、愛羅は謝罪してるから四人か。
「あー……ご飯はみんなで仲良く食べよ? なっ?」
「そうそう! みんなでニコニコ食べたほうがおいしいよ! ほら、このドーナッツとか、ウマウマだから!」
「そうですよ雪君! 海ちゃん本当に30個もドーナッツ選んだんですよ! 雪君で補填させてください!」
「お兄ちゃんを誘惑した慰謝料だよ慰謝料」
「あら、なら恋人である私にも、その慰謝料をもらう権利がありそうね?」
「お姉ちゃんとして、雪君を誘惑したのは許せませんね。私も頂きます」
「だーかーらー、お姉ちゃんなんて認めないって言ってるでしょー!?」
「「…………」」
「愛羅助けてくれ。愛羅のコミュ力だけが頼りなんだ」
「あーしにも限界があるよ……」
「……そういえば、桜とも連絡先交換してたんだな?」
「もちもち! せっかく仲良くなったんだから交換しなきゃっしょ!」
「それで、今日急に3人で集まったのか?」
「そっ! シグシグが寂しいから遊ぼうって! サクサクにも連絡して3人で遊ぶことにしたんだ!」
「寂しいなんて言ってないでしょ」
「えー? ユッキーがウミウミに取られたって、愚痴から始まった電話だったじゃん」
「愚痴っただけじゃない」
「さっきまでユッキーいなくて憂鬱そうだったのに?」
「……充電出来ないから憂鬱になってただけよ」
「それを寂しいって言うんじゃん」
「……それで? なんでこの雌犬がいるのかしら?」
「あらあら、露骨に話題をそらしましたね」
透かさず桜がツッコミを入れるが、時雨はガン無視である。
「お兄ちゃんが二次元の女の子が欲しいって言うから、そういうお店に行ってきたの」
「おい、その言い方だと色々と語弊があるぞ」
「そしたら雌犬がサキュバスに転職したいからってそういう本を漁っててさ」
「梓ですー! 雪君とそういうことになった時の為に、資料を求めて行ってたんです!」
「雌犬がサキュバスに転職したところで、雪とやることなんてないわよ。それで、何を買ってきたのかしら?」
「私は今後の資料の為に1冊買って、お兄ちゃんはタペストリー買ってたよ」
「ん? ウミウミ、資料って何?」
「……さっきからウミウミって私のこと?」
「うん! かわいいっしょ?」
「……まぁ、いいけど……資料はこれだよ」
海は何のためらいもなく、机の上に購入した本を置いた。
「ぶっ『友人の巨乳育成計画』……こ、これが資料なん?」
愛羅は今にも吹き出しそうに耐えてながら、海に聞き返した。
「うん、お兄ちゃんがこれがいいって」
「どれだけ雪は大きくしたいのよ」
「ゆ、雪君? お姉ちゃんのお胸も大きくした方がいいかな?」
とんでもない公開処刑を受けている気がする……
「……海、なぜ出した」
「えっ? 別にいいじゃん」
「よくないよ! なんか俺公開処刑受けてる気分なんだけど!?」
「私と時雨姉には今更でしょ」
「海と時雨以外にもここにはいるだろ!」
「私は大丈夫ですよ雪君! 病院で大きいのが好きって聞いてますから!」
「だ、大丈夫だよユッキー、男の子だもんね? ぶっ……くっくっくっ……」
「雪君、正直に答えて? お姉ちゃんのお胸はもっと大きくした方がいいの?」
誰かこういう場合の正しい対処法を教えてくれないだろうか?
「ちなみに、雪の理想ってどのぐらいの大きさなのかしら?」
「時雨姉以上で上限はないんだって。Zカップでもいいって言ってた」
「おい!?」
「ぜ、Zカップって何よ? 雪、流石にそこまで成長させるのは無理よ? 現実見て頂戴」
「雪君、いくらなんでも、Zカップはないとお姉ちゃん思うよ?」
「あははははは! ぜ、Zはやばいよユッキー、あはははははは!」
「絵の話だろ! 絵の!」
「どっちにしても、まだ大きくはした方が良さそうね? 海、帰ったら私にも見せて頂戴」
「海ちゃん海ちゃん、お姉ちゃんにもあとで見せて?」
「だから家にお姉ちゃんはいないってば!」
「はぁ、はぁ、はぁ……ふ、腹筋が割れそう……くっくっくっ」
「あとタペストリー買ったって言ってたわね? 見せて頂戴な」
……俺にはわかる。ここで出すと絶対碌な目に合わない。
俺はタペストリーを隠そうとするが―――
「あ、これですよ時雨さん」
「へっ? あ、ちょ!?」
梓さんがいつの間にかに俺の買ったタペストリーを取って、時雨に渡した。
「よくやったわ。雌犬から梓に格上げしてあげる」
「やりました!」
終わった……
俺が抵抗する間もなく、時雨はタペストリーの袋を外し、スルスルと開いていく。
「やっぱり巨乳なのね。猫耳に白いワンピースねぇ、夏の向日葵畑で爽やかさと清純派の可愛らしさをアピールした絵ってとこかしら?」
「へぇー、かわいい絵だね! ユッキーは猫耳が好きなの?」
「お姉ちゃん今度猫耳付けて来るね?」
「お兄ちゃんは猫でもウサギでもいいらしいよ。犬は垂れ耳がいいんだって」
「ふーん? そうなのね。ウサギと言えば、バニーよね? 雪は私にバニーを着て欲しいのかしら?」
「雪君から見て、お姉ちゃんには何が似合うと思う?」
「ユッキーって何でもいけるんだね?」
……お家に帰して!!!
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